【獣医師執筆】犬に紅茶は飲ませないで!カフェイン中毒症状や応急処置を解説
ティータイムに、香りや味わいが違う茶葉から好みの紅茶を選んだり、選んだ紅茶にぴったりのスイーツを準備したりすることも楽しいですね。そんな飼い主さんのお楽しみに、興味津々になる犬も多いです。目を離したすきに、「愛犬が紅茶を飲んでしまった!」なんてことはありませんか? 今回は、犬が紅茶を飲んだときの影響や注意点についてご紹介します。
犬に与えてはいけない紅茶の成分
タンニン
紅茶に含まれるタンニンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があります。コレステロールの酸化を防ぐことにより、動脈硬化のリスクを下げることが期待できます。シュウ酸
犬にとってシュウ酸は有害です。シュウ酸はシュウ酸カルシウム結石の原因となり、尿路結石症を引き起こします。特にこの疾患は再発率が高く、3カ月後の犬で3%、1年後で36%、3年後で48%という報告もあります。シュウ酸カルシウム尿石症になったことがある犬には、シュウ酸が含まれる食べ物は与えないようにしてください。
カフェイン
紅茶に大く含まれるカフェインには興奮作用があり、精神刺激薬の一つです。また、解熱鎮痛作用や利尿作用もあります。犬がカフェインを摂取すると、心筋と中枢神経を刺激され、頻脈や過度の興奮、呼吸切迫や痙攣など、カフェイン中毒の症状が現れることがあります。犬のカフェインによる致死量は、体重1kgあたり150mgだといわれています。そのため、5kgのトイプードルの場合、カフェインを750mg(紅茶2.5ℓ分)摂取すると危険です。
紅茶の量を考えると、現実的に死に至る確率は低いですが、危険な成分には変わりません。また、犬にも個体差がある上に、時間が経てば経つほど重症化してしまいますので、決して油断しないようにしてください。
カフェイン含有量(100mlあたり)
- 紅茶:30mg
- 玉露:160mg(茶葉10gに60℃の湯60mlを加え2.5分浸出)
- インスタントコーヒー:60mg(インスタントコーヒー粉末2gを熱湯140mlに溶かす)
- 緑茶、煎茶、ウーロン茶:20mg
- コーラ:10mg
犬に紅茶は与えてはいけない理由
紅茶にはカフェインが含まれているので、犬には飲ませないでください。カフェインは犬にとって有害な成分です。誤って犬が紅茶を舐めた、飲んでしまった場合、カフェイン中毒を起こす可能性がありますので、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
カフェイン中毒を起こすと、以下のような症状が見られます。
- 頻脈
- 呼吸促迫
- 過度の興奮
- 痙攣
- 不整脈(心室性期外収縮)
- 全身性のうっ血、あるいは出血
犬が紅茶の茶葉やティーバッグを食べてしまった場合の応急処置
茶葉やティーバッグを食べてしまった場合にも、同様の危険性があります。むしろ、抽出された紅茶よりも茶葉そのもののほうがカフェイン含有量は多いため、より一層注意が必要です。すぐに獣医師に相談してください。
また、ティーバッグを丸ごと飲み込んだ場合は、異物が体内に残る可能性があるほか、腸に詰まると腸閉塞を引き起こすこともあります。異物を誤飲した場合は、気がついた時点ですぐに獣医師に連絡し、指示を仰いでください。
紅茶を使用した加工食品も与えない
紅茶を使ったクッキーやケーキなどの加工食品も多いですが、これらも犬に与えてはいけません。茶葉から受ける影響はもちろんのこと、人間用に作られた加工品には、砂糖やバターがたっぷり使われているため、犬の体に良くありません。
ノンカフェインの場合は中毒症状の可能性は低いですが、積極的に与える必要はないでしょう。
まとめ
犬に紅茶は与えない
カフェイン中毒になる危険性がある
茶葉やティーバッグの誤飲にも注意
ティータイムを楽しんでいる際、愛犬がうっかり紅茶を口にしてしまわないよう、十分注意してくださいね。
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