僕が犬猫のごはん「ペトコトフーズ」をつくった理由|きっかけは愛犬コルクの「茶色い豆粒」
ペトコトは2020年から愛犬のごはん「ペトコトフーズ」の提供を開始しました。ご好評いただき、2023年は愛猫のごはんも提供開始します。本稿では、「なぜ僕が犬猫のごはんをつくろうと思ったのか」「ペットの食事を通してどんな未来を創りたいのか」についてお話しします。
愛犬コルクとの出逢いが人生を変えた
僕は2016年に愛犬コルクを家族に迎えました。出逢ったときコルクはまだ赤ちゃんで、出逢った場所は譲渡会でした。コルクは保護犬だったのです。里親募集していた頃のコルク
コルクは足が内股という理由だけで、犬の競り市で捨てられていたところを保護団体の「Dog Life Saving」さんに保護され、僕のもとへ来ました。その後、関節専門の先生に診てもらいましたがコルクの体に問題は何もありませんでした。
コルクを迎えたのは、僕が「ペットライフをより豊かなものにしたい」という想いで起業し、専門家が執筆するペットライフメディア「PETOKOTO」の運営をスタートさせた時でした。
しかし、僕は保護犬だったコルクと出逢い、ペットを「モノ」として考える社会に違和感を覚えました。「これからのペットライフを考える前に、いま起きている問題を解決しなければいけない」と気づいたのです。
そこでスタートさせたのが保護犬猫と迎えたい人のマッチングサイト「OMUSUBI」(お結び)でした。
取材していただいた記者の方から、「起業したばかりの会社がなぜお金にならない事業を始めるんですか?」と聞かれたこともありました。もっともな話ですが、絶対にやるんだという強い意志で続け、今では日本一の規模(※)になっています。
※関連リンク︰PETOKOTOがサポートする「Amazon 保護犬・保護猫支援プログラム」、累計3億8千万円相当の物資支援を実現(プレスリリース)
迎えたときは手に乗るほど小さかったコルクも立派な大人になり、たくさんの人に愛され、登山をしたりキャンプをしたり、楽しい毎日を過ごしています。
きっかけは、ドッグフードに対する疑問
コルクと暮らす中で次第に疑問を持つようになったのが「食事」でした。
毎日、夏も冬も常温で大袋に入った臭いが少々気になる茶色い豆粒をお皿に出す日々。決して安いドッグフードを選んでいたわけではありませんし、むしろプレミアムと呼ばれるものを選んでいました。
それしか知らないコルクはガツガツ食べていましたが、僕にとってドッグフードはどんな材料がどんなふうに調理されているのかよく分からないブラックボックスのような存在でした。「よく分からないものが家族のごはんでいいのだろうか?」と思いました。
それなら僕が、材料も製造工程もオープンにした透明性の高いごはん、飼い主が愛犬に安心して食べさせてあげられるごはんを作ろうと決めました。「家族なのだから、僕たちと同じ新鮮なごはんを食べさせてあげたい。そっちのほうが健康にも良いはずだ」と思ったのです。
最高のチームで、最高のごはんをつくる
犬のごはんをつくろうと思っても、僕は犬の栄養学について特別な知識があるわけではありません。社内獣医師で獣医循環器認定医の佐藤先生に相談すると、「獣医師は栄養について専門的に勉強していない。信頼できる専門家が必要」とのこと。獣医師は栄養学にも詳しいものだと思っていたので、意外な事実でした。
そこからごはんづくりを手伝ってくれる専門家探しが始まり、ついには海を越え、たどり着いたのがニュージーランドのニック・ケイブ獣医師でした。
ニック先生はマッセー大学の准教授として動物栄養学の研究者であるとともに、獣医栄養学専門医として現場にも立つ動物栄養学の世界的権威です。運良くコロナ禍になる前にニュージーランドへ行くことができ、会って想いを伝え、チームに加わってくれることになりました。
後日、なぜ世界中からお誘いが来るような先生が僕たちに協力してくれたのか聞いたところ、「Taiskeはここまで来てくれたから、一緒にやることにした」と教えてくれました。嬉しかったです。
ニック先生
現在は佐藤先生が開発責任者となり、ニック先生と打ち合わせをしながら日々商品開発を進めています。僕たちが自信を持って「ペトコトフーズ」をみなさんの愛犬・愛猫にオススメできるのは、専門家たちが持つ最先端の知識と経験いう裏付けがあるからなのです。
生産者さんの顔が見えるごはん
レシピが決まれば、次は食材探しです。ドッグフードは法律(ペットフード安全法)で最終加工(殺菌や加熱、成形など)した工場のある国が原産国名として表示されることになっています。つまり外国の食材だけで作ったとしても、日本で最終加工すれば国産ドッグフードとして販売できてしまうのです。でも僕は、食材から国産にこだわりたいと思いました。それはもちろん国産食材の品質や信頼性を重視したというのもありますが、「透明性の高いごはん」をつくろうとするなら、「生産者さんの顔が見えること」は欠かせないポイントだと思ったからです。
そして食材探しの中で出会ったのが、鹿児島県で農家をする菱田さんでした。
農業生産法人「hishi」の菱田さん(右)
菱田さんはもともと鹿児島を出て東京でサラリーマンをしていました。しかし、実家の畑の感触が忘れられず、自然が身近にある仕事に就きたいと思い直して農家を継いだそうです。僕もサツマイモ掘りを体験させていただき、菱田さんが目指す農業の未来について、僕たちがやりたいことについて語り合いました。
現在はフードロス削減の取り組みとして、規格外のサツマイモをペトコトフーズの食材として使わせてもらっています。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
本当のヒューマングレードだから食べられる
レシピが決まり食材が決まったら、そこからは試作の日々です。食材はどれくらいの大きさにカットすればいいのか、粘り気はどれくらいあればいいか、などなど。社員犬や社員猫に食べてもらうのはもちろん、ペトコトフーズの試作は社員たちの試食会も恒例になっています。for DOGS 社員試食会の様子
for CATS 社員試食会の様子
ドライフードでもヒューマングレードをうたった商品は多数発売されていますが、みなさんは茶色い豆粒を食べたいと思うでしょうか? 僕は食べたいと思わなかったのでペトコトフーズをつくりました。
もちろんペットフードなので人が食べる必要はないのですが、ヒューマングレードと言うからには人が食べられるものであるべきです。実際に僕たちは日々ペトコトフーズを食べて味を確かめていますし、料理して美味しく食べることもあります(薄味なので人向けの味付けをしないと物足りないです)。
ハンバーグになった「ペトコトフーズ」
餃子になった「ペトコトフーズ」
イベントなどで実際に食べてみせると、見ていた方が「えっ!?」と驚かれることが少なくありません。それは「ペットの食べ物を食べたから」ではなく、「ペットフードはどんな材料がどんなふうに調理されているのかよく分からないものと思っているから」ではないかと思います。
僕たちは自分たちが何をつくっているかを知っているので安心して食べられますし、みなさんには同じくらい安心して愛犬・愛猫に食べさせていただきたいと思っています。
ペットの「エサ」から「ごはん」へ
犬や猫の食べ物は少し前まで「エサ」と呼ばれるのが当たり前でした。今もそう呼ぶ人は少なくないと思います。しかし、僕はペットの「ごはん」と呼ぶのが当たり前の世界にしたいと思っています。2022年の夏、そんな想いをプレゼンイベントでぶつけたところ、なんと優勝を頂くことができました。ペット系のイベントなら共感も得やすいと思いますが、ペットと暮らしたことが無い方も大勢いるビジネス系のイベントで頂いた優勝だったのが何より嬉しいポイントでした。プレゼンの様子はYouTubeで公開されていますので、一度ご覧いただけると嬉しいです(2:14:14頃)。
大切な家族に安心できるごはんを
みなさん、「ペットのエサ」ではなく「ペットのごはん」と呼ぶのが当たり前になった世界を想像してみてください。その「ごはん」はどんなものでしょうか? やっぱり茶色い豆粒だと思いますか?
僕はドライフードが犬や猫に良くないもの、与えてはいけないものと言うつもりは全くありませんが、家族のごはんが「茶色い豆粒」というのは、ちょっとさみしい気がします。
僕たちが新鮮なごはんを美味しく食べるように、愛犬・愛猫にも新鮮なごはんを美味しく食べてほしい。そんな想いで生まれたのがペトコトフーズです。
僕はフレッシュフードの存在を知っているから、コルクのごはんを茶色い豆粒にしたいとは思いません。ですから家族である愛犬・愛猫と暮らすみなさんにも、本当の「ごはん」を知っていただきたいです。
PETOKOTOはこれからも専門家の知見と、お客さまのフィードバックをもとにペトコトフーズをより良いものにしていきます。
ペトコトフーズの公式HPを見る