犬がフラフラとふらついている? 考えられる病気、対処法などを獣医師が解説

犬が後ろ足に力が入らずフラフラと歩いたり、嘔吐や食欲不振を伴っていたりする場合、脳神経から筋・骨格系、全身性の症状までさまざまな原因が考えられます。今回は、犬がふらつく場合に考えられる原因や病気、対処法などを目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が解説します。

犬がふらつく場合の原因・病気

振り向くピットブル

脳神経に関連した病気

「椎間板ヘルニア」が可能性としては挙げられます。歩行ができているのであれば良いのですが、麻痺状態の場合は重症化しています。

その他、加齢に伴う「変形性脊椎症」「脳脊髄の腫瘍」や「外耳炎」もしくは「原因不明の末梢性前庭障害」、チワワなどの頭が少し大きい犬種に起こりやすい「水頭症」、外傷による「脊髄損傷」などが考えられます。


筋・骨格系の病気

主に大型犬であれば「股関節形成不全」、小型犬であれば「膝蓋骨脱臼」、事故などによる「骨折」などがあります。


代謝性疾患などの病気

「甲状腺機能低下症」「糖尿病」「低カルシウム血症」やその他、「貧血」「低血圧」「重症筋無力症」など多岐にわたります。


全身性の症状

その他、原因に関わらず、食欲不振嘔吐下痢などにより、全身性の体調不良を引き起こすことでふらつく場合もあります。

ふらつく部位や症状で考えられる原因

ミニチュアダックスフンドのアップ写真

犬がふらついている場合に考えられる原因を前述させていただきました。本項ではより細かく、ふらつく部位を絞って考えられる原因を述べていきます。

腰や体がふらついている場合

腰や体がふらつき麻痺などを伴う場合に多いのは「椎間板ヘルニア」です。

程度により症状の出方はさまざまですが、脊髄の圧迫がより重度になるほどふらつきや麻痺の様子がひどくなる傾向にあります。また排便や排尿が自力でできなくなることもあります。

大型犬が気をつけたい「モンローウォーク」

大型犬では飼い主さんがふらついていると認識してしまう歩き方が、いわゆる「モンローウォーク」と呼ばれるようなお尻を左右に振りながら歩いていることをさしている場合もあります。

これは大型犬に起こる「股関節形成不全」という病気に特徴的な症状のひとつです。椎間板ヘルニアとは違い、麻痺を起こしてふらついているのではなく股関節に痛みが生じるためかばうように歩くことで左右に腰を振るような歩き方になります。


後ろ足だけふらついている・立てない場合

筋骨格・神経・脊椎の問題など、さまざまな原因が考えられます。ふらついて立てないという場合は重症化していることを示しているので、早急に動物病院での検査をおすすめします。

嘔吐を伴っている

ふらつきながら、嘔吐を伴っている場合は「中毒」が考えられます。直前に犬が食べてはいけないものである玉ねぎチョコレートなどを誤飲していないか確認してみてください。


眼振・よだれを伴っている

「脳の病気」か「前庭疾患(平衡感覚を司る神経に異常が出る病症)」「中毒」のいずれかが疑われます。犬自身に自覚がなく、眼振やよだれが出ている場合は病気が進んでいる可能性があります。

対処法・応急処置

草原にいる犬

ふらつきを確認した際は、まず「外傷がないか」「触って痛がるところはないか」「ふらつく以外の症状はないか」などの他に以下の点がないかを観察してください。

  • 足を引きずって歩く
  • 眼振がある
  • 首を片方に傾けている
  • 旋回(一方向にぐるぐる歩く)する

上記の様子が伴っている場合は脳や神経に関連した病気の可能性があります。特に麻痺が起こっている場合は早期の治療が必要になることもありますので早めに動物病院を受診しましょう。

筋肉や関節の病気は様子を見て病院へ

上記のような症状がなく足を持ち上げたり、正常に歩けず、足を引きずるなどが見られる場合には筋肉や関節などの病気の可能性があります。少し安静にし、様子を観察してあげてください。夜であれば一日休ませてからでも良いでしょう。

明らかな骨折がないようであれば様子をみる

骨折ではないようであれば、一日安静にすることで改善することもあります。様子を見て、それでも治らなければ病院へ行きましょう。

ふらつきだした時期などが大事!

犬

ふらつく原因は多岐にわたるため、「いつからふらつくようになったのか」「食欲に変化はないか」「嘔吐はないか」「排便排尿はできているか」「飲水量は増えていないか」などをしっかり観察しておきましょう。

一見ふらつくことと関係ないと思われることも診断の手掛かりとなることがありますので、少しでも気になる症状がみられる場合は病院に行きましょう。

また、ふらついて転倒した時にケガをしてしまわないよう、ケージやサークルに入れたり、クッションなどでガードしてあげると二次的なケガを防ぐことができます。


第3稿:2020年3月23日 公開
第2稿:2017年9月5日 公開
初稿:2016年6月9日 公開

Share!