【獣医師執筆】犬が味噌汁を食べるのはNG!理由や食べた場合の対処法を解説
日本人の食卓に欠かせない味噌汁。丁寧に取った出汁に季節の野菜を入れて作った味噌汁は、派手さはないけれど、ほっと安心するおいしさがあります。そんな味噌汁を目を離したすきに愛犬が飲んでしまった! ということがあるかもしれません。発酵食品の味噌から作った味噌汁は、一見すると犬にとっても体に良さそうですが、塩分やアレルギー、ネギによる中毒など、リスクがたくさんあります。今回は、犬が味噌汁を飲んだ場合の注意点を紹介します。
犬に味噌汁を食べても大丈夫?
犬に味噌汁は与えない方が良いでしょう。味噌汁に含まれる塩分量で、すぐに犬の体に異変があるとは限らず、ネギ類やニラなど、犬が食べると危険な食材が含まれていなければ、緊急性がある問題は起こらない可能性が高いといえます。とはいえ、日常的に犬に味噌汁を飲ませることで、犬の健康に害を及ぼすことは十分に考えられます。
犬に味噌汁を与えるべきでない理由
味噌汁を与えてはいけない理由は3つあります。1. 塩分
味噌汁になくてはならないのが味噌です。発酵食品として体に良いイメージがありますが、一方で塩分が多く含まれている食品でもあります。豆みその成分(100gあたり) | |
---|---|
エネルギー(kcal) | 217 |
水分(g) | 44.9 |
たんぱく質(g) | 17.2 |
脂質(g) | 10.5 |
炭水化物(g) | 14.5 |
ナトリウム(mg) | 4300 |
カリウム(mg) | 930 |
人の場合ですと塩分過多は高血圧の原因になりますので、なるべく塩分を摂りすぎないように気を付けている方も多いと思います。同じように犬も塩分に気を付けたほうがいいと思う方も少なくないのですが、人と犬では体の作りが異なり、間違って舐めてしまった程度の味噌汁であれば血圧の変化を心配する必要はありません。
しかし、だからといって人が食べるものを犬に食べさせれば塩分過多になってしまいます。塩中毒の危険性がありますし、過剰摂取による血漿(けっしょう)高カリウム濃度が続くと犬の場合は心疾患、心不全につながる恐れがあります。
2. アレルギー
味噌の種類はさまざまですが、大豆に麦や米などを加えて発酵して作られています。そこで気になるのがアレルギーの問題です。中には大豆にアレルギーがある犬もいます。実は、味噌や醤油は醸造の過程で大豆アレルゲンのほとんどが分解されています。しかし、これまでに大豆アレルギーの症状が出ている子が誤って味噌汁を飲んでしまったなら、獣医師に相談するのがベストです。また、味噌汁に入っている具材でアレルギー症状が出る場合もあります。必ず異変がないか様子を見ようにしてあげてください。
3. ネギなどの中毒成分
味噌汁といえば、さまざまな具材を加えるのも楽しみの一つです。定番の豆腐とわかめ、長ねぎと油揚げ、玉ねぎやジャガイモなどを入れるのもいいですよね。色々な食材を包み込んでくれるのが味噌汁の良さですが、だからこそ注意が必要です。玉ねぎや長ねぎ、ニラなどは犬が口にすると中毒症状を起こしてしまう危険な食材です。誤って犬が食べてしまった場合、嘔吐や発熱、貧血など中毒を起こしてしまうかもしれません。人が食べて大丈夫なものでも犬にとっては危険な食べ物もあります。人向けの食べ物は犬にとってリスクがある可能性があります。間違って愛犬が食べてしまった場合は、どんな成分が入っていたかをよく確認し、中毒成分が入っていた場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。
まとめ
犬に味噌汁は与えるべきではない
塩分過多は塩中毒や心疾患、心不全につながる恐れも
参考文献
- 参照:三品美夏、渡辺俊文『正常犬・猫の高ナトリウム摂取における血圧および飲水量の変動』(日本小動物獣医学会誌)
- 参照:小山秀一『犬および猫における水およびナトリウムの調節機構』(動物臨床医学)
- 参照:『ペット栄養管理学テキストブック』(日本ペット栄養学会)
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