【獣医師執筆】犬は甘酒を飲んでも大丈夫?期待できる効果や量など与え方の注意点を解説

佐藤貴紀

獣医師/循環器科担当/認定医

【獣医師執筆】犬は甘酒を飲んでも大丈夫?期待できる効果や量など与え方の注意点を解説

「飲む点滴」とも呼ばれる程栄養価の高い甘酒は、犬に飲ませても大丈夫です。ただし、飲ませても大丈夫な甘酒には限りがあります。今回は、犬に甘酒を与える際の注意点や、甘酒がもたらす効果についてなど解説します。

目次
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犬は条件付きで甘酒を飲んでも大丈夫

甘酒
甘酒には、酒粕から作られた甘酒と、米麹から作られた甘酒の2種類があります。酒粕から作られた甘酒はアルコール分を含むため、犬に与えてはいけません。

しかし、米麹から作られた甘酒はアルコールを含まないため、犬に飲ませても大丈夫です。

米麹の甘酒が犬にもたらす効果

甘酒

栄養価が高い

甘酒の主成分はブドウ糖です。甘酒は「飲む点滴」と呼ばれる程栄養価が高く、ビタミン群や必須アミノ酸9種類も含まれています。また、高い抗酸化作用が期待される「エルゴチオネイン」も含まれています。

犬が腎臓病の場合、ミネラルの一部であるリンの制限が必要ですが、甘酒に含まれるリンは多くないため、獣医師に相談の上で飲ませても良いでしょう。

また甘酒を飲んで膵炎の数値が改善したり、涙やけが解消した声もありますが、エビデンスでは証明されていません。ドッグフードのオイルコーティングや人工添加物が原因の可能性もあるため、食事との関係性は強いかもしれません。

シニア犬の食欲促進と水分補給に

アルコール分を含まない甘酒は、シニア犬の食欲促進や水分補給に効果的だといわれています。また、腸内環境を整えてくれる効果もあるので、肝臓の働きをサポートしたり、便秘や下痢の解消にもつながります。

ただし、与え過ぎるとカロリー過多になってしまう可能性があるため、与える際は少量に留めておきましょう。

犬に甘酒を与える際の注意点

体重計に乗るシニアのミニチュアダックスフンド
米麹から作られた甘酒は、犬の健康維持に役立ちます。ただし、犬によっては体質に合わない場合もありますので、与える際は少量ずつにし、体に異変がないか様子を見るようにしてください。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。
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ペトコトフーズが提供する「食事量計算機(無料)を使っていただくと、1日の最適カロリー量を知ることができます。

例えば1日の最適カロリー量が125kcalのワンちゃんに100gあたり400kcalのドッグフードを与えている場合、1日の最適な食事量は31gとなります。

なお、生後4ヶ月以上、1歳未満の子犬の場合は食事量計算機で表示された1〜1.5倍の量を、生後4ヶ月未満の場合には2倍の量を与えてくださいね。

腫瘍がある犬には与えない

甘酒の主成分であるブドウ糖や果糖などの単糖類は、ガンなどの腫瘍性疾患を抱える犬に与えてはいけません。ガンなどの悪性腫瘍は、ブドウ糖をエネルギー源として乳酸を産出しますが、犬の体内では乳酸を再びブドウ糖に還元しようとします。この際に多くの体力を奪われ、栄養失調につながってしまう可能性があります。

腫瘍がある場合は獣医師から食事指導があると思いますので、その指導に必ず従うように

酒粕や砂糖入りは与えない

人間用に作られた甘酒には、酒粕で作られたもの、もしくは酒粕も含まれているもの、砂糖が含まれているものもたくさんあります。アルコールや砂糖は、犬の体に悪影響を与える可能性がありますので、これらの甘酒は犬には与えないでください。犬に甘酒を与える際は、原料に酒粕や砂糖が入っていないものを選びましょう。

ただし、砂糖が入っていなかったとしても、甘酒は糖分を多く含んでいますので、飲みすぎると肥満につながります。そのため、与える際は極少量に留めておきましょう。

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コマチナの甘酒は、米麹を使用し、主にブドウ糖、ビタミンB群,アミノ酸などでできています。病院で使用する点滴の成分とほぼ同じである事から「飲む点滴」と呼ばれています。

まとめ

犬
犬に甘酒を与える際は、米麹から作られたものを選ぶ
アルコールや砂糖が含まれているものは与えない
与え過ぎは肥満につながるので注意
栄養価が高く体に良い甘酒ですが、くれぐれも飲ませ過ぎには注意し、飲ませた後に体調に変化がないかをよく見てあげるようにしてくださいね。

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この記事の監修者

ニック・ケイブ獣医師

ニック・ケイブ(Nick Cave)獣医師

米国獣医栄養学専門医・PETOKOTO FOODS監修

マッセー大学獣医学部小動物内科にて一般診療に従事した後、2000年に獣医学修士号を取得(研究テーマ:犬と猫の食物アレルギーにおける栄養管理)。
2004年にはカリフォルニア大学デービス校で栄養学と免疫学の博士号を取得し、小動物臨床栄養の研修を修了。同年、米国獣医師栄養学会より米国獣医栄養学専門医に認定。
世界的な犬猫の栄養ガイドラインであるAAFCOを策定する WSAVA の設立メンバーであり、2005年より小動物医学および栄養学の准教授としてマッセー大学に復帰。
家族とともに犬2匹・猫・ヤモリと暮らしながら、犬猫の栄養学の専門家として研究・教育に携わっている。