【速報】犬猫の殺処分数が1.4万匹に減少。過去最少殺処分数を更新
環境省が2021年度(令和3年度)の「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」を公開し、全国の保健所や動物愛護センターなどで殺処分された犬猫の数が1万4457匹だったことが分かりました。 2020年度の2万3764匹から1万匹ほど減少しているものの、平均すると1日あたり約40匹の犬猫が殺処分されていることになります。
2021年度の殺処分数
2021年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の殺処分数は犬が2739匹、猫が1万1718匹でした。
犬猫が元の飼い主や新しい飼い主に返還・譲渡された数は昨年度に比べ、4万9584匹から4万4630匹に減少しましたが、引き取り数が7万2433匹から5万8907匹まで減少しているため、返還・譲渡率は68.4%から75.7%まで上昇しています。
直近9年間の犬猫の引き取り数、返還・譲渡数、殺処分数
直近9年間の犬猫の引き取り数、返還・譲渡数、殺処分数は以下の通りです(都道府県・政令市・中核市の合計)。引き取り数
犬の引き取り数 | 猫の引き取り数 | 合計 | |
---|---|---|---|
2021年度 | 24,102 | 34,805 | 58,907 |
2020年度 | 27,635 | 44,798 | 72,433 |
2019年度 | 32,561 | 53,342 | 85,903 |
2018年度 | 35,535 | 56,404 | 91,939 |
2017年度 | 38,511 | 62,137 | 100,648 |
2016年度 | 41,175 | 72,624 | 113,799 |
2015年度 | 46,649 | 90,075 | 136,724 |
2014年度 | 53,173 | 97,922 | 151,095 |
2013年度 | 60,811 | 115,484 | 176,295 |
返還・譲渡数
犬の返還・譲渡数 | 猫の返還・譲渡数 | 合計 | |
---|---|---|---|
2021年度 | 21,518 | 23,112 | 44,630 |
2020年度 | 24,199 | 25,385 | 49,584 |
2019年度 | 27,126 | 25,936 | 53,062 |
2018年度 | 28,032 | 25,634 | 53,666 |
2017年度 | 29.955 | 26,967 | 56,922 |
2016年度 | 30.500 | 26,886 | 57,386 |
2015年度 | 29,637 | 23,037 | 52,674 |
2014年度 | 31,625 | 18,592 | 50,217 |
2013年度 | 32,092 | 16,320 | 48,412 |
殺処分数
犬の殺処分数 | 猫の殺処分数 | 合計 | |
---|---|---|---|
2021年度 | 2,739 | 11,718 | 14,457 |
2020年度 | 4,059 | 19,705 | 23,764 |
2019年度 | 5,635 | 27,107 | 32,742 |
2018年度 | 7,687 | 30,757 | 38,444 |
2017年度 | 8,362 | 34,854 | 43,216 |
2016年度 | 10,424 | 45,574 | 55,998 |
2015年度 | 15,811 | 67,091 | 82,902 |
2014年度 | 21,593 | 79,745 | 101,338 |
2013年度 | 28,570 | 99,671 | 128,241 |
※各データは2023年3月15日時点の発表資料をもとに掲載しています。
関連リンク
- 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(環境省自然環境局)
殺処分数減少の裏には保護団体さんの尽力が
殺処分数が順調に減少しているのは、動物保護団体の精力的な活動といっても過言ではありません。
犬猫の保護・譲渡だけでなく、「保護犬・保護猫」という言葉が世間に浸透したことも殺処分数減少の一因です。
動物保護団体の主な活動
犬猫の保護・レスキュー
保護団体さんは家族のいない犬猫を保護し、新しい家族を探すことを主な目的にしている場合が多いです。保健所や愛護センターなど行政施設からの引き出し(※)、ペット市場の流通から漏れた犬猫の保護、多頭飼育崩壊や虐待現場からのレスキューなど保護経緯はさまざまです。
※保健所や愛護センターでは収容期間や収容能力に限りがあるため、保護団体さんが代わりに保護すること
里親を探すための譲渡活動
多くの保護団体さんが「大変な思いをした子たちを幸せな家族と結んであげたい」という信念を持ち、譲渡会イベントを独自で開催したり、ブログで情報発信したりするなど、譲渡活動を行っています。現在ではOMUSUBIなど里親マッチングサイトを利用し、相性の良い家族に出逢うために広く情報発信を行う保護団体さんも増えてきました。
実際に応募があった場合は、面会や家庭訪問など正式譲渡に向けて里親候補の家族と連絡を取り合っていきます。
不幸な猫を増やさないためのTNR活動
TNRとは「Trap(捕獲)」し、「Neuter(不妊去勢手術)」を行い、「Return(元の場所に戻す)」ことで、不幸な猫を増やさないための活動を指します。野良猫の住む環境は自然災害や交通事故、心ない人間の虐待の対象になるなど、とても過酷です。しかし、すべての猫たちに飼い主を探すのは現実的ではありません。
TNRは野良猫をこれ以上増やさず、一世一代限りの命を豊かに過ごせるように実施されている活動なのです。
TNRされた猫は、再び捕獲されないように耳をカットして目印が付けられます。その形が桜の花びらに似ていることから「さくらねこ」と呼ばれています。元の場所に戻した後は、地域の人たちがご飯やトイレの世話をする「地域猫」として一生を過ごします。
動物に優しい社会を目指す啓発活動
動物愛護の精神を広めたり、適切な犬猫との関わり方を伝えることも、動物保護団体の大切な活動です。なかには啓発活動を主軸に置いて活動を行う団体もいます。また、イベントやチャリティーなどを開催して募金を集め、それを犬猫の保護団体さんに寄付する活動をしている団体もあります。
動物保護団体を支援するためにできること
寄付や募金を行う
動物を救うにはお金が必要であり、寄付や募金は保護活動を支えるために重要です。支援する際には信頼できる団体であるかどうかをよく確認した上で行うようにしましょう。
支援物資を送る
保護団体さんのサイトなどで必要な物資の支援を求めていることもあります。指定住所に支援物資を送る方法もありますが、「Amazonほしい物リスト」を使って簡単に送ることもできます。
Amazonほしい物リストに掲載されているものは、その団体が確実に欲しいものであるため、ここから支援すると喜ばれるでしょう。
支援をする際は残り物や期限切れの商品を送るのはやめましょう。支援をする際は「今これは必要かな?」と相手側の気持ちになって行うといいですね。
ボランティア参加
保護活動のボランティアは常に人手不足の状態です。定期的にボランティア参加してくれる方がいればとても助かるでしょう。シェルターの清掃、犬猫のケア、事務作業、SNS運用など、得意やボランティア可能な時間によってできることはたくさんあります。
「少ししか参加できない」「動物アレルギーだからシェルターに行けない」など躊躇する理由もあるかもしれませんが、譲渡会・イベントでの1日限定ボランティアや、ブログ更新や里親さんとの調整などがありますので、ぜひ相談してみましょう。
SNSでの拡散
動物保護団体が発信する情報をSNSで拡散するのも大切な支援の一つです。現代ではSNSで保護犬猫の情報を見て譲渡が決まったり、支援物資が届いたりします。ボタン一つでできる支援なので、自分の言葉で伝えてあげると良いですね。
しかし、情報や内容をよく確認せず、勝手な解釈で拡散しないようにしましょう。思い込みで先走った結果、団体に迷惑がかかることも珍しくありません。
まとめ
不幸な犬猫を増やさぬよう、動物保護団体に属してなくてもできることはあります。
社会問題を解決するためには、多くの人が無理なく継続して「自分にできること」を意識して動くことが大切です。