犬の分離不安とは?症状や対策をトレーナーが解説
犬の「分離不安」とは、犬が飼い主さんや同居犬と離れることで不安な気持ちになり、パニックを起こすことをいいます。動物病院での薬やサプリでの治療方法もありますが、トレーニングで症状を緩和させることもできます。今回はドッグトレーナーの西岡が、分離不安の原因や症状、改善法について解説します。
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犬の分離不安とは

犬の「分離不安」とは、飼い主や他の犬と離れて自分1匹だけになることにより、強い不安や恐怖などを感じて精神的パニックを起こしてしまうことです。
起こる場所としては自宅が多いですが、お散歩中や公園などでも起こり得ます。
分離不安にも、程度の低いものから高いものまであり、さまざまな問題行動が起こるきっかけになります。
犬の分離不安の症状

体調の変化、問題行動など、分離不安の症状はさまざまで、鼻鳴きを短時間続ける程度から、我を失うほど極度のパニックになるケースもあります。
よく見られる犬の分離不安の症状
- 何時間も激しく鳴き(吠え)続ける
- 家の中を動き続け、暴れ回る
- 足や尻尾を舐めたり噛んだりの自傷行為をする
- トイレ以外の場所の至るところで粗相をする
犬の分離不安の症状がひどいケース
- 7~8時間吠え続け、声が枯れる
- 暴れて家の壁に大穴を空けたり、ソファーをボロボロにしたりする
- ハウス内で暴れ、鼻先や顔周りをぶつけたり、爪が剥がれたりして流血する
- 毛が抜け落ちて皮膚も破れ、肉が見えるくらいまで前足を舐めたり噛んだりする
犬の分離不安の原因

犬が分離不安になる主な原因として、飼い主など特定の対象への精神的な依存が挙げられます。
- 子犬の頃から1匹だけになる経験の不足
- 人や場所に慣れていない環境的要因や、社会化不足
- 飼い主の愛犬への過保護・過干渉による、精神的自立心の未発達
- 親や兄弟犬と過ごすべき子犬期に、親兄弟と早く引き離されたことによる精神の未発達
犬の生まれもった気質も、個体差として関係していると考えられます。
犬の分離不安の治療・対処法

クレートトレーニング
クレートを安心できる大好きな自分の部屋にすることで、飼い主と離れる不安な気持ちをかなり軽減できる可能性があります。「飼い主と離れること」「一人で過ごすこと」に慣れさせていくことが大切です。
クレートトレーニング手順
- 短時間でもクレートを利用し、飼い主と離れる時間を作る。可能であれば、お留守番も毎日短時間ずつさせていきましょう。
- 吠えている時は犬がいる部屋に戻らない。戻る時は吠え止んでる時が望ましいです。
- 離れたり戻ったりする時は、できるだけ落ち着いた状態で「待っててね」「ただいま」などの声掛けをする。
\One Point/
クレートで一人にさせる間は、飼い主の匂いのついた衣服やタオルなどを置いたり、嗜好性の高いおやつを使った知育オモチャ、長持ちするアキレスなどを用意すると、愛犬も安心しやすくオススメです。
「待て」のトレーニング
「待て」のトレーニングは、直接的には分離不安へのトレーニングとはなりませんが、続けることで飼い主さんとの信頼関係も強くなり、愛犬に自信がつくことで、精神的にも安定していきます。「待て」のトレーニング方法
- 飼い主の足元にいる状態で「待て」をさせる。
- 少しずつ「待て」の時間を延ばし、飼い主もその場から離れるようにする。
- 徐々に飼い主が隠れても「待て」ができるよう、距離・時間を伸ばして練習する。
\One Point/
「待て」ができたら呼んで褒めるのではなく、愛犬が待ってるところまで戻ってから褒めてあげることがポイントです。
愛犬の気質や家の環境によってもトレーニングの方法は変わってきますので、それぞれに合った方法を取らないと、逆効果になる場合もあります。
獣医師に投薬治療を勧められるほどの重度の分離不安症の場合もあります。
性格や環境にもよりますので、まずはドッグトレーナーや獣医師に相談する事を強くオススメします。
犬が分離不安になっても焦らず根気よく
飼い主や同居犬への依存心が強く、問題行動を起こすことを「分離不安」という
まずは「クレートトレーニング」や「待て」の練習がおすすめ
お留守番できるように少しずつ慣らしていくことが大切
吠えたり鳴いたりしていると「かわいそうでお留守番させられない」という意見もありますが、分離不安を放置すると愛犬がもっとかわいそうな状態になります。
飼い主さんも愛犬も健全で快適な生活を過ごしていくためにも、焦らず根気よく分離不安を改善していきましょう。