【獣医師執筆】犬が1日に必要な水分摂取量は?計算方法や増えた・減った場合の原因や対策を解説
犬が1日に飲むべき水の量は体重1kgあたり50〜60mlが目安です。より正確な飲水量を知るためには季節(夏か冬か)や年齢(子犬か老犬か)などを考慮する必要があり、正常値から多い・少ないといった変化がある場合は病気の可能性を疑います。飲水量の計算方法や注意点・対処法について、獣医師の佐藤が解説します。
犬にとって水は大切な栄養素
犬にとって水は体の約7割を占め、6大栄養素の一つに数えられることもあるほど重要な存在です。水分不足が続くと腎機能が低下し、腎臓病や膀胱炎、結石など泌尿器疾患のリスクが上がります。犬の正常な飲水量の計算方法
犬が1日に飲むべき水の量は、体重1kgあたり50〜60mlが目安とされています。体重3kgの犬であれば150〜180ml、5kgでは250〜300mlとなります。幅があるのは、同じ体重の犬でも活動量や心身の健康状態、年齢などによって飲むべき量が違うためです。
より正確な量を知りたい場合は、「1日の最適カロリー量=1日の最適飲水量」と考えていただけるといいでしょう。単位を「kcal」から「ml」にしたものが、1日の最適飲水量です。例えば1日の最適カロリー量が250kcalの犬は、1日に250mlの水を飲むのが最適ということになります。1日の最適カロリー量は、ペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。
愛犬のカロリー計算をする
犬の飲水量が増えた・減った場合の原因
水は五大栄養素「タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル」に加えて六大栄養素に数えられることもあり、体から20%失われただけで死に直結するほど欠かせない栄養素です。しかし、飲みすぎれば中毒になることもあり(通常は起こりません)、多すぎず少なすぎず、適量を飲むことが大切です。
もし愛犬に「いつもより水を多く飲んでいる・飲まなくなった」といった変化が現れたら、病気に起因している、もしくは病気の原因になる可能性を疑ってください。
ごはんを切り替えた
普段ドライフードを食べている場合は、ドライフードの水分量が少ないため、基本的に水を与えて水分摂取をする必要があります。一方で、ペトコトフーズなどの冷凍フレッシュペットフードやウェットフードは水分量が70%程度と豊富なため、ごはんを食べるだけで一定の水分摂取ができています。そのため、ドライフードからフレッシュフードに切り替えた場合は、水を飲む量が減る可能性があります。水分はきちんと補給できていますので、おしっこが出ていれば問題ないでしょう。
年齢の変化や体調の悪化
急に水を飲まなくなった場合、実は十分に飲んでいたり(飼い主さんの勘違いや食事から摂取できているなど)、環境の変化によるストレスで飲まなくなったり、病気が原因で「飲む気が無くなった」、もしくは口や体の痛みで「飲みたいけど飲めない」といった可能性が考えられます。脱水症状が続けば腎臓や心臓、脳がダメージを受け、緊急性が高い状態に陥る可能性もあります。明らかに水を飲んでいなかったり、他に気になる様子が見られる場合は、動物病院で診てもらうことをお勧めします。
熱中症など環境の変化
急に水を飲むようになった場合、気温上昇や乾燥、食事、おやつ、ストレスの影響を受けた「生理的な多飲」と「病的な多飲」が考えられます。まずは環境や食事を見直して、生理的な多飲が疑われる場合は考えられる原因を取り除きましょう。気温上昇の場合は熱中症の可能性もありますので、できるだけ早く原因を見つけて対処することが大切です。万が一、1日に体重1kgあたり100ml以上飲むような場合は病的と言えます。原因として誤飲や腎臓病、ホルモン疾患、子宮蓄膿症などが考えられます。他にも、下痢や嘔吐を繰り返すと体が一時的に脱水状態に陥り飲水量が増加しますので、多飲になる病気は少なくありません。少しでも気になる様子がある場合は、動物病院で診てもらうことをお勧めします。
犬の飲水量が減った場合の対策
ごはんに水を追加する
水を混ぜてふやかすことで水分摂取につながります。ただ、それならウェットフードに変えることも検討されるといいでしょう。ドライフードは超高温加熱によって水分をほとんど含みませんが(10%以下)、冷凍フレッシュフードやウェットフードなら70%以上の水分を含みます。また、老犬になると体を動かすのがおっくうになって飲まなくなったり、若くて結石や腎臓病の心配があるのにあまり飲んでくれなかったり、水を飲むのが苦手な愛犬に悩む飼い主さんは少なくありません。そこでもご飯から水分が摂れることは大切です。
また、飲水よりも食材の水分を摂取したほうが水分の吸収量が高いこともわかっています。1日の最適カロリー量の10%以内であればトッピングやおやつを与えても問題ありませんので、水分量の多い野菜や果物を与えるのもいいでしょう。カロリーが気になる場合は、おやつ代わりに氷をあげるのもお勧めです。
生活環境を見直して水分摂取を促す
水を飲まない理由は一つとは限りませんので、以下のような工夫を組み合わせて試してみてください。- 新鮮な水を用意する(こまめに交換しましょう)
- 食器台を利用する(肩の高さが飲みやすい位置)
- 自動給水器を使う(流水が好きな子もいます)
- 部屋ごとに水を置く(よくいる場所に置きましょう)
- 静かな部屋に置く(騒音がストレスになっている場合も)
- クレートの中に置く(安心できる場所で飲みたいかも)
- 飲んだら褒める(楽しい記憶と紐付けましょう)
うまくいかない場合は一人で悩みすぎず、ドッグトレーナーや行動診療科の獣医師など専門家に相談することをお勧めします。飼い主さんが見逃していた意外な原因に気づけるかもしれません。
犬の水分摂取がしやすいおすすめごはん
犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。
1. 総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。
実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。
ペトコトフーズの公式HPを見る
まとめ
飲水量の目安は体重1kgあたり50〜60ml
1日の最適カロリー量と同等量がより正確
急に水を飲む・飲まない場合は注意
飲まない犬は生活や食事を見直す
専門家相談のインスタライブ開催中!
ペトコトのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」やトリマーやトレーナーへの相談会を定期開催しています。愛犬について気になることがある方は、ぜひご参加ください。
アカウントをフォローする