犬は言葉を理解できている? よく見て話せば伝わるコミュニケーション

犬と暮らしている飼い主さんのほとんどが日常的に愛犬に話しかけていると思います。それは、特別な言葉ではなく、人の言葉ですが犬たちは飼い主さんが伝えようとするものに耳を傾け行動します。時には、うまく伝わらないこともありますが、それでも人と犬は言葉を使ってコミュニケーションを取っています。犬にとって人の言葉とはどんなものなのでしょうか。

犬は言葉を理解している?

犬

私たちは犬に「芸をさせる時」「指示を出す時」「遊ぶ時」など、さまざまな場面で人の言葉を使って犬に何かを伝えようとします。それは、人がそれ以外の伝え方を知らないからでもありますが、犬の知能が高く、「言葉」でのコミュニケーションが成り立っているからとも言えます。

とはいえ、犬が「言葉」を人と全く同じように理解しているわけではありません。犬にとって言葉自体に意味はなく、起こった出来事と音を関連させて学習します。そのことを理解してあげると、より犬とのコミュニケーションが取りやすくなるかもしれません。

犬には未来や過去の話は理解できない

いくら犬が賢い動物で、飼い主の言葉をある程度理解できていても、起きた出来事から遠い「過去」や「未来」の話は理解できません

例えば、「いい子でお留守番していたら、おもちゃを買ってきてあげるね!」という未来の話は理解できません。反対に、犬がお留守番中にトイレを失敗していたのを飼い主が見つけ、「ここでオシッコしたらダメ!」と叱っても犬にとっては過去のことなので、何を怒られているか理解できません。過去や未来の出来事を、叱ったり褒めたりすることは意味のないことです。

1000以上の単語を覚えた犬

犬がどんなふうに物事を考え理解していくかがわかると、いろいろな単語を教えることができます。

アメリカに住むボーダーコリーのチェイサーちゃんは、3年間で1000以上の単語を覚え理解しているということで、世界一賢い犬としてさまざまなメディアで取り上げられています。




うちの子も賢くなれる!

寝ながらお手をする犬

1000単語教えるのはとても難しく、どんな犬でもできるわけではありません。しかし、少しずつ教えていくことはできます。例えば、毎日遊ぶおもちゃに名前を付けて、名前を言いながら遊ばせることで、おもちゃの名前を覚えさせることができます。

ただ投げて持ってくるという遊びも楽しいですが、おもちゃの名前がわかれば遊びの幅が広がります。三つのおもちゃを並べて、「〇〇持ってきて」と犬に選ばせて持ってくるという少し頭を使った遊びができます。

「犬は言葉を理解している」という研究と本当の意味

ナショナルジオグラフィックでは「犬は飼い主の言葉を理解している、能研究で判明」というタイトルで、学術雑誌『サイエンス』に掲載された研究について紹介しています。


犬は言葉と口調の双方に反応しているということがこの研究の明らかになりました。先述のように、犬は「言葉を理解している」というより「音」を理解するのです。そのため、高く優しい口調で言う「おいで」と、低く強い口調で言う「おいで」とでは意味が異なるのです。優しい「おいで」はいいことがある時、強い口調の「おいで」は叱られる時などというように犬は学習しています。

私たちは、そばに来て欲しい時「おいで」以外にも「来なさい」「来い」「来て」などたくさんの言葉を使い分けています。しかし、その全てが自分を呼を呼んでいることを理解できますが犬は違います。そばに来ることを教える時に「おいで」という言葉(音)で教えていたら、他の言葉(音)では理解できないのです。これが、私たちの言う「言葉」と犬が理解できる「言葉」の違いです。

犬の気持ちはボディーランゲージで読み取る

子犬

私たち人間は、言語に頼ったコミュニケーションを主としています。一方、犬などの動物達は、言語に頼らない非言語コミュニケーションを主としています。人のように言語を持たない動物たちの気持ちを理解するにはどうしたらいいのでしょうか。

犬の気持ちを理解するならば、表情や仕草、行動などをよく観察することがとても重要になります。

犬たちは体の動きで「うれしい」「怖い」「遊ぼう」「やめて」などを伝え合ってコミュニケーションをしています。これを「ボディーランゲージ」といいますが、これは体、表情など全身をよく見る必要があります。体の一部だけを見て判断するのは実は危険なことでもあるのです。

例えば、「犬はうれしい時にしっぽを振る」と知られていますが、本当は「興奮している時にしっぽを振る」のです。喜んでいると思って手を出したら噛まれたなどというのは、この犬のボディーランゲージをしっぽでしか判断しなかったからです。

そのほか、犬はストレスを感じると自分や相手を落ち着かせるために出す仕草「カーミングシグナル」があります。

まるで笑っているように見える表情であっても、目を見開いていたり、耳を後ろに倒していたり、しっぽが下がっている場合には、かなり緊張している状態です。決して楽しんでいて口角をあげて口を開けているのではありません。その場の環境、状態に強いストレスを感じているので、一刻も早く安心できるようにしてあげなければなりません。

飼い主さんは、こうしたボディーランゲージやストレスサインのカーミングシグナルを見逃さないように日頃からよく愛犬のことを観察してあげてください。そうすることで、今よりももっと愛犬の気持ちが理解できるようになるはずです。


犬は飼い主さんのことをよく見ている

見つめる犬

昔から人は犬をパートナーとして生活を共にしていました。現在の犬たちは、当時のような仕事をすることは基本的にありませんが、人とのコミュニケーションは変わらずに取りたいと思っています。犬とはそういう生き物です。

何気ないことでもいいので、家にいるとき、お散歩をしているとき……たくさん話しかけてあげてください。最初は何を言っても伝わりませんが、犬は出来事の前後に意味を見つけるのがとても上手です。

飼い主さんが仕事で疲れて帰ってきて、「はあー疲れたー」と言いながらベッドにタイブ。そんな時に、ワンちゃんが顔をペロペロ舐めてきたとします。すると疲れていても自然と笑顔になりますよね。そんなことが何度かあれば、犬は飼い主さんが「疲れたー」と言ったり「ベッドにダイブ」したりした時には必ず顔を舐めるようになるでしょう。犬たちは飼い主さんの笑顔が大好きなんです。

反対に、その時「疲れてるからやめて」と冷たい態度を取れば、犬は今は静かにしておこうと思います。「帰ってきたばかりのご主人様は機嫌が悪いからね」と。そして、「どうしたら構ってくれるかな?」「どうしたら笑ってくれるかな?」と考えて、普段はしないような行動を取ってみたり、イタズラしてみたりします。

これは「元気づけたい」「一緒に楽しいことをしようよ」という気持ちからです。決して飼い主さんを困らせようと部屋をぐちゃぐちゃにするわけではありません。

とはいえ、ここでイタズラされたのに「この子は私を元気付けようとしてくれてやったことだ」と笑顔で反応したり、反対に怒ってたりしてしまっては、これからも飼い主さんを元気づけようと思ってイタズラするようになってしまいます。静かに片付けをして、それから一呼吸おいて疲れたという気持ちをリセットしましょう。それだけでも、犬は飼い主さんの気持ちの変化を敏感に感じ取ります。一段落したら、なでたり、話しかけたり、たくさんかまってあげてください。

犬が飼い主さんの気持ちを理解したいと思ってよく見ているように、飼い主さんも愛犬のこと今までよりもちょっと意識して見てあげてください。それだけで、コミュニケーションがとっても楽になりますよ。