【獣医師執筆】犬のうんちは健康のバロメーター!色・形・回数で分かる状態と改善方法を解説
犬のうんちは飼い主さんが回数や色、硬い・柔らかいといった変化をチェックしやすい健康のバロメーターです。黒い、白い、血が付いている場合は緊急性が高く、病気の早期発見につながるかもしれません。理想的なうんちの見分け方から、うんちをさせる方法まで、獣医師の佐藤が解説します。
目次
- 犬の理想的なうんちとは
- 犬のうんちがゆるいときに考えられる原因・病気
- 犬がうんちをしないときに考えられる原因・病気
- 犬にうんちをさせる方法(しつけ・トレーニング)
- 犬のうんちが変わるおすすめのドッグフード
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犬の理想的なうんちとは
飼い主さんが愛犬の健康状態を知る手段として「うんちを見る」ことはとても大切です。しかし、「うんちの何を見ればいいのかよく分からない」という飼い主さんも多いはず。英国ウォルサム研究所では、理想的なうんちの見方として「3つのC」を提唱しています。
- Consistent:(回数が)一貫しているか
- Compact:(形状は)コンパクトか
- Chocolate-coloured:(色は)チョコレート色か
うんちの回数は犬によって異なり、1日1回の子もいれば2回、3回とする子もいます。大事なのは1日の回数よりも、その回数が毎日変わらず安定しているかということです。いつも1日1回の子が急に3回したり、逆に3回の子が1回になったりしたら注意が必要です。
うんちの形や大きさは立派なものほど安心感を与えるかもしれませんが、望ましいのはポロポロと小さくて硬いうんちです。よく「ドライフードからフレッシュタイプの『ペトコトフーズ』に変えたところうんちが小さくなったので心配」というご相談を頂くのですが、それだけ栄養が吸収できているという証拠ですから心配ありません。
うんちの色は食材によっても変わるため、茶色系、黄色系であればそれほど気にする必要はありません。ただし、詳しくは後述しますが白っぽい場合や真っ黒のうんちは緊急性が高い可能性があります。赤い血が付いたうんちも要注意です。
※参照:「Why monitor your dog's feces?」(The Waltham Petcare Science Institute)
糞便スコア
ウォルサム研究所では、うんちの硬さをグレードで評価する以下のような「糞便スコア」を公開しています。理想はグレード1.5〜2.5です。軟便や下痢はグレード4〜5を指します。
※参照:「The WALTHAM™ Faeces Scoring System」(The Waltham Petcare Science Institute)
犬のうんちがゆるいときに考えられる原因・病気
犬のうんちがゼリー上でゆるい(軟便)、もしくは下痢をしている場合、小腸か大腸に以下のような異変が起きていると考えられます。下痢はさまざまな要因で起こりますが、誤飲・誤食をしたり、血便が続いたり、食欲や元気が無くなったりする場合は緊急性が高い可能性があります。様子見をせず、できるだけ早く動物病院に相談してください。
原因 | 対処法 | |
---|---|---|
食事 | 質の悪いフードや古くなったフードなどの酸化した油 | 質の良いフード、ウェットフードなどへの変更 |
食物アレルギー | 除去食試験を受けて確定した場合は原因となる食材を避ける | |
感染症 | パルボ、ジステンパーなどのウイルス | 抗生物質の投与、対症療法など |
回虫、条虫、鉤虫、糞線虫、ジアルジア、コクシジウムなどの寄生虫 | 駆虫薬の投与 | |
基礎疾患 | 慢性腸症、腫瘍、膵炎、膵外分泌不全、肝疾患など | 各疾患の治療 |
原因 | 対処法 | |
---|---|---|
食事 | 新しい食事に腸内環境が対応できていない | 元の食事に戻す。頻繁に変えたり、一気に変えたりせず、少しずつ置き換える |
食材に含まれる食物繊維が過剰 | さつまいもやとうもろこし、おからなど食物繊維の多い食材を避ける | |
食物アレルギー | 除去食試験を受けて確定した場合は原因となる食材を避ける | |
誤飲・誤食(中毒) | 吸着剤(活性炭)の投与、内視鏡による除去、開腹手術など | |
薬 | 抗生物質など | 乳酸菌製剤の服用 |
ストレス | 環境の変化、ストレスによる過敏性腸症候群など | ストレス要因の除去 |
感染症 | サルモネラ、大腸菌、カンピロバクターなどの細菌 | 抗生物質の投与 |
鞭虫などの寄生虫 | 駆虫薬の投与 | |
基礎疾患 | 慢性腸炎(炎症性腸疾患)、腫瘍など | 各疾患の治療 |
犬がうんちをしないときに考えられる原因・病気
犬がうんちをしない場合、そもそも食事をしていないことでうんちが作られていないか、以下のような問題が起きて出ない可能性が考えられます。
- 機能性便秘:大腸や直腸に異常がある
- 器質性便秘:物理的に便が通過できない
- 症候性便秘:病気の症状として起こる
- 薬剤性便秘:薬の副作用で起こる
便がいつまでも体に留まると排出されるはずだった細菌や老廃物などの毒素が体内に取り込まれ、敗血症による多臓器不全が起こる可能性があります。嘔吐や震え、ぐったりしているといった様子が見られる場合はすぐに動物病院へ行くようにしてください。
綿棒で刺激するのはNG
うんちを促すために綿棒で肛門を刺激する方法が紹介されることもありますが、動きが予測できない犬を相手に肛門や腸内を傷付けてしまう可能性がありますのでお勧めしません。病院で原因を探り、獣医師の指示に従うようにしてください。犬にうんちをさせる方法(しつけ・トレーニング)
猫は教えなくても猫砂がある場所をトイレと認識してくれますが、犬は教えなければペットシーツがある場所をトイレだと認識してくれませんので、飼い主さんが教えてあげましょう。大原則は「失敗したら叱る」ではなく「成功したら褒める」です。トイレの失敗は、犬の失敗ではなく飼い主さんの失敗だと考えてください。ドッグトレーナーの西岡先生が以下の動画や関連記事でトイレの教え方を解説されていますので、参考にしていただければと思います。
犬のうんちが変わるおすすめのドッグフード
犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。
1. 総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。
実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。
ペトコトフーズの公式HPを見る
まとめ
良いうんちが出ているか「3C」で確認
下痢で食欲や元気が無い場合は要注意
便秘も続くときは病院へ
うんちトレーニングは叱らず褒める
専門家相談のインスタライブ開催中!
ペトコトのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」やトリマーやトレーナーへの相談会を定期開催しています。愛犬について気になることがある方は、ぜひご参加ください。
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