犬も赤ちゃん返りする?先住犬や老犬などの原因と対処法を解説
人間の幼児が赤ちゃんのような行動をとることを「赤ちゃん返り」といいますが、犬にも同じような行動が見られることがあります。特に多頭飼いになった場合の先住犬や老犬に多く見られるようです。今回は犬が赤ちゃん返りする原因や対処法を解説します。
犬の赤ちゃん返りとは
人間の「赤ちゃん返り」とは、幼児から小学校低学年程度の子どもが、おっぱいを欲しがったり、駄々をこねたりといった赤ちゃんに戻ったような行動を指します。
この「赤ちゃん返り」といわれる行動が犬にも見られることがあります。今までできていたことできなくなったり、飼い主さんに対する独占欲が強くなったりする行動が見られます。
犬が赤ちゃん返りをする理由
ストレス
犬が赤ちゃん返りをする大きな原因の1つに、環境の変化に伴うストレスがあります。<環境の変化赤ちゃんが生まれる>
人間の赤ちゃん返りの原因で最も多いのは、自分の下に兄弟が生まれたことによるものです。犬の場合も、家族に赤ちゃんが生まれた際に赤ちゃん返りをしてしまうことあります。犬は飼い主さんのことをとてもよく観察しているため、飼い主さんの気持ちの変化を敏感に感じ取ってしまいます。
犬は飼い主さんが大切にしているものを自分も大切にするという優しい心を持っていますが、自分だけに向けられていた愛情が、他に向けられたと感じて嫉妬や独占欲などが生まれてしまう場合もあります。
<新しいペットが増える>
新しく犬や猫を迎え、多頭飼いになった際も、飼い主さんの興味や関心がそちらに向かうことで自分への愛情が薄れたと感じる犬もいます。犬にとって家は自分の縄張りでもあるため、新たな存在が入り込んでくることに対し、拒否反応を起こしてしまうこともあります。
<環境が変わる>
引っ越しをするなどして生活環境ががらりと変わってしまうとストレスを感じて赤ちゃん返りをしてしまうことがあります。老犬になる
犬は終生、幼児性を持ち続ける動物です。人間のように歳を取るほど達観して老成するということはあまりなく、何歳になっても飼い主さんを変わらず慕います。老犬になると甘える気持ちや飼い主さんへの執着が強くなることがあり、それが赤ちゃん返りの行動となって現れることがあります。
犬の赤ちゃん返りで見られる行動
トイレの失敗
今までちゃんとトイレシートの上で排泄ができていたのに、急にトイレを失敗するようになることがあります。赤ちゃん返りによるトイレの失敗は「飼い主さんの気を引きたい」理由が考えられます。犬はトイレのしつけができますが、犬に「トイレシートの上で排泄をする」という習性があるわけではありません。
飼い主さんの教えに従い「自分の排泄する場所はトイレシートがある所だ」と理解して実行しています。そのため、何らかのストレスがあるとトイレを失敗しやすくなるのです。
いたずらをする
赤ちゃん返りすると、家具や壁をかじってしまったり、ゴミ箱を漁ったりといったいたずらをすることがあります。これは飼い主さんに注目してほしいためにとっている行動の可能性があります。犬が一番嫌なことは飼い主さんに無視されることなので、叱られてもいたずらをして自分が注目されることを選んでしまうのです。
飼い主さんから離れない
飼い主さんの後を付いて歩き、つきまとってしまったり、飼い主さんの姿が見えないと吠えたり、うろうろしたりするなどの落ち着きがない行動が見られることがあります。いわゆる「分離不安」と呼ばれる状態で「飼い主さんに甘えたい」という強い気持ちと「飼い主さんを独占したい」という気持ちから現れる行動です。
攻撃的になる
精神的に不安定になり、それまで仲良くしていた家族や他のペットに対して攻撃的になる場合があります。これは「飼い主さんを自分だけが独り占めしたい」という欲求から、他者を排除しようとしていることが原因であると考えられます。新しいペットを迎えた際には、新しいペットに対して唸ったり、吠えたりなどの行動をとったりしてしまうこともあります。これは自分の縄張りを主張する目的のほか、飼い主さんへの独占欲から新しいペットに対して威嚇行動をとってしまっているのです。
犬の赤ちゃん返りの対処法
赤ちゃん返りは犬がストレスを感じているときに主に発症する症状です。きちんと対策をすれば赤ちゃん返りを予防、改善することも可能です。
赤ちゃんが生まれるときは事前に準備
赤ちゃんが生まれるときは家族もバタバタしていたり、緊張感があったりして、少なからず犬もストレスを感じることでしょう。赤ちゃんを迎える際は、事前に赤ちゃんの匂いを嗅がせておくなど、赤ちゃんの存在に慣れさせるようにするといいでしょう。
飼い主さんも赤ちゃんのお世話で大変かもしれませんが、愛犬に対して愛情を示すことを忘れず、愛犬と散歩に行くなど、コミュニケーションの時間を確保するようにしましょう。
新しいペットを迎えるときは時間をかけて
犬はもともと群れで生活する動物です。新しい家族を迎える許容力は決して少くありません。ただし、飼い主さんの注目が新しいペットばかりに向けば、犬は不安になります。新しいペットを迎える際は、新しく迎えるペットは「最初は別の部屋にする」「ケージ越しで会わせる」ようにして、いきなり先住犬の縄張りで新入りが我が物顔をしないようにすることが大切です。
犬の性格にもよりますが、お互いの存在に慣れるためには時間がかかります。無理矢理仲良くさせようとしたりせずに、ほど良い距離感を保ち、少しずつお互いの存在に慣れさせるようにしましょう。
老犬は心も変化する
老犬になると「頑固になる」「何かに執着する」「飼い主さんに甘えたい気持ちや独占欲が強くなる」などの変化が見られることがあります。老犬になったことによって「自分の体が以前のように思うように動かせない」「どこかに不調があって不安を感じる」などのストレスがあると、余計に赤ちゃん返りのような行動が出るかもしれません。
飼い主さんは愛犬が年老いたこと、心の変化を受け入れ、愛情を伝え続けていくことが対処法の一つです。
褒めることを忘れない
犬が飼い主さんの指示に従ってくれたり、しつけ通りに行動してくれたりするのは、ひとえに飼い主さんが喜んでくれるからです。そのことを常に忘れず、犬が当たり前のようにできるようになったとしても、褒めてあげることを忘れないようにしましょう。犬は飼い主さんに褒めてもらうことで愛情を感じます。
愛情を伝える
短い時間でもいいので愛犬としっかりと向き合い、語りかけ、なでてあげ、一緒に遊び、ちゃんと愛しているということを伝えてあげましょう。専門家を頼る
赤ちゃん返りの症状がひどく、飼い主さんの手に負えない場合もまれにあります。その状態を放置すると家族や新しいペットがケガをするような事態になる恐れもあります。自分で対処するのが難しいときや、対処しても変化が見られないときは行動診療科の獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談し、一人で悩まないようにしてください。
まとめ
犬が赤ちゃん返りをする原因は環境・加齢に伴うストレスです
叱らず褒めるスタンスで愛情を最大限表現しましょう
一人で悩まず、専門家を頼ることも必要なときがあります
いつもいる存在だと愛情をわざわざ伝えることを怠りがちになってしまいますが、常に愛犬への愛情を示してあげることを忘れないようにしましょう。