野良猫に餌をあげるのは違法? 法律や飼い方、地域猫活動を解説
街で見かけるかわいい野良猫たち。猫好きとしては触ったり、餌をあげたりしたくなりますよね。でも何となく、「野良猫への餌やりはいけないこと」と思っている方も少なくないと思います。野良猫に餌をあげることは違法だったり、違法でなくても良くないことだったりするのでしょうか? 今回は、日本の法律における野良猫の考え方や、野良猫との正しい接し方について解説します。
「野良猫」って何?
野良猫は、一般的には「飼い主のいない猫」と認識されていると思います。しかし実態としては、特定の家を寝床にして自由気ままに出入りしたり、飲食店など特定の人から日常的に餌をもらったりして生活している「明確な飼い主のいない猫」というケースが多いと思います。最近では地域住民と行政、ボランティアが一体となって餌やり、糞の片付けなどを行う「地域猫活動」と呼ばれる活動も行われるようになってきました。こういった猫たちは「野良猫」ではなく「地域猫」と呼ばれています(※)。日本の猫は、一言で「猫」と言っても、どこに住んでいるか、誰が飼っているか、もしくは誰が管理しているかで呼び方がいろいろ変わります。
※本来の「地域猫活動」とは異なる活動でも、「地域の野良猫に関する活動」として使われる場合があります。また、地域によって野良猫に関する活動を「まちねこ活動」や「あすなろ猫事業」と呼んでいる場合もあります。
「野良犬」は存在してはいけない?
一方で「野良犬」はどうでしょうか。香川県や茨城県、広島県、沖縄県など(※)現在も野良犬(野犬)が社会問題になっている地域もあるのですが、都市部の方は、野良犬と言ってもペットが脱走した迷い犬を見るくらいしか見る機会が無くなったと思います。これは「狂犬病予防法」によって、野良犬は存在してはいけないことになっているからです。※所有者不明の犬の引き取り数が多い県(平成27年度・環境省)
予防員は、第四条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は第五条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。
「狂犬病予防法」第六条第一項
ただし狂犬病になるのは犬に限った話ではなく、人が感染するのと同じように、猫や牛、馬などが狂犬病になる可能性もあります。実際、狂犬病予防法にひも付く「犬等の輸出入検疫規則」では、犬だけでなく猫、アライグマ、キツネ、スカンクが輸出入検疫の対象になっています。
もっとも狂犬病予防法による犬以外の捕獲は狂犬病発生時となっていますので、野良猫が同法によって捕獲されることは通常ありません。また野良猫に見えても本当に飼い主がいないのか分かりませんので、保健所などの行政が駆除・殺処分を目的として捕獲することもありません。これは後述する「動物愛護管理法」が関係しているのですが、野良猫は野良犬と違って存在していても法的には問題ないことになっています。
「ペットの猫」と「野良猫」の違い
話を猫に戻して、「ペットの猫」と「野良猫」の違いについて考えてみましょう。「誰でも飼える猫」と「飼うのに許可がいる猫」の違い
アニメ『けものフレンズ』でもおなじみの「サーバルキャット」や「カラカル」といった動物園で見るような大型の猫科動物は、日本では動物愛護管理法にひも付く「特定動物の飼養又は保管の方法の細目」という環境省の告示で「特定動物」として指定されています。現実的かどうかは別として、特定動物は飼育環境(飼育や保管が困難になった場合の措置も含む)が整って許可をもらうことができれば、チーターでもペットとして飼うことが可能です。人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物(以下「特定動物」という。)の飼養又は保管を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、特定動物の種類ごとに、特定動物の飼養又は保管のための施設の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
「動物愛護管理法」第二十六条第一項
一方、アメリカンショートヘアやロシアンブルー、マンチカンなど、「イエネコ」と呼ばれる一般的な猫は、基本的にはお金さえあれば誰でもペットとして飼えてしまいます。もちろん飼育環境の基準がありますので、どんな飼い方をしてもいいというわけではありませんが(ネグレクトを含む犬猫の虐待・遺棄は犯罪です)、特定動物のように許可が必要となることはありませんし、届け出をする必要もありません。ただ条例で犬猫あわせて10匹以上の多頭飼育をしている方に、届け出を義務付けている自治体もあります。
- 犬・猫の多頭飼養の届出について(千葉県)
なお犬は狂犬病予防法によって、数に関係なく「届け出を行うこと」「鑑札を付けること」が義務になっています。
犬の所有者は、犬を取得した日(生後九十日以内の犬を取得した場合にあつては、生後九十日を経過した日)から三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長。以下同じ。)に犬の登録を申請しなければならない。
「狂犬病予防法」第四条第一項
野良猫の寿命はとても短い
近年、猫は屋内飼育が当たり前になっていますが、法律上は努力義務となっているため徹底されておらず、街で見た首輪をしていない猫が野良猫なのか、ペットとして飼われている猫が外を歩いているだけなのかは、見た目ではわかりません。そうなると屋内飼育されているペットと野良猫に飼い主がいるかいないか以外の違いは無さそうですが、他に明確に違うのが「寿命」です。ペットの猫は平均寿命が15歳ほどと言われています。最近では獣医学の進歩で猫も高齢化が進んでおり、20歳を超えても元気な猫は少なくありません。一方、野良猫も地域猫活動の浸透もあり平均寿命が伸びているとは言われていますが、ペットの半分以下で4年から5年ほどと考えられています。死因は交通事故が最も多く、病気や飢えで死ぬこともあります。皆さんの中には「家を出入りしていた猫が急に来なくなった」「死期を悟ったように出て行き、帰ってこなかった」という話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、急にいなくなった場合はだいたい交通事故で死んでいます。人間社会は、猫が生きるにはとても厳しい環境なのです。
野良猫の食べ物
野良猫は普段どんなものを食べているのでしょうか。猫は肉食動物ですから、屋外ではネズミやスズメを捕まえて食べていたはずです。しかし、現在では人から食べ物をもらったり、ゴミを漁ったりして容易に餌にありつけるようになったため、獲物を捕まえて食べることは少なくなったようです。猫島として知られる田代島(宮城県石巻市)で見た、お魚くわえた野良猫。民宿の方が早朝に釣った魚を猫たちに配り、猫たちは生の魚をバリバリ食べていました
「捨て猫・迷い猫」と「野良猫」の違い
野良猫というのは、どのような経緯で野良猫になったのでしょうか。考えられる経緯は主に三つです。- 野良猫の子どもとして生まれた、生まれながらの野良猫
- ペットが捨てられた捨て猫からの野良猫(犬猫の遺棄は犯罪です)
- 家から脱走した迷い猫からの野良猫
屋内飼育されていた捨て猫と迷い猫は、屋外の環境で生活する方法を知らずに育っていますので餌の見つけ方も分からず、生きていくのは簡単なことではありません。そのため野良猫は生まれながらに野良猫であるパターンがもっとも多いと言えます。
なお、猫の行動範囲は意外と狭く、数十メートルから数百メートルほどと言われていますので、もし脱走してしまった場合は慌てず家の周りを探してみてください。直後であれば近くにいる可能性が非常に高いです。
野良猫に餌をあげるのは違法?
続いて、野良猫について法律の観点から考えてみましょう。「イエネコ」と「ノネコ」の違い
日本では猫に関わる法律は「動物愛護管理法」(動物の愛護及び管理に関する法律)と、実はもう一つあり、それは「鳥獣保護法」(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)です。二つとも猫に関係する法律ですが、前者の指す猫が「イエネコ」で、後者の指す猫が「ノネコ」であるという大きな違いがあります。このイエネコとノネコの違いは非常にあいまいで、生き物としての違いは何も無く、人の生活圏にいるのがイエネコで、山などで人と関わること無く自活しているのがノネコとされています。ちなみに、この法律による違いは「あいまい」というより「奇妙」と言ったほうがいいほどで、今から50年以上前の国会では違いを問われた林野庁指導部長が犬の場合について「狩猟家がノイヌをとりまして自分の家で飼養するということになりますと、それは飼養鳥獣でありますので、自己の支配下で飼養されているノイヌであるというふうに解釈されます」という迷言を残しています。
この区別によって何が変わってくるかというと、一番のポイントは「狩猟ができるかどうか」です。ノイヌ・ノネコは「鳥獣保護法」のもとで合法的にハンティングが行える一方で、野良犬・野良猫をハンティングした場合は「動物愛護管理法」によって違法行為になるのです。
少し話が脱線してしまいましたが、ここで確認しておきたい重要なことは、野良猫は飼い主がいるかどうかに関わらず、「人の生活圏の中で暮らしている場合は、動物愛護管理法の対象になる」ということです。
動物愛護管理法における「餌やり」の位置付けとは
2015年2月、京都市が議会で審議を始めた「動物による迷惑等の防止に関する条例」案が、野良猫への餌やりを禁止する条例だとして話題になりました。最終的に、この条例案には修正が入り「市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌を行ってはならない」(動物との共生に向けたマナー等に関する条例)として同年7月から施行されています。ここで巻き起こった野良猫の餌やりの是非を巡る議論は、「野良猫」の立ち位置の難しさを物語っています。前述した通り、野良猫は動物愛護管理法の対象動物です。「動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護」(同法第一条)とある通り、食べるものが無く飢えている野良猫に餌をあげる行為そのものは、違法ではありません。むしろ健康と安全の保持のために推奨されているといえます。一方で野生動物になると飢えも生態系の中で起き得ることとして、餌をあげる行為は基本的に推奨されていません。「鳥獣保護法」の中でこそ禁止されてはいませんが、地域によって「餌やり防止」を呼び掛けたり、条例で特定の動物への餌やりを禁止しているケースもあります(※)。
※一例として「西宮市いのしし餌やり禁止条例」など。
ただ京都市の条例もそうですが、動物愛護管理法は無条件で餌やりを推奨しているわけではないということを忘れてはいけません。動物愛護管理法の目的は、「動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図る」(同法第一条)ことであり、「人のため」が前提にある法律なのです。そのため、人の生活環境に悪影響が起きる餌やりをしてはいけません。先ほどの京都市の条例には罰則規定があり、不適切な餌やりをして市長の勧告・命令に従わなかった場合は「5万円以下の過料に処する」とされています。
もし「野良猫」に毒入りの餌を食べさせたら
人と猫の共生を考える上で忘れてはいけないのは、いくら猫好きが増えてきたと言っても、「みんなが猫好きなわけではない」ということです。猫が嫌いな人もいますので、「人と動物の共生=みんなが猫をかわいがること」ではありません。しかし、もし猫が嫌いだったり、鳴き声や糞尿で迷惑したりしている人が、駆除を目的として勝手に餌に毒を入れて食べさせた場合はどうなるのでしょうか。この場合は、動物愛護管理法によって処罰されます。同法第四十四条で、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」とされ、懲役刑が科されることもある犯罪行為なのです。「餌やり禁止」で「野良猫」を減らせるのか
野良猫に困っている方の中には、「餌やりをするから野良猫が増えるんだ」と考える方も少なくありません。日本の法律では野良猫は愛護動物であるため飢えさせることを目的に餌やりを禁止することはできないのですが、仮に餌やりを禁止すると野良猫は減るのでしょうか。それはあまり期待できない結果になるばかりか、問題がより深刻になることが予想されます。まず、お腹を空かせた猫は餌を探して家に侵入したりゴミを漁ったりするようになり、人の生活環境に悪影響をおよぼす可能性があります。次に、動物は空腹が続くと生存本能が強化され、繁殖を優先するようになります。ただでさえ繁殖能力が高い猫が繁殖機会を増やすことになれば、大変なことになってしまうのです。
3年で2000匹に増える!? 猫の繁殖能力
猫は繁殖力が高いというのは皆さんも聞いたことがあると思いますが、実際どれくらいなのでしょうか。メス猫は生後半年ほどで子どもを産めるようになり、1回に4~8匹の子どもを産み、1年では2~4回産むことができます。そうすると、生まれた子どもたちが死ぬことなく繁殖を続けたと仮定した場合、単純計算で1年後には20匹以上。2年後には80匹以上。3年後には2000匹以上に増えてしまうのです(※それぐらいの繁殖能力を持っているという仮定の話です)。これだけの繁殖能力があるわけですから、猫の個体数を「餌やり禁止」だけで管理するのは現実的ではないということがわかると思います。個体数の管理を行う最善の方法は不妊去勢手術であり、近年注目されているのが、地域住民と行政、ボランティアが一体となって行われる「地域猫活動」なのです。
「野良猫」との接し方
ここまでで、「野良猫は愛護動物であるため餌やりは禁止されていないこと」「適切なやり方であればむしろ行うべきであること」「個体数を管理するため不妊去勢手術は絶対に行うべきであること」を説明しました。では、実際に私たちが街中で猫に出会った場合はどう接すればいいのでしょうか。注意が必要なのは、出会った猫が「地域猫」の場合です。「地域猫活動」とは
地域猫活動とは、地域住民と行政、ボランティアが一体となって野良猫を管理し、猫のトラブルをゼロにする活動のことで、横浜市の職員だった黒澤泰さん(現在は神奈川県動物愛護協会の常務理事)が20年ほど前に横浜市磯子区の野良猫対策として始めました。その成果が注目され、現在では全国に取り組みが広まっています。「地域猫」の定義
環境省は2010年に「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」を公開し、この中で「地域猫」を以下のように定義しています。地域の理解と協力を得て、地域住民の認知と合意が得られている、特定の飼い主のいない猫。その地域にあった方法で、飼育管理者を明確にし、飼育する対象の猫を把握するとともに、フードやふん尿の管理、不妊去勢手術の徹底、周辺美化など地域のルールに基づいて適切に飼育管理し、これ以上数を増やさず、一代限りの生を全うさせる猫を指します。
地域猫に勝手な餌やりはNG
地域猫には、餌をあげる人と時間、場所が決まっていますので、勝手に餌やりをしてはいけません。ただし、地域猫活動は「猫好きがやる活動」でも「ボランティアがやる活動」でもありません。地域猫活動は、「猫のトラブルをゼロにする活動」であり、地域猫活動が対処しようとしているのは「猫の問題」ではなく、「地域の環境問題」だからです。地域猫に餌をあげたいという人は、ぜひ地域猫活動に参加して、その地域において適切な餌やりをするようにしてください。地域猫活動は「地域住民・行政・ボランティア」による三位一体の活動ですので、住んでいる地域で地域猫活動が行われているかどうかは行政が必ず知っています。確認したい場合は、役所や保健所などにお問い合わせください。
野良猫の餌やりで注意すべきこと
地域猫活動が行われていない地域で餌やりをする場合は、必ず餌入れとなる容器を使ってその場で片付けるところまで一貫して行うようにしてください。容器を使わず地面に直接、餌を置いたり、容器を使っても後で取りに来るからと置きっ放しにすると、汚れたりカラスやハト、スズメ、ナメクジなどの昆虫が集まって新たな住民トラブルに発生することもあります。野良猫の餌でおすすめの種類は何?
野良猫は歯周病になっている可能性もありますので、噛み切る必要がある大きなフードやおやつは避け、飲み込みやすい小さめの乾いたフードを与えるのがいいでしょう。猫にとって餌の確保が難しい地域の場合は、高カロリーの療法食がおすすめです。野良猫に威嚇されたら
人から餌をもらっている野良猫は人に慣れしている場合が多いのですが、中には警戒心が強く、近付くと威嚇してくる猫もいます。野良猫に攻撃されて傷を負うと、思ったよりも重症になる場合がありますので十分に注意してください。猫の警戒・威嚇行動
猫は警戒態勢に入ると、重心を低くし、いつでも逃げられるように後ろ足に力をためながらジッと対象を見つめます。さらに警戒レベルが高くなると、自分を落ち着かせるようにしっぽをパタパタと横に振り出します。そしてしっぽの動きが止まり、しっぽが直立したり毛が逆立つようになると警戒モードから威嚇モードです。お尻が高くなり攻撃態勢に入ります。口は軽く開き、牙が見えるようになります。「フーッ」「シャーッ」という声が聞こえたら攻撃する寸前です。ここでさらに近付けば、次の瞬間には猫パンチが飛んできます。ちなみに猫パンチにも種類があり、警戒レベルが低く叩くだけのときもあれば、爪が出て引っ掻き攻撃も加えてくる場合もあります。もし噛まれたり引っ掻かれたら
無理矢理に抱っこしたり嫌がっている猫の口に手を近付けたりしなければ噛まれることはありませんが、もし噛まれたり爪で引っ掻かれたりしたらどうなるでしょうか。鋭い牙と爪ですぐ外傷になりますが、怖いのはその後です。まず野良猫かペットかに関わらず、猫の口内にはパスツレラ菌といった人にも感染する細菌がいますので、それに感染すると思った以上に重症化する場合があります。引っ掻かれた場合も同様で、傷口が大きく腫れたり、体内に侵入した細菌で重度の感染症を引き起こす場合があります。野良猫は爪で自分の糞を触っていることがありますので、ニャンコのかわいい手は、実は人にとってとても危険な手でもあるのです。
猫がなつく人の特徴
野良猫に限った話ではなく、猫は群れではなく単独行動をする動物ですので、警戒心を強く持っています。餌をくれる人に懐きやすいのは間違いありませんが、あまり干渉しようとしない人も安心できる存在として猫に好かれます。猫に好かれたい人は、近付きたい気持ちや触りたい気持ちを抑え、姿勢を低くして目を見つめず、じっとしていると猫の方から近付いて来てくれるかもしれません。猫の頭上の動きや素早い動き、大きな音は嫌われますので注意しましょう。ただ、前述した感染症や被毛のダニ・ノミが移る可能性もありますので、かわいいからといって野良猫に触ることはオススメしません。野良猫の飼い方
皆さんの知り合いで、「野良猫が勝手に家に入ってきてそのままペットになってしまった」という方は少なくないと思います。保護団体が保護した野良猫の里親になる方もいますし、筆者も元野良猫と暮らしています。猫は外で暮らすのが幸せなのか、室内で暮らすのが幸せなのか。猫に聞いてみない限り答えは出ませんが、「猫を部屋に閉じ込めるのはかわいそう」という考えは間違いです。猫は自分の縄張りを大事にしますので、天敵のいない部屋の中はとても過ごしやすい場所です。外には車や病気も含めて猫の命を脅かす存在がたくさんいます。猫の平均寿命が伸びていることと、室内飼育が当たり前になってきたことは、決して関係のない話とは言えないでしょう。
それでも、「部屋の中は思い切り動けなくてかわいそう」と思う方は、横だけでなく縦の移動にも気を付けてあげてください。猫は高いところに登るのが大好きですし、部屋を見渡せる場所は安心できる場所でもあります。家具でそういった場所を作るのが難しい場合は、キャットタワーを活用してください。いろいろな機能を組み合わせた大型のものから、省スペースで設置できるポールタイプまでさまざまあります。
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動物愛護センターから野良猫を引き取る
動物愛護センターには、成猫だけでなく子猫もたくさん保護されています。特に生まれたばかりの猫は飼育が非常に難しく、動物愛護センターに保護された場合は適切な飼育が行えないことから殺処分になる可能性が高い存在です。子猫が欲しい方はぜひペットショップに行く前に、動物愛護センターを訪れてみてください。保護団体から元野良猫を譲渡してもらう
猫の保護団体は、動物愛護センターから引き取ったり、TNR活動(※)の中で保護したりして、新しい猫の里親さんを探しています。動物愛護センターの猫よりも人慣れしている可能性がありますし飼い方のアドバイスを受けることもできますので、初めて猫を飼う方にオススメです。※Trap、Neuter、Returnの略で、捕獲し、不妊去勢手術をして、元の場所に戻すこと。
保護猫カフェ
最近は保護された猫の譲渡を目的とした猫カフェ「保護猫カフェ」も増えてきました。猫カフェですから部屋で自由に動き回っているため、性格も分かり、家に迎えたときのイメージがつきやすいのがメリットです。OMUSUBI
インターネット上には保護猫のマッチングサービスがいくつかあります。その一つが「OMUSUBI」(お結び)です。犬の保護団体を含む審査を経て登録された団体がたくさん参加していますので、ぜひ覗いてみてください。里親になることが野良猫の幸せに
ここ数年で殺処分問題に注目が集まるようになり、不幸な猫は以前に比べれば減ってきたと言えます。しかし、皆さんは最近も街で野良猫を見掛けたことがあると思います。ペットの猫と野良猫で平均寿命は圧倒的に異なりますので、命のことを最優先に考えれば人間社会で生きる猫は外で暮らすべきではありません。日本では野良猫は野生動物と違って、人に保護され、人と共に生きるべき愛護動物と位置付けられています。まだまだ安心して暮らせる家を必要としている猫たちはたくさんいますので、猫を迎えることができる環境にある方は、ぜひ保護猫や野良猫(※)たちの里親になることを検討してみてください。
※野良猫の中には生涯にわたって人に懐かない子もいます。個体によって室内飼育が困難な場合もありますので、個人で野良猫を保護する場合は注意してください。
第2稿:2017年11月4日 公開
初稿:2017年3月31日 公開
初稿:2017年3月31日 公開