
犬にとってカツオは健康に良い食材です。しかし、犬にカツオを与える場合には、骨やアレルギーなど注意点がいくつかあります。今回はカツオに含まれる栄養素や与える際の注意点を紹介します。
犬はカツオを食べても大丈夫

カツオにはビタミンB12が豊富に含まれています。ビタミンB12には神経機能・睡眠リズムの正常化、そして鉄分と共に働き、貧血を予防します。
また、カツオの血合いにはレバーに匹敵する程の栄養があるといわれており、血中の中性脂肪を正常に保つ働きをするEPA(エイコサペンタエン酸)や脳や神経の発達に不可欠なDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。
犬へのカツオの適切な与え方
生では与えず、加熱して食べやすい大きさにカットしたものを与えましょう。特に小型犬はのどに詰まらせないよう、細かくカットしてあげることをオススメします。総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量は「ペトコトフーズ」の「食事量計算機」(無料)で簡単に計算することができます。
犬にカツオを与える際の注意点
犬にカツオを与える際の注意点01:チアミン欠乏症
チアミン(ビタミンB1)を分解する酵素「チアミナーゼ」を摂ることでチアミンが不足すると、「チアミン欠乏症」になってしまいます。私たち人間では「脚気(かっけ)」とも呼ばれています。チアミナーゼを含む食材としてはイカが有名ですが、カツオにも多く含まれます。鰹のタタキや刺身など生のカツオを食べたからといって急に問題になることはありませんが、毎日のように与えていればチアミン欠乏症となります。チアミナーゼは加熱することで不活性化します。カツオは生で与えず、茹でるなど加熱したものを与えるようにしてください。
犬にカツオを与える際の注意点02:骨に注意
カツオの骨は小さく、勢いよく食べると口や喉を傷つけたり、胃腸に負担をかける恐れがあります。最悪の場合、胃腸を傷つけ動物病院で治療が必要になることもあるので、骨は必ず取り除いてから与えるようにしましょう。
犬にカツオを与える際の注意点03:アレルギー
初めて食べる場合は少量にして、アレルギー症状が出ていないか確認するようにしてください。アレルギーの場合、以下の症状が発現する可能性があります。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
食物アレルギーは摂取後すぐに症状が現れるわけではなく、数日たってからという場合もあります。アレルギー症状が疑われる場合は、動物病院に相談するようにしてください。
犬にカツオを与える際の注意点04:ヒスタミン中毒
ヒスタミン食中毒は「ヒスタミン」という物質を含有している魚を摂取することによって発症する中毒です。カツオがもともと持っている「ヒスチジン」という物質が、細菌の持つ脱炭酸酵素の働きよって体内で「ヒスタミン」を生成します。
常温で放置することによって細菌が増殖するので、必然的にヒスタミンの生成される量も多くなり中毒を起こす確率が高くなります。
ヒスタミンは熱にとても強いため一度ヒスタミンが生成されると熱処理によって分解することは困難です。
予防策として新鮮な魚を購入することを心掛け、常温の状態で放置しないようにしましょう。ヒスタミン食中毒になると摂取後2〜3時間で以下のような症状が出るといわれています。
- 下痢
- 嘔吐
- 舌や顔の腫れ
- 蕁麻疹
- めまい
犬にカツオを与える際の注意点05:アニサキス
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、鯖やイワシ、カツオ、鮭、イカ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生します。鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生の状態で食べることで、アニサキス寄生虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
症状としては嘔吐や激しい痛みなどがあります。
アニサキスは熱に弱いので、煮たり焼いたりすればほぼ死滅すると考えて大丈夫です。また、人間であればお刺身を食べる時によく噛むことで、生きたアニサキスが体内に入ることを防ぐことができます。
しかし犬によく噛ませるのは難しいので、あらかじめ小さく切って与えてあげるとよいでしょう。
犬にカツオを与える際の注意点06:黄色脂肪症
与え過ぎると黄色脂肪症(別名 イエローファット)になる可能性があります。黄色脂肪症とは、主に青魚(まぐろ、カツオ、ぶり、サンマ等)にたくさん含まれている不飽和脂肪酸を過剰に摂取することで発症する病気です。
不飽和脂肪は少量なら、コレステロールを下げて血液をさらさらにしますが、与えすぎると脂肪を酸化させ、以下の症状を発現させます。
- 毛のツヤがなくなる
- お腹の下の方に、脂肪の固いしこりができる
- 突っ立ったような、ぎこちない歩き方をする
- お腹を触られることを極度に嫌う
まとめ
人間にとって美味しい食材でも、犬にとっては危険な食べ物もたくさんあります。それらをきちんと理解した上で、楽しいペットとの食ライフを過ごしてくださいね!
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暑い季節は半解凍で与えると、体を冷やしながら水分補給できるため熱中症対策にもおすすめですよ。
※お腹が弱いワンちゃんには、しっかり解凍してから与えるようにしてください。
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この記事の監修者
ニック・ケイブ(Nick Cave)獣医師
米国獣医栄養学専門医・PETOKOTO FOODS監修
マッセー大学獣医学部小動物内科にて一般診療に従事した後、2000年に獣医学修士号を取得(研究テーマ:犬と猫の食物アレルギーにおける栄養管理)。
2004年にはカリフォルニア大学デービス校で栄養学と免疫学の博士号を取得し、小動物臨床栄養の研修を修了。同年、米国獣医師栄養学会より米国獣医栄養学専門医に認定。
世界的な犬猫の栄養ガイドラインであるAAFCOを策定する WSAVA の設立メンバーであり、2005年より小動物医学および栄養学の准教授としてマッセー大学に復帰。
家族とともに犬2匹・猫・ヤモリと暮らしながら、犬猫の栄養学の専門家として研究・教育に携わっている。