【獣医師執筆】猫はバナナを食べて大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説
身近なフルーツのひとつであるバナナは、猫も食べて大丈夫な食材です。ビタミンなど栄養も豊富で便秘改善効果もありますが、与え過ぎは糖尿病や肥満の原因になります。また、バナナの皮の誤飲にも注意が必要です。今回は、バナナの栄養や効果、与える際の注意点などを紹介します。
猫はバナナを食べても大丈夫
バナナはカリウムやビタミンC、食物繊維を多く含み、猫が食べても大丈夫な果物です。バナナはブドウ糖や果糖、ショ糖などの糖分を多く含み、消化・吸収の早いエネルギー源となります。糖分が多いため食べ過ぎには注意が必要です。
カリウムは細胞が正常に機能するために不可欠なミネラルの一つですが、腎臓病の猫はカリウムをうまく排出できないことがあるため摂取量に注意が必要です。また、バナナには気分を落ち着かせてリラックス効果のあるトリプトファンも多く含まれます。
ただ、肉食動物である猫は甘味を感じないため好んで食べる子は多くありません。中には美味しそうに食べる猫もいますが、それは味ではなく食感や匂いを楽しんでいるのかもしれません。
猫が食べて大丈夫なバナナの栄養成分
朝食やスポーツ時の栄養補給としてよく食べられるバナナ。バナナはブドウ糖や果糖、ショ糖などの糖分を多く含み、消化・吸収の早いエネルギー源として多く取り入れられています。
バナナダイエットが話題になりましたが、バナナのカロリーは1本77kcalと他のフルーツに比べて高いため、必要以上に食べるのは逆効果です。
ビタミンB6
ビタミンB6は水溶性ビタミンの一つで、タンパク質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液などを作る際に利用されます。そのため、タンパク質を必要とする犬には必要な成分です。皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。
モリブデン
モリブデンは鉄の働きを促進するミネラルの一つで、糖質、脂質の尿酸の代謝を助けたりします。逆に摂取しすぎると、心不全になる可能性が高くなると言われています。猫にバナナの皮を与えても大丈夫?
バナナの皮には食物繊維やビタミン、ミネラルが含まれ、猫が食べても問題はありません。しかし繊維質で硬い皮を飲み込んでしまうと、喉に詰まらせたり、腸閉塞になったりするリスクがあります。農薬が残留している可能性もありますので、与えることはオススメしません。最近、国内で新たな育成方法によって皮ごと食べられるバナナが注目されています(※)。そちらであればネコちゃんが食べても大丈夫。小さく切ったり、すり潰したりして食べさせてあげてください。
猫へのバナナの与え方
すりつぶして与えてあげましょう
バナナの実は固いため、すりつぶしてマッシュして与えてあげると消化も良くなります。また、カットして与える場合は、食べやすいように細かくカットして与えてあげるようにしましょう。喉に詰まらせてしまう危険性がありますので必ず細かくカットしてあげてください。
猫にバナナを与える頻度や量
前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。
猫にバナナを与える際の注意点
バナナの皮
バナナの皮は固いため、誤飲してしまうと胃腸で詰まってしまう可能性があります。下痢や嘔吐、場合によっては腸閉塞になり、手術が必要になる可能性もあります。必ず皮は剥いてから与えるようにしましょう。アレルギー
食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。
バナナが嫌いな場合
初めて食べる場合、受けつけないことがあります。その場合は無理に食べさせる理由はありません。様子を見て食べたそうであれば与えるようにしましょう。過剰摂取は肥満や腎臓病の原因に
与え過ぎは過剰な糖分やリンの摂取にもなり、肥満やストルバイト結石などの腎臓病になる可能性があります。与えるときはおやつ程度にしてください。猫はバナナの加工品も与えて大丈夫?
バナナジュース
ミキサーにかけてバナナジュースにして与えてあげると消化にも良いでしょう。ただし、牛乳を混ぜると嘔吐や下痢になる可能性があるため、乳糖が少ないヤギミルクやヨーグルトを混ぜて与えてあげると良いでしょう。市販のバナナジュースは加糖され、糖分が多く含まれている可能性がありますので与えないようにしてください。
乳糖不耐症とは
人間でも牛乳などの乳製品を摂るとお腹の調子が悪くなる人もいると思いますが、猫にも同じ理由で同じような症状が起こります。多くの乳製品には「乳糖」が含まれており、体の中で乳糖を分解するためには「ラクターゼ」という消化酵素が必要です。
しかし猫は乳糖を分解できない体質の子が多いため、人間用の牛乳などを飲むと胃腸が不調になり、下痢や嘔吐を引き起こしてしまう可能性があるのです。
ヨーグルト
前述の乳糖不耐症ですが、ヨーグルトはすでにその乳糖が分解されているため、乳糖不耐症による嘔吐や下痢を引き起こす可能性がとても低いです。そのため、無糖のヨーグルトにバナナをトッピングして与えてあげることはヘルシーなスイーツになるでしょう。冷凍
夏の暑い季節などには冷凍で凍らせたバナナはアイス代わりになります。ただ、固いため、誤飲などには注意が必要です。細かくカットしてから凍らせて与えてあげると良いでしょう。バナナチップ
バナナチップも与えて問題はありませんが、市販のバナナチップは油や添加物が含まれているものもあるので、無添加でノンオイルのものを選ばれると良いでしょう。バナナを食べて楽しい愛猫ライフを!
猫はバナナを食べても大丈夫ですが、どんな食材も与え過ぎには注意が必要です。また、人間にとっては安全でも猫にとっては危険な食べ物もたくさんあります。きちんと理解した上で、楽しく健康な愛猫ライフを送ってくださいね!
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