猫の鼻が赤い?色が変わる理由や対処法などを獣医師が解説

猫の鼻が赤い?色が変わる理由や対処法などを獣医師が解説

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皆さんは猫の顔を見たときにどの部分が目に入ってきますか? 「目」「鼻」「輪郭」そして「耳」など色々なパーツがありますが、やはり印象が強いのは目や鼻でしょうか。ご存じの方も多いと思いますが、実は猫の鼻も個体差があってさまざまです。今回は猫の鼻やその異変について、かどのペットクリニック院長の葛野が紹介します。

症状 猫の鼻が赤い
原因 健康な場合 興奮、一時的な発熱、老化など
病気・怪我の場合 風邪からくる発熱、腫瘍、好酸球性肉芽腫症候群など
危険度 低め。猫の鼻が赤くなることは珍しいことではありません。

猫の鼻の色について

猫

猫の鼻の色というとどんな色をイメージしますか? 黒・ピンク・うっすらグレーがかったような色や、パット見たときに「何か汚れがついているのかな?」と思うような、まだらの入った鼻の猫もいて、思い浮かべる色は皆さんそれぞれ違うのではないでしょうか。

実は、鼻の色は皮膚表面に含まれる色素の量により決まっており、人間でも肌が白い人、少し茶色みがかっている人とさまざまなように、猫の鼻の色もさまざまです。

被毛を色づけるのと同じで「メラニン」と呼ばれる色素の量によって色が決まるため、メラニン色素の乏しい、毛色が薄い子はお鼻の色も薄くなる傾向があります。

また皮膚の持つ色素の細胞のため、被毛に覆われる部分は目立たないためわかりづらいですが、皮膚全体や肉球の色も同様で、メラニン色素が色づけています。

そのため肉球の色と鼻の色も同じようなものの可能性が高いのです。

猫の鼻の色が赤くなることがある?

猫

それでは、猫の鼻が赤くなるという異変について、見ていきましょう。前述の通り、鼻の部分ですが、お家の子の鼻の色によって、鼻の異変のわかりやすさは変わってきます。

鼻が黒っぽい子は赤くなっていることがわかりにくいケースが多いため、普段の色を覚えておいて、比較できると良いでしょう。

もちろん色が変わったからといって、必ずしも病気というわけではありません。

鼻の周囲にももちろん血管が走っているため、興奮したり、体温が上がったりした場合でも、他の皮膚と同様で赤く見えることもあります。

鼻が赤かった場合、どのようなことが考えられるのでしょうか。「健康な場合」と「病気・怪我の場合」に大きく分けて解説します。

健康な場合

健康な場合に考えられることは以下の2点です。

  • 興奮して充血している
  • 老化によるもの

まず健康な場合、赤く見えたときに考えられるのは「興奮」や「発熱」によるものです。

鼻も皮膚の一部であるため、周囲には毛細血管が走っており、興奮や発熱により血圧が上がることによって、充血して赤く見えることがあります。

家ではそんなことはなかったのに、動物病院の診察室で、緊張や興奮のあまり皮膚表面が赤くなることもよく見られる光景です。

また、老化によってその子の癖になっている仕草で鼻を擦り付けたり、もともと黒い色素の強かった子が色素が抜けてきた際に赤く感じることがありますが、これは病的なものだけで無く、健康な子でも起こり得る現象です。


病気・怪我の場合

病気・怪我の場合に考えられるのは大きく以下の5点です。

  • 外傷
  • 発熱
  • 腫瘍(扁平上皮癌)
  • 好酸球性肉芽腫症候群
  • その他

外傷

何かの傷によって皮膚表面が割れてしまっていたり、特に野良猫や、多頭飼いの方などは他の猫とのけんかで、鼻に傷を負ってしまうことももちろんあります。

発熱

健康な場合でもあるとお話しした「発熱」です。病的な発熱もあり得て、熱中症や猫によく起こる風邪などでも体温は上がり、赤く見えることはあるでしょう。

腫瘍

またさらにまれなケースになりますが、腫瘍の場合もあり得ます。腫瘍では「扁平上皮癌」と呼ばれる悪性の腫瘍は、罹患してしまった場合鼻によく出やすいといわれています。

腫瘍の場合、表面が割れる自壊であったり、潰瘍状になるなどなった場合に赤く見えることになりますが、その際はただ赤いのではなく、表面がゴツゴツしたり、なめらかでは無い場合も多く、おそらく普段との違いがわかりやすくなる可能性が高いでしょう。

好酸球性肉芽腫症候群

好酸球性肉芽腫症候群というのは、アレルギーや感染などにより起こる強い皮膚炎の反応のことを示します。こちらも腫瘍と同様、まれなケースになります。

鼻がよくなりやすい部位というわけではありませんが、軟口蓋(口腔内の上顎の部分)や上唇部に潰瘍やびらんとして症状が出やすいといわれています。

さらに広がり、鼻の部分にまで症状が及んだ場合、赤く見える可能性もあります。

猫の鼻が赤いときの対処法

猫

健康な場合でも、猫の鼻は赤くなりますので、慌ててご自宅でする対処が必要な場合は多くはありませんので、ご安心ください。

もし体を触って発熱の可能性が考えられたりするようでしたら、体を少し冷やしてあげると猫は楽になるかもしれません。

その際に下顎からつながる首の腹側部分や脇の下、太股の内側部分などは太い血管が走っているので、その部分を冷やしてあげると効率よく体を冷やせるでしょう。

何か病気や熱中症などが背景に考えられる場合、体を冷やしながら、速やかに病院を受診しましょう。

食欲が落ちていたり、猫がその部分を気にしている、出血を伴っているなど病気である可能性のある鼻の赤みの場合は病院へ早めの受診をされることをおすすめします。

鼻が赤いからといって、すべてが異常ではありません。付随する症状が無いか、愛猫の年齢や体の状態などを合わせて判断して、そのまま少し様子を見るのか、病院へ行くのか決めても良いと思います。

猫の鼻が赤くなることは珍しくありません

2匹の猫

鼻が赤いと気づいて、びっくりしてしまうケースが多いと思いますが決して珍しいことではありません。

実は病院に来て「先生!鼻が赤い気がする!」と言われ、少し落ち着いてきたら「あれ?さっきは赤いと思ったのに……」と一時的な興奮や緊張のためだったことなどのケースはよくあったりします。

もちろん心配だった場合、獣医師に診てもらうのが一番安心ではありますが、慌てないためにも、普段の色はどんな色なのか、日常生活で赤くなるタイミングはあるのか把握できているといいですね。

参考文献

  • 山根 義久 (著)「イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科」ピエ・ブックス、2006/4/21
  • 永田雅彦 (著)「犬と猫の皮膚科臨床」ファームプレス、2000/04

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