犬の肉球が赤い?原因やなめる理由、治療法などを獣医師が解説

犬の肉球が赤い?原因やなめる理由、治療法などを獣医師が解説

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犬には肉球があります。かわいらしい形とその足跡は犬の魅力のひとつですが、犬にとってさまざまな役割を担っています。今回は犬の肉球について簡単に説明し、犬の肉球が赤いときに考えられる原因や病気、対処法などを獣医師の大塚が解説します。

犬の肉球とは

犬の肉球

犬の肉球は「筋肉」「ケラチン」「コラーゲン」「脂肪組織」「靭帯」「腱」「汗腺」からできています。

脂肪組織によりクッション性が保たれ、また、寒さ・熱さから手足を守ることができます。汗腺は体温調節も行います。

表面は厚くなった角質で覆われており、体重を支え、草・雪・岩・コンクリートなど、世界中のさまざまな地面を歩くのに適応しています。


犬の肉球が赤いときに見られる症状

立ち上がる犬

肉球を舐めるようになる

肉球に病変が生じるとまず、よく肉球を舐めるようになります。

「痒み」「痛み」など、本人にとって違和感があるときに見られる行動です。

腫れや出血

舐めることが続くと、肉球の表面は赤みを増し、腫れてきたり、ジュクジュクと浸出液が出てきたりします。

また、外傷を伴う場合には、出血が見られます。

痛み

痛みが強くなると、びっこをひいたり、完全に足を挙上することもあります。

痛みに敏感な犬では「元気消失」「食欲低下」が見られます。

犬の肉球が赤いときに考えられる原因

散歩する二匹の犬

異物・ケガ

散歩中に肉球にとげ・ガラスなどの異物が刺さることがあります。

異物自体が組織に残ったり、残らなくても、肉球に傷がつけば痛みや違和感が生じたりします。

はがれにくいガムや粘着物、オイル系の物質を踏み、それがなかなか取れない、またはそれらを除去する際にリムーバーに反応して炎症を起こすこともあります。

火傷

熱いアスファルトの上を歩くことで、肉球が火傷することがよくあります。

特に真夏日中のアスファルトは人間の想像以上に熱いです。火傷のレベルにより症状が異なります。


皮膚病

主に細菌感染による指間炎が多く見られます。真菌(カビ)や、外部寄生虫による指間炎もあります。

まれにですが、自己免疫疾患によるものも見られます。

爪が伸びると、爪の先端が皮膚に食い込み、傷つけてしまいます。

また、何かに引っかかって爪がはがれ、出血・痛みを生じ舐め始め、炎症につながることがあります。

トリミング

トリミング時に、肉球の間の毛をバリカンでカットします。この部分の皮膚はとても薄く、剃毛する際に傷つく可能性があります。

また、怪我を負わなくとも、今まで毛があったところにない違和感から、気になって舐める子もいるでしょう。

ストレス・退屈

「環境の変化」や、留守番などからくる「心因的要因(ストレス)」で手先足先を舐める子は、そこから炎症が起こることがあります。

退屈で手を舐める子もいます。

季節性

湿った季節や環境下で、肉球の間の通気性が悪くなり、特定の季節に炎症を繰り返す子が見られます。

汚れ

「泥や湿った場所を歩く」「不衛生な飼育環境」など、肉球が常に汚れた状態だとそこから細菌感染が起こり得ます。

腫瘍

指の間や肉球に生じる腫瘍があります。

犬の肉球が赤くなる病気「指間炎」

指間炎の犬の足
指間炎の犬の足

指間炎とは、皮膚炎の一種で、肉球の間や指と指の間の水かきの部分に炎症が起こる病変です。

原因としては、前述した通り「外傷」「細菌感染」「真菌(マラセチア、皮膚糸状菌等)感染」「外部寄生虫(ニキビダニ等)感染」「心因的に舐めることから炎症につながるもの」「腫瘍」などがあります。

また、アレルギーを持っている犬では、他の部位同様、指の間も炎症を起こしやすいですし、長毛&多毛の犬種では、肉球間に毛が生え、通気性が悪くなることにより、指間炎を起こしやすいといえます。

その結果、皮膚が赤くなり、腫れたり、浸出液が出てジュクジュクしたり、といった症状が見られます。

細菌感染を起こすと臭いがきつくなり、悪化すると膿が出ることがあります。


犬の肉球が赤い場合の対処法

足をテーピングされた犬

動物病院を受診する

「肉球が赤い」「痛がる」「舐める」「びっこをひく」などの症状が出たら、動物病院を受診しましょう。

動物病院では、問診・視診にて、目立った外傷や火傷がないかのチェック、顕微鏡で細菌・真菌の有無を調べる検査をします。その後、獣医師が必要だと判断した場合にはさらに精密検査に進むこともあります。

患部周囲の毛を刈り、患部を洗浄した後、症状に合った外用薬を塗布します。軽傷であれば外用薬のみで大丈夫ですが、程度により、包帯やテーピングをします。

清潔に保つために、洗浄・外用薬塗布・テーピング交換が毎日必要になるかもしれません。膿が出ているなど、細菌感染の度合いがひどい場合には抗生物質の内服も必要になります。

外用薬を舐めてしまう場合は「エリザベスカラーをつける」「靴下をはかせる」などの工夫をします。

飼い主さん側でできること

すぐに動物病院を受診できない場合、飼い主さんが自宅で対処できることもあります。

まず一番大切なのは、患部を清潔に保つこと。

ぬるま湯とコットンで患部を洗います。しっかり拭いた後にワセリン・肉球クリームなどの保湿剤を薄く塗ります。ココナッツオイルなどの植物油でも大丈夫です(※)

飼い主さんの判断で外用薬を塗ることはやめましょう

原因によって、使用する外用薬の種類は異なります。また、本人が患部を舐めないように、靴下をはかせるか、エリザベスカラーをつけてください。

※いい香りやおいしい味に誘われて、本人がそのオイルと患部を舐めてしまうようならやめましょう

犬の肉球異常の予防法

シャワーを浴びる犬

こまめなチェック

前述した病気を防ぐためにできることがあります。まずは、こまめにチェックをすること。

肉球の病気だけに限りませんが、スキンシップを兼ねて愛犬の体を常に見ていれば、早期発見につながります

また手先足先に触れることに慣れさせておけば、治療が必要になった際に飼い主さんも獣医師もとても助かります。

清潔を保つ

常に手足を清潔に保ちましょう。散歩後にはぬるま湯やノンアルコールウェットティッシュで丁寧に拭いてください。

肉球が乾燥して割れがちな犬には保湿剤としてワセリン・肉球クリーム等を塗布してください。肉球クリームは万が一犬が舐めても大丈夫な成分かどうかしっかり確認してください。


通気性を良くする

足裏や肉球の間に毛が生えやすい犬種では定期的に足裏の毛をカットします。

通気性を良くすることで、細菌の繁殖を抑えます。

地面が熱い時間帯の散歩を避ける

散歩に行く際には、真夏の日中、アスファルトが熱い時間帯を避けるようにしましょう。


気を紛らわせる

心理的に手足を舐めてしまう子には、何か気を紛らわせるおもちゃを与えたり、靴下を履かせたりすることで、悪化を防ぐことができます。

まとめ

犬の肉球

犬の肉球にはさまざまな役割があります
犬の肉球が赤い場合、ケガや皮膚病、ストレスなどが考えられます
犬の肉球に異常があれば、動物病院を受診しましょう
すぐに動物病院に連れていけない場合は患部を清潔に保つことが大切です

肉球は普段じっくり見ることがないため、もし病変ができていても飼い主さんはなかなか気が付かないかもしれません。

犬にとっては体重を支える大事なパーツですので、痛みや違和感が出る前に、早めに気づいてあげられたらいいですね。