【獣医師執筆】猫が玉ねぎを食べるのはNG!理由や食べた場合の症状、対処法を解説

佐藤貴紀

獣医師/循環器科担当/認定医

【獣医師執筆】猫が玉ねぎを食べるのはNG!理由や食べた場合の症状、対処法を解説

玉ねぎはチョコレートと並んで猫が気を付けるべき食べ物。犬と同様に猫も中毒を起こすとされています。テーブルに並んだ餃子やハンバーグを愛猫がつまみ食いしてしまうかもしれません。今回は猫が玉ねぎを食べてはいけない理由や食べた場合の症状、致死量や治療法を解説します。

目次
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この記事のまとめ

  • 玉ねぎに含まれる有機チオ硫酸化合物が猫の赤血球を破壊し中毒症状を引き起こす
  • 猫が玉ねぎを摂取すると元気消失、嘔吐、下痢、貧血などの症状が現れる
  • 致死量は体重1kg当たり15〜20gで、少量でも迅速な対処が必要
  • 特異的な解毒剤はなく、催吐や胃洗浄、対症療法で治療を行う

猫が発症する玉ねぎ中毒(ネギ中毒)とは

ネギ中毒の恐れがある玉ねぎ

玉ねぎはネギ属の植物の一種で、ニンニク、ニラ、ネギなども同じ部類に属します。球根の部分が玉ねぎとして食べられ、ビタミンB6やビタミンCを多く含むため人間にとっては健康的な食べ物ですが、猫にとっては有害です。

玉ねぎには硫黄の一種である有機チオ硫酸化合物(チオスルフィン酸化合物)が含まれ、これが粉砕されるとチオスルフィン酸アリシンを形成します。猫はこのアリシンを消化する酵素を持っていないため、赤血球に傷害を与えるのです。

以前は玉ねぎの油中の活性成分に含まれる「アリプロピルジスフィド(薄い黄色をした液体で、強い臭いを持つ有機硫黄化合物)」が原因だとされてきましたが、現在では有機チオ硫酸化合物が主な中毒物質であり、アリプロピルジスフィドはその吸収力を高めて中毒を引き起こしやすくすると言われています。

これらの中毒物質は、全身に酸素を運ぶ役割を持つ赤血球中の「ヘモグロビン」を、酸素を運べない「メトヘモグロビン」へと変化させます。メトヘモグロビンが増加すると、赤血球の内部にハインツ小体と呼ばれる塊ができ、赤血球が破壊されて溶血し、ハインツ小体溶血性貧血が引き起こされます。

つまり、猫が玉ねぎを大量に食べた場合、重度の貧血を引き起こし、最悪の場合は死に至るのです。

生の玉ねぎだけでなく、加熱調理された玉ねぎ、皮や葉も危険です。愛猫が勝手に食べてしまうことのないよう、保管場所には十分注意してください。玉ねぎそのものはもちろん、カレーやスープなど、玉ねぎを使用した料理にも注意が必要です。

猫が玉ねぎを食べた際に起こる症状

猫

猫が玉ねぎを食べてしまった場合、以下のような初期症状が見られる可能性があります。

  • 元気がない
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱

さらに貧血や血尿などの症状を呈し、死に至ることもあります。症状は、大きく分けて貧血によるものと血管内溶血によるものの二つがあります。時間がたつにつれて症状が悪化していきますので、早期発見が大切です。

貧血

二次的なもので、粘膜蒼白、頻脈、呼吸促迫、衰弱を起こします。

血管内溶血

こちらも二次的なものとして、嘔吐や下痢、血尿、あるいはヘモグロビン尿症がみられます。顕微鏡的にハインツ小体、標的赤血球、変形赤血球が観察されることがあります。

参照:大島誠之助、左向敏紀(2011)『禁忌食(その1)――タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康 ペット栄養学会誌, 14(2)』103-104

猫が玉ねぎを食べてしまった場合の応急処置・対処法

玉ねぎ

獣医師が的確な判断をすることが重要ですので、飼い主さんが正しい説明をする必要があります。 まずは中毒物質の種類の特定と摂取経路を明らかにしてください。その上で動物病院へ連絡し、その物のパッケージ(あるいは残っていた物質)を持っていくようにしましょう。

致死摂取量は体重や状態によって変わるため、少しでも食べた場合は念のため動物病院に電話することを推奨しています。猫を外に連れて行くことに抵抗がある飼い主さんも多いかと思いますが、一刻を争うこともありますので、迅速に病院に行きましょう。

検査・診断

血液検査をして数値を確認することが一般的です。

治療法

特異的な解毒剤はありません。治療は、対症療法としてビタミン剤、強心剤、利尿剤などを投与し、催吐(さいと:嘔吐を誘発すること)や胃洗浄などを行います。

摂取したのが60分以内で、まだ臨床症状を示していないのであれば催吐し、摂取したのが2〜4時間以内であれば胃洗浄を行ったり、塩類下剤の投与をしたりすることもあります。貧血が起きている場合は輸血をすることもあります。

参照:大島誠之助、左向敏紀(2011)『禁忌食(その1)――タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康 ペット栄養学会誌, 14(2)』103-104

猫が玉ねぎを食べた場合の致死量

玉ねぎ

猫における玉ねぎの中毒量は体重1kg当たり15〜20gです。大体玉ねぎ1個の重さが200gとされているので、5kgの猫で半個食べるとかなり危険です。

ただし、死に至る可能性はユリやチョコレートに比べて低いとされています。長ネギ、ニラ、ニンニクにも同類の成分(アリシン)が含まれていますが、ニンニクは接触性皮膚炎や偽喘息発作を引き起こし、玉ねぎの摂取よりは軽度な症状とされています。

猫が玉ねぎなどのネギ類を食べてしまうケース

玉ねぎ

生の玉ねぎだけでなく、餃子やカレーなど玉ねぎ成分を含む家庭料理はよく食卓に並びます。そのため、人間の食事は猫が届かない場所で行うことが大切です。ご飯の最中はケージにしまうなどしましょう。

猫は玉ねぎNGなのにニンニクが入ったフードがある?

ニンニク

ニンニクの成分であるアリシンも中毒性があるため、猫には危険です。しかし、ニンニクは人間と同様、少量なら滋養強壮やノミ対策になるとも言われています。

そのため、フードの原料に含まれていたり、サプリメントが販売されていることもありますが、個体差があるため必ず成分を確認してから購入するようにしましょう。

猫と玉ねぎに関するよくある質問

Q.
猫が玉ねぎを食べてしまった場合、どのような症状が現れますか?
A.
元気消失、嘔吐、下痢、発熱、貧血、血尿などが現れ、重症化すると命に関わることがあります。
Q.
猫にとって玉ねぎが危険な理由は何ですか?
A.
玉ねぎに含まれる有機チオ硫酸化合物が猫の赤血球を破壊し、重度の貧血や溶血を引き起こすためです。
Q.
猫が玉ねぎを食べた時の応急処置は?
A.
速やかに動物病院に連絡し、摂取した玉ねぎやパッケージを持参して受診、状況により催吐や胃洗浄を行います。
Q.
玉ねぎの致死量はどのくらいですか?
A.
体重1kgあたり15〜20gが中毒の目安で、5kgの猫なら半個ほどの量で危険な可能性があります。
Q.
調理済みの料理に含まれる玉ねぎも猫にとって危険ですか?
A.
はい。加熱された玉ねぎや料理に含まれる玉ねぎも有害で、中毒のリスクがありますので注意が必要です。

愛猫が玉ねぎを食べたらすぐ動物病院へ

玉ねぎ

人間からすると玉ねぎは非常に美味しい食物ですが、猫にとっては死に至ることもある危険な食物です。

また、玉ねぎ成分は広く使用されており、ベビーフードの多くに玉ねぎが含まれているため、間違って与えないようにしてください。

人間が食べて大丈夫でも猫が食べてはいけない食べものはたくさんあります。気をつけて、素敵なペットライフを過ごしてくださいね。

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