犬の正しい褒め方とは? ご褒美を使って楽しくしつける方法をトレーナーが伝授

犬の正しい褒め方とは? ご褒美を使って楽しくしつける方法をトレーナーが伝授

犬は「褒めることで賢くなる」といわれています。それは、叱るしつけよりも褒めるしつけのほうが、犬にとっても飼い主さんにとってもハッピーだからです。しかし、正しいタイミングで正しい褒め方をしなければ意味がありません。今回は、犬の正しい褒め方や、犬が喜ぶご褒美の使い方について解説します。

褒めるしつけとは

トレーニングする飼い主と犬

褒めるしつけは「陽性強化」とも呼ばれるトレーニング方法で、犬自身がとった行動を強化することです。たとえば、「座ってみたらおやつがもらえた! また座ってみようかな?」といったように、犬自身に考えさせることが大切です。


褒めるしつけがいいといわれる理由

なでなでされる白柴

「しつけ」というと、「叱ったり褒めたりといったアメとムチが大事なのでは?」と思う人も少なくないと思います。ではなぜ「褒めるしつけ」が広まってきたのでしょうか。それは、褒めるほうが叱ることよりも簡単だからです。褒めることは犬にとってわかりやすく、人にとっても安定的に行動しやすいものです。

「良いことを褒める」という行動は、素直な気持ちでおこなうことができますし、犬が喜ぶ姿を見ることで飼い主さんも満たされた気持ちになります。褒めてもらうということは犬にとっても、ご褒美がもらえたり、飼い主さんが笑顔で話しかけてくれたり、「嬉しい」と感じるられることなのです。

一方、「叱るしつけ」では飼い主さんの気持ちが大きく影響してしまうため、「正しく叱る」ということが難しいです。犬にとっても、叱られることで恐怖したり、攻撃に出たりと反応が変わってきます。叱ることは褒めることよりもタイミングや叱り方が難しいために、褒めるしつけ(陽性強化)が浸透してきたといえます。

犬の正しい褒め方

犬

叱ることよりも簡単だと言った「褒め」ですが、ただ褒めればいいわけではありません。褒めるタイミングや声のかけ方、ご褒美の使い方など、褒め方にもいろいろあります。

  • 高い声で声をかける
  • おやつをあげる
  • 撫でてあげる

これらは一般的に、犬が褒められていると感じやすい褒め方です。しかし褒めるしつけには、他にもやり方や注意点があります。

褒めるタイミング

言葉の通じない犬にとって、タイミングはとても大切です。「昨日はちゃんとトイレでできて偉かったね!」と言っておやつをあげても、時間が立った後では、犬はなぜ褒められたのか、なぜおやつがもらえたのかは理解できません。

また、「いい子でお留守番してたらおもちゃ買ってきてあげるね」と言ったところで、犬はいい子でお留守番をしていようとは思いません。犬のしつけでは、できたタイミングで褒めることでしか「正しい」を伝えることができないのです。


間違った褒め方

走るコーギー

「褒められたら嬉しい」と感じるのはなぜでしょうか? 誰だって、認められたり褒められたりしたら嬉しいはず。でもそれは、今までの経験から「いい子だね」、「よくやった」と言う言葉に対して、何らかの「良いこと」があったからではないでしょうか。

犬にとっても同じです。その犬にとっての「良いこと」と「褒め言葉」がイコールになっていなければ、「いい子だね」と声をかけられても褒められたとは感じません。

愛犬にとっての「ご褒美」を知る

愛犬にとって何が「良いこと」なのかを理解しておくことで、褒めのしつけの幅が広がります。「ご褒美」というと「おやつ」を想像する人が多いと思います。しかし、ご褒美はおやつだけではありません。

人であっても、おいしいスイーツや高級料理は「ご褒美」として食べることがあるため、わかりやすいものです。でもご褒美が必ず食べ物ではなくても良いですよね? 長期休みやボーナス、旅行やお出かけやゲームなど。人によってご褒美が違うように、犬にとっても嬉しいことは違います。

まずは愛犬の好きなものはなんなのかをよく観察することから始めましょう。愛犬の好きなことを知ることで、おやつに頼らないしつけができます。

飼い主さんのことが大好き

飼い主さんのことが大好きな犬にとって最大のご褒美は「飼い主さん自身」です。たとえば、犬を呼び戻す「おいで」を練習したいとき。

友達などに協力してもらい、ロングリードを付けた状態で犬とその場で待っていてもらいます。飼い主さんは離れた位置から、愛犬の名前を呼びます。「飼い主さんのもとへ行きたい」という気持ちが高まったタイミングで「おいで」と声をかけ、同時に友達に犬を放してもらいます。この犬にとって、「飼い主さんのもとへ行けた」ということがすでにご褒美となっているため、おやつやフードを使う必要はありません。

その代わりに、たくさんなでたり褒めたりしてあげてくださいね。うれしい出来事と同時に起こる「言葉」は「褒め言葉」だと、少しずつ理解してくれるようになります。


走ることが大好き

  海岸を走る犬と子ども

走ることが大好きな犬にとっては、最大のご褒美は「走ること」です。たとえば、「待て」を教えるときについてです。

伏せ」や「お座り」の状態で、リードを短く持ちます(または踏む)。最初は1秒でも3秒でも、その犬が指示された姿勢で待てる時間で大丈夫です。少しでも待つことができたら、「よし」や「OK」などの解放の合図で一緒に走り出しましょう。少しずつ待つ時間を伸ばしながら繰り返すことで、「待て」ができるようになります。


その他のご褒美

ご褒美は「飼い主さん」、「走ること」以外にもたくさんあります。

  • ロープで引っぱりっこが好き
  • ボールが好き(投げてもらうのが好きなのか、ボール自体が好きなのか理解しておく)
  • 穴掘りが好き
  • 枝をかじるのが好き
  • ジャンプするのが好き

たとえご褒美がおやつであっても、その中でどんなものが一番好きなのか。「ジャーキー」、「チーズ」、「ボーロ」など、おやつの種類もさまざまです。愛犬の「嗜好性」も知っておくと良いでしょう。


性格によっても褒め方は変わる

褒めてしつけることは、犬のテンションを上げ、やる気を出させることが目的です。褒められることで「楽しい」、「うれしい」と思ってもらうことが大切ですが、犬の性格によってテンションの上げ方は違います。

自信が無い子の場合

ちょっと大げさなくらいがちょうど良いです。体をポンポンと軽く叩いたり、飼い主さんがジャンプをするなど、声だけでなく動きも大きいほうが、犬の気持ちを乗せやすいです。

怖がりな子の場合

いくら飼い主さんであっても、大きな動きに圧倒されてしまい、テンションが上がるどころか警戒してしまう子もいます。そんな子の場合には、優しい声で耳の下から背中に向かってそっとなでたり、おやつを利用したりするのが良いでしょう。

テンションを上げるよりも怖がらせず安心させてあげることが優先です。上から覆いかぶさるような姿勢や、頭の上から撫でられることが怖い子もいますので、撫でるときも要注意です。

興奮しやすい子の場合

「楽しい」と感じることが多く、飼い主さんが頑張らなくてもテンションは上がりやすいです。しかし、興奮し過ぎはトレーニングに集中できなくなってしまいます。冷静に落ち着いていられるように、褒め方は弱いくらいがちょうど良いでしょう。

犬にもよりますが、目を合わせるだけで嬉しくてしっぽの揺れが止まらないという犬もいます。目を合わせるだけ、通常の声のトーンで「いいこ」とつぶやくだけ、頭をさっと触るだけなど、大きなリアクションは控えた褒め方をしてみましょう。

クリッカーを使った褒めるしつけ

男性とトレーニングする犬

クリッカーとは、ボタンを押すと「カチッ」と音が鳴るトレーニング道具です。クリッカーの音とおやつを関連付けることで、「音が鳴ったら良いことがある」と理解させることができます。クリッカートレーニングは、クリッカーを鳴らした後にご褒美をあげますが、褒めるべきタイミングでボタンを押すだけですので、声のトーンや言葉遣いなど人が違っても褒め方に差が出にくいという特徴があります。

また、犬と距離があるようなトレーニングでは、おやつをあげたり撫でたりする直接的な褒め方はできません。しかしクリッカーは音ですので、音の届く範囲であれば褒めるべきタイミングで「カチッ」と鳴らして褒めることができます。その他クリッカーでは、しつけたい行動頻度が低い場合などにも利用でき、させたい行動に導くこともできます。


まとめ

なでなでされるラブラドールレトリーバー

「褒める」しつけは「叱る」しつけよりも、犬にとっても飼い主さんにとっても嬉しいことが多い
ご褒美はおやつだけではなく、その犬にとって「嬉しいこと」をしてあげる
褒めるタイミングが重要なため、「できた」タイミングで褒めること

しつけは、犬と飼い主さんが共に楽しみながらおこなうことが大切です。楽しみながらやることで、コミュニケーションも取りやすくなり、新しい技が少しでもできたとき、とっても嬉しくなります。

しつけの中には「褒め」だけでは難しいこともあります。何より大切なのは、失敗させないことと、成功体験をたくさんさせてあげることです。失敗がなければ叱る必要もなく、褒めることも多くなるでしょう。

しかし、褒めるしつけが難しい問題行動などや、どうしたらいいかわからない場合、本などを参考にするとリスクを伴う可能性もあります。治そうと思ってしたことが、余計に悪化させてしまったり、飼い主さんや犬がケガをしてしまったりすることがあります。叱ることは褒めることよりもタイミングや叱り方が難しいので、きちんと専門のトレーナーに相談してみることをおすすめします。

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