ドイツにはペットショップがないって本当? 日本と大きく違うペットの迎え方

日本では当たり前なペットショップですが、ドイツやスウェーデンなどといった国ではではペットショップがほぼありません。ドイツやスウェーデンと日本の違いについて紹介しています。

「アニマル・ウェルフェア サミット2016」

アニマルウェルフェアサミットで話す滝川クリステルさん

リオ・オリンピック閉会式帰りの小池都知事も登壇した「アニマル・ウェルフェア サミット2016」。東京大学にて、2000人を超える方々が人と動物の未来について考えました。

8月27日(土)に開催された「アニマル・ウェルフェア講座」では、ドイツ在住で獣医師のアルシャー京子さん、スウェーデン在住でドッグライターの藤田りか子さん、そしてイベントを主催する一般財団法人「クリステル・ヴィ・アンサンブル」で代表の滝川クリステルさんが、アニマル・ウェルフェアの考え方について議論しました。

前回、アニマル・ウェルフェアにのっとった犬の飼い方について紹介しましたが、今回はドイツやスウェーデンと日本の違いについて紹介します。日本において年間10万匹の犬・猫が殺されてしまっている殺処分問題を考える上で、大切なヒントが隠されています。


ペットショップって海外では当たり前じゃないって本当?


日本ではペットを迎える際に一般的なペットショップですが、ドイツやスウェーデンには犬や猫の生体販売を行っているペットショップがほぼありません

それは法律で禁止されているからというわけではなく、アニマル・ウェルフェアにのっとった設備や飼育体制を整えようとするとペットショップのようなビジネスが成り立たなくなるからです。

※記事初出時、「ドイツやスウェーデンにはペットショップがほぼありません」という記述がありましたが、犬猫以外の生体販売やフード・グッズ販売を行っているペットショップは存在しています。誤解を招きかねない表現となっていましたので、「犬や猫の生体販売を行っているペットショップ」と補足しました。(2018/04/04 12:00)

ドイツで犬や猫の生体販売を行っているペットショップ「Zoo Zajac」(ツォー・ザヤック)

ペットショップ以外から飼う文化が国民に浸透していることも大きなポイントです。それぞれの国の実情について見てみましょう。

スウェーデンは飼いやすい犬をつくるブリーディング体制が構築


スウェーデンでは、ブリーディング(繁殖)に力を入れており、例えば遺伝性の病気を持っている犬の繁殖は禁止されるなどのルールが定まっています。

さらにブリーディングを統括するケネルクラブでは3、4年前から性格や気質のテストを導入して家庭犬の気質にあった犬をつくる環境を整えています。健康的で飼いやすい犬・猫をつくることに力を入れているわけです。

一方、日本ではそういったルールや整備がされておらず、生まれつき病気を持っていたり、気性が荒く育てるのが難しい犬や猫が少なからず生まれています。その結果、捨てられ、殺処分されてしまうという現状もあります。

また、スウェーデンはブリーダーの免許制度はありませんが、ケネルクラブなどの監視が行き届いているため悪質なブリーダーは排除される体制が整っているようです。

ドイツはティアハイムと呼ばれる保護犬猫収容施設から引き取る文化が浸透


ドイツもスウェーデンと同じく、ブリーダーから子犬を迎える体制が確立されています。個人ではなく、組織としてブリーディングすることが主になっているので、監視チェック体制が行き届いています。

そしてドイツでは、ブリーダーから引き取るよりも保護犬や保護猫から引き取ることが多くあります。それは、各自治体に「ティアハイム」と呼ばれる動物保護収容施設があるからです。550のティアハイムが存在し、行政(自治体)が管理するのではなく民間に委託する形で運営されています。

※記事初出時、「700から1000ものティアハイムが存在」という記述がありましたが、ティアハイムの上部組織であるドイツ動物保護連盟(Deutscher Tierschutzbund)は同サイトで「550」と説明しており、初出時も700を超えていた事実は確認できませんでした。お詫びして訂正いたします。(2018/04/04 12:00)


日本では行政が動物愛護センターを管理していますが、安定的な税金で運営されている反面、時代に合わせたアクションが遅かったり、市民に物理的・心理的な身近さを感じさせることができていない課題があります。

一方で、ティアハイムの多くは寄付で成り立っており、行政のしがらみもないため、気軽に訪れやすい環境をつくることができています。

海外では、富裕層がステータスとして寄付をする「Pay Forward」という考え方が浸透していることも寄付が集まっている要因かもしれません。

ティアハイムの歴史自体は170年くらいになるため、「動物を迎えるならティアハイムから」という文化が市民に浸透しています。日本と大きく違うことの一つとして、ドイツでは子犬や子猫から引き取ることが当たり前という文化がなく、大きくなった犬や猫は大きさや性格がわかっているので飼いやすく、成犬や成猫を好む文化もあると言われています。


日本はどのように変わっていくべきなのか


ドイツでは職業選択の自由があるため、生体販売自体は禁止にはなっていません。にもかかわらず、ペットショップがほぼ存在しておらず、ブリーダーや保護犬猫のシェルターから引き取ることが一般的となっている理由は、動物のことを想う「アニマル・ウェルフェア」の考えが国民に浸透していることが大きいです。

ペットショップから飼うことも可能ですが、飼う際は必ず家族全員が面会する必要があったり、早くても1週間は迎えるまでに時間を要したりします。そうすることで、「衝動買いで飼ってしまったものの飼育が大変で捨てる」といったことを防止できたり、飼うことの責任をきちんと理解してから迎える環境ができているのです。

国民の意識を変えるためには時間がかかるかもしれませんが、アニマル・ウェルフェアの概念を浸透させていくことが今後の日本にとって大切なことだと言えます。小池都知事の公約「ペット殺処分ゼロ」や、今回のアニマル・ウェルフェアサミット開催は、私たちの意識を変え、新たなモラルをつくる大きな第一歩なのかもしれません。