犬の黄疸|原因・症状・治療法・予後などを獣医師が解説
黄疸という病状を聞いたことはありますか? 犬の黄疸は緊急的な外科手術が必要な場合もあり、早急に診断し、治療を開始しないと致死的になる場合もあります。今回は犬の黄疸の症状や原因、治療法などを野坂獣医科院長の野坂が解説します。もし、愛犬が黄疸の疑いがあれば、早急に動物病院に連れて行きましょう。
犬の黄疸とは
黄疸とは、ビリルビンという色素が血液中に増加し、皮膚や粘膜が黄色くなる状態のことをいいます。
ビリルビンとは、赤血球に含まれるヘモグロビンの代謝産物です。何らかの理由でこのビリルビンが排泄できなくなっている状態です。
犬の黄疸の原因・考えられる病気
溶血性疾患
赤血球の破壊亢進によって、ビリルビン生成量が増加している状態です。黄疸の原因になりうる溶血性疾患は以下などの影響で引き起こされます。- 玉ねぎ中毒や亜鉛中毒などの各種中毒
- レプトスピラ症
- バベシア症
- DIC(播種性血管内凝固)
- 免疫介在性溶血性貧血
肝胆道系疾患
肝細胞が破壊され、ビリルビンの異常な取り込み・抱合・分泌が起きている状態です。以下などの影響で引き起こされます。- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 敗血症
- 各種感染症
- 内毒素血症
肝外性疾患
ビリルビンの肝内外への胆管からの排泄障害です。以下などの影響で引き起こされます。- 膵炎
- 膵臓の腫瘍
- 胆管炎
- 胆石症
- 胆道系の腫瘍
- 門脈狭窄
犬の黄疸の治療法・予後
黄疸の原因である病気を診断し、その治療を行います。主な治療法として「内服薬」や「点滴」「輸血」「対症療法」「食事療法」などを行います。
原因となる病気や、その病気の進行度によって、治療方法は異なり、完治・再発の可能性も異なります。
場合によっては、緊急的な外科手術が必要な場合があります。
まとめ
黄疸になると、皮膚や粘膜が黄色くなります
黄疸の原因はさまざまです
早急に診断し、治療を開始しないと致死的になる場合も
黄疸は、すべての年齢、すべての犬種でみられます。肝臓が悪くない犬でも黄疸になることもあります。
普段から愛犬の様子をよく観察することで、早期発見・早期治療につながります。黄疸だけでなく、少しでも愛犬の変化や異常に気がついたら、早急に動物病院に連れて行きましょう。