ポインターってどんな犬? 分類される犬種や歴史、性格を紹介

猟犬の中には「ポインター」と分類される犬種がいます。鳥猟犬として活躍し、獲物を見つけるとその位置をハンターに知らせます。どんな犬種が分類されるのか、どんな性格、特性かを紹介します。

ポインターとは

ポインターとは、猟犬の中でも鳥猟犬として活躍してきた犬です。獲物を見つけると立ち止まって身をかがめて鼻先を前方に突き出し、前足を片方上げてハンターに知らせるという役割を担っていました。この動作のことを「ポイント」または「ポインティング」ということから、ポインターと呼ばれています。

ワイマラナー

ポインターの歴史

もともと猟犬たちは、獲物を発見するところから仕留めるところまで全てを担っていました。しかし15世紀に火縄銃が発明されると、ヨーロッパの貴族の間でスポーツや娯楽としての狩猟が流行します。すると狩猟のスタイルも変わり、仕留めるのは銃を持ったハンターで犬はそのサポートを行うようになります。

やがて匂いで追跡するセントハウンドや人間が入れない巣穴の中まで追い立てるテリア、仕留めた獲物を回収するレトリーバーなど、役割が細分化され専門分野に特化した犬種たちが作られ始めました。その中で、獲物である鳥を発見したら静かにその場所を知らせるという仕事をさせるべく改良されたのがポインターやセッターといった鳥猟犬です。

ポインターは改良の過程でグレーハウンドやスパニエル系の血が入っており、片足を上げる動作はもともとスパニエル系の犬によく見られるのだそうです。


ポインターの性格

ポインターの仕事は静止して獲物の存在を知らせることであり、仕留めるために牙を剥いて果敢に向かっていくことはありませんでした。そのため、猟犬とはいっても血気盛んな気質はなく、むしろ人の手伝いや共同作業が大好きです。ハンターと意思の疎通がしっかりできることが求められていたことから、人の気持ちを汲み取ることにも長けています。

セッターとの違いは?

獲物を見つけてハンターにその場所を教える、という点でポインターとセッターの役割は同じですが、セッターは獲物を見つけた際にフセの姿勢をとって獲物の居場所を教えます。この状態を「セットする」と言うことからセッターの名前が付きました。

セッターにもポインターと同じようにスパニエルの血が入っています。もともとスパニエルも鳥猟犬で、「フラッシング」というハンターが撃ちやすいように獲物を飛び立たせる仕事をしていました。フラッシングをしている中で獲物を見つけてフセをする個体を発見したことから、他犬種と交配させてこの「セット」の能力を引き継がせたのがセッターの始まりといわれています。

また、初期のポインターは獰猛なところがありましたが、セッターを掛け合わせることで現在のような友好的な性格になっていきました。



HRP犬種とは?

ジャーマンショートヘアードポインター

鳥猟犬の中でもポインターやセッターのように獲物の場所を知らせる役割やスパニエルのように鳥を飛び立たせてハンターをサポートする役割、レトリーバーのように撃ち落とした獲物を回収する役割など仕事は細分化されていたため、狩りには複数頭の犬を同伴させる必要がありました。

しかし役割ごとに別の犬を用意するというのは貴族だからこそ出来ること。そこで、庶民の猟で一人二役も三役も担える犬が必要とされた結果生まれたのがHRP犬種と呼ばれる犬たちです。

HRPとは「Hunt、Point、Retrieve」の頭文字で、追跡して仕留める行動、獲物を見つけてハンターに知らせるポイントの動作、獲物を回収する作業、その3つの役割を1匹で完結させることができます。

ポインターに分類される犬種

ポインターもセッターもHPR犬種も全部、一般財団法人ジャパンケネルクラブでは7Gである「ポインター・セター」に分類されています。



イングリッシュポインター

イングリッシュポインター
Photo by miki_crazyuさん Thanks!

16~17世紀頃に南ヨーロッパの土着犬であったスパニッシュポインターがイギリスに持ち込まれ、ハウンドやスパニエルと交配することで猟犬としての能力を高めていったのがイングリッシュポインターの始まりと言われています。しかし、20世紀に入ると動物愛護の観点からスポーツとしての狩りが下火になっていきます。するとしっぽをピンとたててポイントの動作をする毅然とした佇まいに注目され、ドッグショーで活躍するようになります。

長い足で馬のように軽やかに小走りしている姿はとても優雅で、それでいて楽しそうにボールやフリスビーで遊んでいる無邪気な様子のギャップがとても魅力的です。

ジャーマンポインター

ジャーマンポインター

ジャーマンポインター種の中にも、「ジャーマン・ショートヘアード・ポインター」や「ジャーマン・ロングヘアード・ポインター」「ジャーマン・ラフヘアード・ポインター」などさまざまな種類がいます。大きな違いは毛質や毛の長さで、犬種名にも被毛の特徴が入っています。

ジャーマンポインターたちの多くはHPR犬種で、1頭で獲物の追跡から回収まで行います。彼らは「ジャーマン」とついていることからも分かるように全てドイツ原産の犬です。

ドイツ原産のポインターの多くがHPR犬種であることは、イギリスをはじめとするヨーロッパとドイツとの狩猟を行う層の違いに起因します。イギリスでは狩猟は王侯貴族の遊びで庶民には縁がありませんでしたが、ドイツでは狩猟に対する貴族の独占が排除され、庶民の身近なものになりました。その結果、ドイツの庶民が狩りに行く際に複数頭の犬を連れて行かなくても済むようにHPR犬種であるジャーマンポインター種を生み出していったのです。

ワイマラナー

ワイマラナー

ワイマラナーもドイツ原産のHPR犬種です。ジャーマンポインターたちが庶民によって作出されたのに対し、ワイマラナーは狩猟能力の他にも外見の高貴さに注力して宮廷で繁殖されていました。

ハウンド種やジャーマンポインターの血が入っていると考えられていますが、20世紀までは上流階級の人々のみが飼育できる犬として厳重な管理下に置かれており、交配も秘密裏に行われたため、はっきりしたことは分かっていません。

まだ日本での頭数は少ないですが、アメリカでは家庭犬としてとても人気があります。光沢のある美しいグレーの被毛が特徴的で、これが森林の中で狩猟する際に保護色となって獲物から見つかりにくいことから「グレーゴースト(灰色の影)」という異名がつきました。見た目だけでなく呼び名までかっこよくて、貴族に愛されていたのも納得です

(スモール/ラージ)ミュンスターレンダー

ミュンスターレンダー

ラージミュンスターレンダーという犬種はあまり日本では聞きなれませんが、ドイツのミュンスターという都市で作出されたポインター種です。

ドイツでは王侯貴族の狩猟の独立排除が行われたことから、庶民も狩猟に参入するようになり、さまざまなHPR犬種が作出されました。しかしその種類が増えすぎたため、18~19世紀にかけてポインター種を統一していこうという動きが盛んになります。

その中で生まれた犬種の一つがジャーマン・ロングヘアード・ポインターです。しかしミュンスター市に住むブリーダーがジャーマン・ロングヘアード・ポインターのスタンダードとして定められた毛色以外の、本来処分対象となってしまう個体も分け隔てなくブリーディングを続けました。その結果、別の犬種として成立したのがラージミュンスターレンダーです。

ラージミュンスターレンダーも正式に犬種として独立した当初は、ジャーマン・ロングヘアード・ポインター同様「ホワイトアンドブラック」と「ホワイトアンドレバー」いう2種類の毛色がいましたが、その後「ホワイトアンドブラック」のみがスタンダードとして指定されました。そこで今度は「ホワイトアンドレバー」のカラーで生まれてしまった個体が処分されるのを防ぐため、新たに体を小さくする改良を加えて別の犬種として成立させました。これがスモールミュンスターレンダーになります。

スタンダードから外れて処分対象になってしまった個体を救うために新犬種として改良していったミュンスター市のブリーダーの愛情と熱意には脱帽してしまいます。


ショートヘアードハンガリアンビズラ

ショートヘアード・ハンガリアン・ビズラは、日本ではほとんど見かけませんが、数年に一度のペースで輸入されているそうです。「ビズラ」とはハンガリー語で鳥猟犬の意味で、ポイントもレトリーブも行えるマルチな犬です。

同じ役割で性格や特徴も酷似しているワイヤーヘアード・ビズラという犬種もいますが、こちらは被毛が防寒性に優れています。ショートヘアード・ハンガリアン・ビズラは寒さに弱いため、冬はワイヤーヘアード・ビズラにバトンタッチして狩猟は休業し、家庭犬として家族と共にぬくぬくと過ごすことが多いそうです。

ポインターとの暮らし方

ワイマラナー

HPR犬種含めポインターたちは皆鳥猟犬であり、もともと人と協力して作業することが大好きで、家庭犬として人と生活することにも向いている犬たちです。

特にHRP犬種ではレトリーブ(回収)の作業も担っていたことからボールやフリスビーでの「取ってこい遊び」が好きな子も多いでしょう。鳥や小動物を見ると追いかけたくなってしまう本能があるため、小型犬や小動物との多頭飼育をする際はじゃれ合いが激しくなっていないか、冷静さを欠いていないか注意して見てあげる必要がありそうです。

また、ポインター種の多くはたれ耳であるため、耳のトラブルにも気を配らなければなりません。泳ぎが好きな犬たちなので、たれ耳とはいえ耳の中に水や砂が入ってしまうこともあります。泳いだあとは軽く耳の中をチェックしてあげるとよいでしょう。


ポインターの迎え方

ワイマラナーの子犬

ポインターの値段

日本であまり見ない犬種も多いですが、家庭犬のタイプで20万円ほどから、海外からの輸入になると50万円ほどになることもあります。あまりペットショップで見かけることはないですが、ブリーダーや血統によっても値段は変わってくるので、事前に問い合わせてみるといいかもしれません。

保護犬を迎える

ポインターの中でも日本では特にイングリッシュポインターは実猟犬として活躍していた保護犬が多いです。大型犬の成犬を迎えるというのは生活環境やしつけの面で覚悟のいることです。でもとても順応性が高く人が大好きな犬たちなので、じっくりと時間をかけて絆を深めていけば素晴らしい家族になってくれそうですね。

保護犬の里親募集サイト「OMUSUBI(お結び)」も、ぜひ覗いてみてください。

ブリーダーから迎える

好みの毛色や血統がある場合は、ブリーダーから迎えるのが一般的です。両親を見せてもらえるので、成犬時のサイズの予想がしやすいのも魅力です。アフターフォローとして相談にのってくれることもあるため、安心して迎えることができます。

ペットショップから迎える

ポインターは大型犬ということもあり、ペットショップで見かけることは少ないでしょう。どうしてもペットショップから迎えたいという場合には、事前にお店に確認してから行くことをおすすめします。

迎える前にきちんと理解しましょう!

ワイマラナー

運動が大好きで、ボールやフリスビー、泳ぎ、走りなど「何でも来い」のアクティブなポインターたち。HPR犬種のようにマルチな役割をこなせたのも、根底にはポインター特有の「人との共同作業が好き」という性格があるからこそ。

そんなポインターたちだから、遊びやお出かけなどさまざまな場面で一緒に行動することでより親密になるでしょう。無邪気に遊ぶポインターたちと一緒に生活すると、童心に返れそうですね!
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