【獣医師執筆】犬が数の子を食べるのはNG!理由や食べてしまった場合の対処法を解説

【獣医師執筆】犬が数の子を食べるのはNG!理由や食べてしまった場合の対処法を解説

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独特の歯ごたえがおいしい数の子。せっかくだから、縁起物の数の子を愛犬と一緒に楽しみたいと思う方もいるかもしれません。しかし犬に数の子を与えることはリスクがあるため、おすすめできません。その理由を詳しく紹介します。

犬に数の子を与えるべきでない理由

ベッドに座る犬
数の子は、ニシンという魚の卵です。私たちがスーパーなどで購入してくる数の子は、鮮度を保つために塩漬けされたもので、そのまま食べるととても塩辛いため、食べる前に塩抜きをする必要があります。そんな数の子を犬が食べたとき、注意したいのは次の通りです。

01【犬に数の子を与えるべきでない理由】塩分過多

人の場合、塩分過多は高血圧の原因になるため、塩分を摂りすぎないように気を付けている方も多いと思います。犬も塩分に気を付けたほうがいいと思う方も少なくないのですが、人と犬では体の作りが違います。例えば、「正常犬において食塩摂取量を10倍以上変化させても血圧は変動せず、食塩感受性は認められなかった」(※1)や「犬猫の腎臓病に伴う高血圧症ではナトリウム制限の有効性は明確に示されていない」(※2)という報告もあります。

しかし、人が食べるものを犬に食べさせれば塩分過多になってしまいます。塩中毒の危険性がありますし、過剰摂取による高カリウム濃度が続くと犬の場合は心疾患、心不全につながる恐れがあります。

逆に塩分を制限し過ぎると塩分不足の悪影響が出てしまう場合もあります。犬の栄養要求量の基準とされる全米研究評議会(NRC:National Research Council)は、10〜20kgの犬の場合、1日に2.42〜4.84gの塩分摂取を推奨しています。

※1:三品美夏、渡辺俊文『正常犬・猫の高ナトリウム摂取における血圧および飲水量の変動』(日本小動物獣医学会誌)
※2:小山秀一『犬および猫における水およびナトリウムの調節機構』(動物臨床医学)

02【犬に数の子を与えるべきでない理由】コレステロール

人間の場合、動脈硬化など生活習慣病の原因の一つにもなるコレステロール。過剰摂取に気を付ければ問題はありません。むしろ、カルシウムやミネラルの吸収を促進するビタミンDを生成したり、性ホルモンの原料になったりと、愛犬にとって欠かせない成分です。しかし数の子(生)には100gあたり370mgのコレステロールが含まれています。日常的に食べさせるには注意したい数値です。

03【犬に数の子を与えるべきでない理由】消化不良

数の子は、犬にとって消化しにくい食べ物です。そのため、犬によっては食べたあとに下痢などの症状が見られる場合があります。特に、消化能力が弱いシニア犬(老犬)や不調がある犬には与えないようにしましょう。



04【犬に数の子を与えるべきでない理由】アレルギー

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。

初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の痒み
  • 元気がない
  • 目の充血

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。



愛犬が数の子を食べてしまった場合の対処法

誤って犬が数の子を食べてしまった場合は、少量であれば、危険な症状が出ることは少ないため、愛犬の様子をしっかり観察して様子を見ましょう。

大量に摂取して、体調に変化がある場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。

まとめ

子犬
塩分量が多く高コレステロールなので犬に与えるのはおすすめできない
消化不良やアレルギーのリスクも
おせちの定番「数の子」は、犬に与えることはやめたほうがよさそうです。縁起物を愛犬と一緒に楽しみたいという人は、犬が食べられる食材で作った犬用おせちなどを用意してあげるのがおすすめですよ。

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