育犬ノイローゼとは?原因や症状、ならないための対策などについて解説
犬との生活が思っていたより大変で、ノイローゼに陥ってしまうことがあります。無駄吠えやトレイトレーニングがうまくいかないなどの悩みがノイローゼへと発展し、その結果、犬を手放す決断をする飼い主さんもいるほどです。そんなことにならないよう、今回は育犬ノイローゼになる原因や対策などについて解説します。
目次 [開く]
犬の飼育ノイローゼとは

ノイローゼと聞くと、人間の子供に対する「育児ノイローゼ」を連想する方が多いと思います。実は犬の飼い主さんも同じように「育犬ノイローゼ(飼育ノイローゼ)」になってしまうことがあります。
「しつけが上手くいかない」「手が掛かる」「言うことを聞かない」など、犬を飼う前には想像もしていなかった出来事に、精神的、肉体的ストレスを受け、ノイローゼになってしまうのです。
育犬ノイローゼの症状
犬の飼育によって起こるノイローゼは、育児ノイローゼの症状とほとんど同じと言っていいでしょう。イライラする、マイナス思考になる、悲観的になる、思考力の低下、不眠、突然涙が出る、家に帰りたくない、逃げ出したくなる、無気力、人との会話が減る、嘔吐、食欲不振などの症状が現れます。育犬ノイローゼの原因

初めて犬を迎えた人がなることが多い育犬ノイローゼですが、2匹目以降であってもノイローゼになることはあります。ノイローゼは「しつけがうまくいかないこと」「手が掛かる」ことがきっかけでなることがほとんどです。
犬の夜鳴きで睡眠不足に
ノイローゼになる理由として多いのが、犬の夜鳴き。夜になると鳴く、または吠えることで、飼い主さん自身も熟睡できないだけでなく、近隣からのクレームなどが精神的ストレスになってしまうケースがあります。飼育のストレス
子犬の頃に手が掛かるのは、人間の子どもと同じです。しかし、子犬のほうが大変なことも多く、「もういやだ…」と思ってしまうこともあるでしょう。外出先から「帰りたくない」と思ってしまうこともあるかもしれません。トイレの失敗
「トイレトレーニングができない」と、困っている飼い主さんはとても多いです。そしてトイレトレーニングがうまくいないことが理由で、ノイローゼになってしまう人もいます。中には「トイレの失敗だけで?」と思う人もいるかもしれませんが、たとえば仕事をしている飼い主さんの場合、これはとても負担になるのです。子犬の場合、トイレを我慢することができないので、お留守番中に排泄してしまうことがほとんどです。仕事で疲れて帰宅し、まずは糞尿まみれの子犬のシャンプーから始まります。その後にケージの掃除をし、ご飯をあげて、散歩に行って…。これが毎日繰り返させると思うと憂鬱になってしまうこともあるのではないでしょうか。
トイレトレーニングは、飼い主さんが時間に余裕がないとなかなか難しいものです。子犬の排泄のタイミングと合わせてトレーニングする必要があるからです。しっかりトイレトレーニングをするのであれば、ドッグトレーナーにお願いするか、平日だけでなく連休もうまく利用し、集中してトレーニングしてあげる必要があります。
食糞
食糞は「トイレの失敗」と同じタイミングで起こります。トイレトレーニングができてないうちに、長くお留守番をさせると、自分でうんちを食べて片付けるようになってしまいます。放っておくと食糞行動は癖になってしまいやすく、健康的にもよくありません。甘噛み
子犬のかわいい甘噛みも、頻度や噛む場所によってはかなり痛みを伴うので、ストレスになります。せっかく遊んであげても、おもちゃではなく手ばっかり追いかけてくるということも、問題行動とされやすいのです。家具などを噛む
子犬時の甘噛みだけではなく、成犬になってからの破壊行動は、その被害も大きくなります。後片付けだけでなく、「大切なものを壊された」という負の感情がどうしてもでてきてしまうものです。吠える(鳴く)
吠えは「チャイムの音で吠える」「外を人が通ると吠える」など、第三者へも影響を与えてしまうものです。そのため、夜鳴きと同様に「やめさせたい愛犬の吠え」と「近隣からのクレーム」の板挟み状態になってしまいます。老犬の介護
育犬ノイローゼになるのは、相手が子犬のときだけとは限りません。それまで元気だった愛犬が老犬となり、介護が必要になったときにも起こりえます。特に大型犬の介護はとても大変で、排泄の手助け、歩行補助、食事の手間、定期的に寝返りを打たせてあげるなど、終日お世話が必要になります。そのため、老犬が心配で気を配っているために、精神的、肉体的ともに大きな負担になります。
育犬ノイローゼになりやすい人と、ならないための対策

どんな飼い主さんでも育犬ノイローゼになってしまう可能性はあります。
- 犬が大好き
- 少しでも幸せにしてあげたい
- ちょっとの変化にもよく気が付く
- しつけを完璧にしたい
- 正直しつけについてはよくわからない
では、どうしたらノイローゼにならないで済むのか。なってしまったときの対策を、三つに分けて解説します。
犬を安易な気持ちで飼わない
これは唯一人間の子供とは違う対策でしょう。人間の子供であれば、妊娠してから生まれてくるまでの間に、母親や父親になるための準備期間があります。その期間に、出産のときのことや生まれてきた後の世話の仕方などを勉強すると思います。「飼い主になるための準備期間」は人それぞれです。本来「犬を飼う」には、事前に飼う犬種について知ることや、飼い主になる心構えが必要になります。しかし、「犬を買う」ことは容易にできてしまうため、飼い始めてから「思っていたのとは違った」という出来事が多くなってしまうのです。飼う犬種やしつけについて、事前にしっかり学んでおくことが大切です。
しつけのハードルは低く設定すること
飼い始めの理由は人それぞれあると思いますが、「家族として迎えた我が子をイイコになるようにちゃんとしつけないと!」と張り切りすぎることで、ノイローゼに陥ってしまうことがあります。一生懸命であるからこそ、しつけが上手くいかなかったときの逃げ場がなくなってしまうのです。
- ちゃんとしつけ本を読んで同じようにやっているのにできない
- できない理由がわからない
- 問題行動の対処方法がわからない
など、無意識のうちに完璧なしつけを目指してしまい、犬にも自分自身にも求めるハードルが高すぎるのが理由の一つです。
そのため、できないことへの「罪悪感」「責任感」「不安感」など、どんどんマイナス思考の沼にはまってしまうことになります。力みすぎず、時間にも自分にも余裕を持ってしつけをしましょう。
関連記事
一人で悩まないで相談する
友達や親しい人に犬を飼っている人がいない場合や、飼っている人はいてもしつけがうまくいってないことを「恥ずかしい」と思い相談できない場合など、「相談できる人がない」といういうのもノイローゼになってしまう原因です。困ったときに相談できる人がいるかどうかというのは、実は一番重要なポイントです。たとえ、「飼ってみたら違った」「しつけがうまくいかない」という場合でも、相談できる人がいるだけで前向きに頑張っていけるものです。しかし、相談できる人がいなければ、「何がいけないのか」「どうしたらいいのか」がわからないまま、一人で飼い犬と向き合い続けなくてはいけません。たとえ問題解決にはならなくても、誰かに相談することで「私も同じ!」と共感してもらえれば、それだけでも気持ちは楽になるはずです。
相談する相手は、かかりつけの獣医師さんでもいいですし、どうしても相談しにくい場合は、専門のドッグトレーナーに相談するのがいいでしょう。一人で抱え込まず、困ったときは必ず誰かに相談しましょう。