犬が舌を出す理由とは? 舌の色がいつもと違う場合に考えられる原因も獣医師が解説

犬が舌を出す理由は、体温調節や精神的なもの、病気のサインなど、さまざまあります。また、舌を見たときに「いつもと色が違う?」と思った場合は要注意です。犬の舌の色は、通常ではピンクや濃いピンク、赤色と表現されますが、ある種の体調不良が認められる場合、白、黄色、紫といった色の異常を呈します。今回は、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が、犬が舌を出す理由や、犬の舌がいつもと違う場合に考えられる原因、応急処置を解説します。

犬が舌を出す・出しっぱなしにする理由

舌を出しながら寝る犬

体温調節のため

暑いとき、犬は大きく口を開け、ハァハァとする「パンティング」という呼吸で体温調節をしています。口の粘膜や舌から唾液を蒸発させて、その気化熱を利用して熱を下げているのです。

リラックスしている

リラックスし、口周りの筋肉の緊張が緩むことから舌が出ている状態です。特に寝ている間に見られることが多い姿です。犬が飼い主のそばでダラリと舌を出して寝ていれば、安心しきっていることを指します。

カーミングシグナルの一種

「Calming Signal(カーミングシグナル)」は落ち着かせる信号・合図という意味です。犬が不安を感じたり、緊張や興奮したりしているときに見られます。

舌を出す場合は、「落ち着きたい」「相手に落ち着いてほしい」と思っていることが多いようです。このとき、出しっぱなしにするのではなく、ペロッペロッとすることが特徴です。

病気の可能性

舌を出しながら呼吸がずっと荒い、苦しそうな場合は「熱中症」や「心臓病」「呼吸器系疾患」などが考えられます。


犬の舌の色がいつもと違う場合と応急処置

犬

愛犬の舌を見たとき、いつもと色が違う場合は何らかのサインです。

その際は他の粘膜が異常かどうかを確認することが必要です。例えば、歯ぐきの色が普段と違ったら、目の粘膜も確認しましょう。

老犬の場合に色が黒っぽく見えるのは、口腔粘膜に色素が沈着し黒ずんでくるためであり、問題ありません。

白色の場合

貧血

通常よりも赤血球が少ない、いわゆる貧血の状態です。原因としては「出血」「血液が何かしらの原因で壊されている」「血液を作れない」などが考えられます。

貧血が疑われる場合は重症な状態です。早急に病院を受診しましょう。


過度な興奮状態

過度な興奮状態で呼吸がうまくできていない可能性が考えられます。

興奮状態にある場合は、少し落ち着かせてから粘膜を確認してみてください。色が戻っていれば問題ありません。何かしらの病気が隠れていることもあるため、念のため検査はしたほうが安心です。

黄色の場合

黄色の場合、黄疸の可能性が高いです。黄疸とはビリルビン(胆汁色素)が血液中に増加してしまうことで起こります。疾患としては、肝炎、胆嚢、溶血を起こします。

この場合、皮膚や外耳なども黄色くなる場合がありますので確認してみてください。重篤な場合が多いため、早急に動物病院に行きましょう。


紫色の場合

血中の酸素濃度の低下

血中の酸素濃度が著しく低下した状態で起こります。興奮状態において呼吸がうまくできていない状態が考えられます。

心臓病の疑い

心臓が悪いことで血液を送るポンプの役目をしている心臓が血液を送れなくなり、循環不全になった状態で起こります。

紫色の場合は、心臓病でもかなり状態が悪い可能性があります。少し落ち着かせてからでもいいので、早急に受診しましょう。

呼吸器疾患

気管や肺の異常が起こることで酸素をうまく取り込めないため、血中の酸素が低下する可能性があります。この場合、舌の変色以外にも呼吸しにくいといった症状を呈することが多いので、早めに動物病院に行くようにしましょう。

応急処置として、お水を飲ませてください。呼吸器疾患の度合いにもよりますが一時的な可能性も考えられます。しかし、継続して紫色なら動物病院での受診をおすすめします。

まとめ

笑顔の犬


犬が舌を出す理由は生理的ものから精神的なものまでさまざま
犬の舌の色の異常は多くの病気のサイン
犬の舌の色がいつもと違うと思ったら、早めに病院へ

舌を出している愛犬を見ると「可愛い」と思うことが多いかと思いますが、もしかしたらそれは愛犬からのサインかもしれません。いつもと違うことはないか、日頃からスキンシップをとりましょう。

第3稿:2020年6月1日 公開
第2稿:2017年9月10日 公開
初稿:2016年6月16日 公開



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