犬が嫌いな音とは?パニックになってしまった場合の対処法や克服法について解説

犬は人間の4〜6倍もの聴覚を持っています。そのため、私たちが気づかない音に吠えたり、怖がったりしてしまう犬もいます。特に嫌いな音に関しては恐怖心が芽生えたりストレスを感じたりして、パニック状態になってしまう場合もあります。今回は、犬が嫌いな音や好きな音、嫌いな音の克服法についてなど、ドッグトレーナーの西岡が解説します。

犬が嫌いな音を知る前に聴覚について

音を聞く犬

人と同じく五感を持っている犬ですが、特に嗅覚聴覚は人より鋭く、聴覚に関しては人の4~6倍といわれています。そもそも人と犬の祖先が共生することになった理由の一つが、犬が優秀な聴覚を使い「番犬」という大切な役割を担ってくれたからです。

そんな聴覚を持つ犬が、この現代社会で人と共に暮らすことにより、必然的にさまざまな音を経験することになりました。そしてそれらの音への反応によっては、人を悩ませてしまっている場合もあるようです。


犬が好きな音と嫌いな音

聴力が優れている犬にとっても、音の好き嫌いがあります。また、個体によっても「好き・嫌い」「怖い・怖くない」は異なるので、愛犬がどんな音に対してどんな反応をするのかも、日頃からよく観察してみてください。

犬が好きな音

  • 袋などを開けるカサカサ音
  • 食器にフードを入れた時のカラカラ音
  • 冷蔵庫の開け閉めの音、まな板の上で包丁を使う音
  • オモチャなどでのキューキュー音など

こうしてみると、個体差もかなり大きいですが、好きな音は後天的にそうなったものがほとんどですね。大好きなもの(フードやオヤツ)との関連付けが多いようです。

犬が苦手な音

  • 花火
  • 掃除機
  • ドライヤー
  • 工事現場などの金属音・振動
  • トラックや電車、飛行機など
  • 室内にいる状態での外の物音など

苦手な音は好きな音とはまた違って、後天的なものもありますが先天的に苦手な音が多いように感じます。

犬が嫌いな音を聞いた時に見られる行動

毛布にくるまる犬

犬が苦手な音に対しての反応は基本的に同じで、ほとんどが恐怖反応です。行動としては、強い恐怖からの恐慌状態(パニック)になってしまっての「逃避行動」(とにかくその場から離れたい、隠れたい)が多く、「攻撃・破壊行動」を起こす場合もあります。

強いパニックになってしまうと周りへの認識も消し飛んでしまうので、飼い主がいくら名前を呼んでも、なかなか落ち着かなくなってしまいます。


犬が嫌いな音になる原因

もともと嫌いなケースも多いですが、平気な音だったのに嫌いになるということもあります。その原因は、強い衝撃を受けることによって嫌いになってしまうというケースです。以下のような例があります。

  • 遠くの花火は平気だったのに、花火大会の打ち上げ現場近くに一緒に花火を見に行ったら、音の大きさに恐怖心を抱いてしまい、それ以降どんな花火の音も嫌いになってしまった。
  • 工事現場は平気だったのに、鉄骨が落ちる音などを経験してビックリして以来、工事現場の音の全てが嫌いになった。

また、音を経験した時の飼い主の対応によって、より苦手になってしまうケースもあります。

  • 地震の時の揺れやアラーム音に飼い主さんがパニックになってしまい、それを見た犬もパニックになった。
  • シャンプーの後のドライヤーが苦手で嫌がったら、飼い主に怒られた上に無理矢理ドライヤーをされて、もっと嫌いになってしまった。

犬が嫌いな音を聞いた時の対処法

恐怖からパニックになってしまう犬の場合、パニックになってしまってから対処するのは難しいです。強いパニック状態の時には、飼い主さんの声も聞こえませんし周りの状況も見えなくなります。そのため、飼い主さんができる限り事前予測をして、パニックにならないように対処することがとても大切です。

  • 散歩中の工事現場は通らないようにする。
  • 交通の多い大通りは極力歩かないようにする。
  • 掃除機やドライヤーを使うときは、部屋を別にしたり、クレートに入れタオルをかけて目隠しをしたりする。

散歩中など嫌いな音を避けることができない場合には、まずはリードを短く持ち、パニックによる首輪抜けなどの脱走防止や、他の歩行者や自転車などと接触しないように配慮し、音から離れましょう。パニックになっているときに、「自転車の転倒」や「人に蹴られてしまう」などの要因が重なってしまうと、余計にトラウマなってしまう恐れがあります。

また、音の対象が通り過ぎて行くものであれば、リードを短く持ち、必要に応じて飼い主さんもしゃがみ(あくまですぐに動ける状態であること)、声をかけながらなでるなどして落ち着かせてあげ、音が遠ざかるのを待つことも一つの方法です。音が鳴っている間や、音から開放された後にトリーツをあげることで、「嫌な出来事で終わらせない」というフォローも大切です。

しかし、恐怖でパニックになっている場合にはトリーツを食べる余裕がないことがほとんどですので、「食べられたらすごいね」くらいの気持ちで、無理矢理あげる必要はありません。

犬が嫌いな音に慣らす方法

花火やが苦手な子の事を「音響シャイ」といいます。しかし僕の経験上、正直言って一度「音響シャイ」になってしまうと、それを改善、克服するのはかなり難しいです(特に雷や花火)。

ただ、完全な克服は難しくても、パニック症状を少しでもやわらげることはできます。クレートなど安心できる環境を用意してあげるだけでも違いますし、飼い主が近くで穏やかに声をかけてあげることで落ち着くのが早くなったりもします。また、落ち着ける環境(自宅など)で、嫌いな音のCDや録音した音を最小音量から少しずつ少しずつ聞かせて慣れさせていく方法で、症状が落ち着くケースもあります(ダメな場合も多いですが)。

雷や花火以外の苦手な音、ドライヤーや掃除機、工事現場系、車や電車などに関してはそこまでシビアではなく、トレーニングで少しずつでも克服、改善はできます。音の刺激ができる限り少ない状態で、トリーツやオビディエンスでいっぱい褒めて自信を付けさせていくことで、苦手意識を徐々に克服させていきます。しかし、かなり慎重にトレーニングしていく必要があるため、ドッグトレーナーに相談することをオススメします。

子犬の頃に音に慣れさせる

音を聞く子犬

生後3〜12週齢の時期が社会化期といわれています。恐怖心よりも好奇心が強いこの時期に、さまざまな刺激をたくさん経験させてあげることが大切です。

「刺激に対してどんな反応をするか」が将来の行動に大きく影響しますので、子犬の頃にいろいろな音に慣れさせて、1種大丈夫なら2種、3種と増やしたほうが良いかと思います。CDを聞かせるという方法もありますが、できるだけ「実際の大きな音」を経験させることが大切です。


まとめ

眠る犬

個体差はあるが、犬にも音の「好き・嫌い」「怖い・怖くない」がある
それまで平気だった音も嫌いになるケースがあるので、注意が必要
トレーニング次第では、苦手意識を徐々に克服させてあげることも可能
子犬の頃からさまざまな刺激や音に少しずつ慣れさせていくことが大切

個体差もかなり大きいですが、犬は優秀な聴覚を持つからこそ、さまざまな音に対してすごく敏感なのです。平気だと思っていても、人間社会は犬にとって刺激的で苦手になり得る音が溢れていることを忘れずにいてあげてください。そしてなるべく慎重に、いろいろな音に触れ合わせていきたいですね。

一番のオススメは、苦手になる前の子犬期から、いろいろな音に対して少しずつ慣れさせていくことですよ!