災害時の愛犬との避難準備は万全?必要なしつけや持ち物を紹介

災害時の愛犬との避難準備は万全?必要なしつけや持ち物を紹介

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待ってはくれない災害。大切な愛犬を守るなら「そのとき」に考えるのでは遅いのです。災害時、ペット用の物資はいつ届くか分かりません。愛犬と安全に避難するために今のうちに用意しておくべきグッズや、クレートトレーニングの重要性についてドッグトレーナーが解説します。

愛犬の災害時の避難対策

都市

日本は、地震大国であり四季による季節災害などが起こりやすい国です。

「人命優先」という言葉が一般的だった時代は過ぎ去り「ペットも救おう」という動きが出てきました。

ペットが家族同然に扱われるようになり「人命優先」と言われる中、飼い主さんたちは「私が守らなければ」と避難命令を拒否したり、迫られる一瞬の判断の結果、大切な家族を失ったことに対する後悔と喪失感に苦しむ人々が後を絶ちませんでした。

人の命を救うためには、その人が命に変えても救いたいものの命も一緒に救わなければなりませんし、野生化してしまったペットたちがもたらす環境被害や、人間への影響も考える必要があります。


愛犬と避難する際の留意点

抱っこされる犬

環境省は2013年より、ペットと一緒に避難所まで避難する「同行避難」を推奨しています(一部の特殊なペットを除く)。

しかし、同行避難の受け入れについては市区町村の判断に委ねられ、「同行避難したのに断られた」というケースも多く、大きな混乱を招いています。

事前にお住まいの地域が同行避難についてどんなルールを設けているか確認しておきましょう。

また、避難所の同じ場所で生活できる「同伴避難」か、生活スペースは分けられる「同行避難」かは特によく確認すべきポイントです。


抱えられない犬はどうやって避難する?

災害時に最初に困ることは「一緒に避難することは意外と難しい」ということ。

自分の避難グッズだけでなく、愛犬の避難グッズ、そして愛犬も連れて行かなければいけません。5kg程度の「小型犬」や「猫」「小動物」なら一緒に抱えて避難することができるかもしれません。

しかし、5kg以上の小型犬〜大型犬を連れて行くだけでも大変です。

車で避難できる状態であれば良いですが、歩いて避難することを前提に一度家族で話し合ってみてください。

どういうルートで避難するのか、荷物の分担や愛犬は誰が連れて行くのかなど、きちんとイメージして本当にできるか実際にやってみることも大切です。

最近では、犬(猫)との同行避難訓練を開催していることもあるため、機会があれば参加してみましょう。



災害の避難時に必要な犬のしつけ

クレートにいる犬

災害時に大切なのは「必要以上のストレスを与えないこと」「安心できる環境を与えてあげること」です。

動物は災害時、いつもと違った雰囲気をいち早く感じ取り、その場から逃げることを考えます。これは、動物の本能です。

しかし、お留守番中のペットたちや避難した先で行動に制限がかかっている子たちは、その逃げたい気持ちを行動に移すことが困難であり、信頼している飼い主さんもいないという状況からパニックになる子がほとんどです。

クレートトレーニング

まず犬でも猫でも行ってほしいのがクレートトレーニングです。

ハウストレーニングとも呼ばれますが、ここでは「クレート」や「バリケン」と呼ばれるものに限定したいと思います。

犬が中で一回転できる程度の広さのクレートがベストです。

基本的に犬は狭くて暗い場所を好みますが、慣れていない場合には返ってそれが不安や恐怖心を煽ることになってしまうことになります。

「ここにいれば大丈夫」というような安心できる場所があるだけで、避難生活のストレスも一つ軽減されます。

クレートトレーニング時には、中にタオルや毛布などを入れておくことで、いつものクレートが無くても、自分のにおいがついたタオルがあるだけで、安心することができます。

大型犬の場合には特に有効といえるでしょう。


人や環境に慣れさせる

避難所では今まで経験のないくらい人やペットたちで溢れています。

場合によっては、物資の大型トラックなどがで入りするなど、犬にとって見慣れない、経験のない環境が余儀なくされます。

迷子時や避難時には、飼い主以外の人にお世話されることもあるでしょう。

日常から、人混みや車などに慣れさせておくことで、生存確率はぐっと上がりますし、環境的ストレスを軽減することができます。


呼び戻し

災害時に多いのが逃走・迷子です。

いくらしつけができている犬であっても、一度パニックになってしまったら、いつもと同じ行動は取れません

それは人も同じで、だからこそ日頃から避難訓練をして体に覚えさせることを繰り返しますよね。

犬も同じで、日頃から呼び戻しのトレーニングはしておきましょう。だからといって、災害発生時に「呼んで来るか」はその子の精神状態にもよります。

ただ、落ち着いてから探しに行った時に出会える確率はぐっと上がるといえます。


避難時は積極的にコミュニケーションを

制限の多い生活の中でいかに、ストレスを軽減させてあげられるか、楽しむ余裕をもたせてあげられるかが大切です。

瓦礫やガラスの破片など、散歩も思うようにできないなか、閉じ込められてばかりではストレスがたまってしまいます。

避難生活に慣れたら、簡単にできる遊びでストレス発散させてあげましょう。

おすわりやお手など簡単なものでも芸ができれば、少し気分転換になるでしょう。

噛むのが好きな子であれば、枝をおもちゃ代わりにするのもおすすめです。不住な環境で工夫して楽しみを見つけることは、犬だけでなく飼い主さんにとっても良いことです。

食事の時間はランダムに

これは飼い主さんの生活スタイルにも影響しますが、「食事の時間」「回数をランダムにする」ことも一つです。

災害時にはいつもと同じように食事ができません。大きな環境の変化や飼い主さんと離れて過ごすストレスに加え、空腹というストレスが伴ってきます。

食事の時間が同じ場合、少しでも時間が遅れるだけで胃液を吐く犬もいます。

普段から、食事の時間をランダムにすることで食事の時間が空いてしまうことへのストレスは、時間通りにあげている場合と比べ少なくて済むでしょう。

ただし注意点として、すでに決まった時間にあげている場合には急に時間をランダムにするのは大きな負担をかけますので、まずは1回の食事の量を減らし、その分回数を増やすことから始めてみてください。

とはいえ、動物は安全な場所で食事をします。慣れない環境で「不安」「恐怖」「ストレス」状態の場合である避難時から数日は食事を食べない(食べられない)ということも考えられますので、安心させてあげることを第一に考えてあげてください。



犬との避難時に準備しておくべきグッズ

災害時には人だけでなく愛犬たちの分も持って避難しなければいけません。

避難道具を揃える際には、自分の分と愛犬の分二つ(もしくはそれ以上)を持って行くことを考えて選びましょう。

ソフトクレート

災害時にかさばるクレートを持って逃げることは困難です。だからといって避難所での犬の居場所を確保するものはとても大切です。

ソフトクレートは折りたたみでき軽いので、避難グッズとして準備しておくことと、あらかじめソフトクレートに慣らしておくようにしましょう。

折りたたみソフトクレート
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犬用シューズ

抱っこではなく歩かせて避難するしかない小型犬〜大型犬の場合、瓦礫やガラスの破片でケガを負う恐れがあるため、犬用シューズを用意、慣れさせておくことをおすすめします。

ドッグシューズ
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いつものフードと飲料水

いつもとは違うことばかりの環境ですので、食事だけでも食べ慣れたフードを与えられるように準備しておきましょう。

また、療法食やアレルギーがある犬の場合には、支援物資のものでは食べれないこともあると思いますので、最優先すべきものになります。

空腹を紛らわすものとして、骨やガムといったものもおすすめです。賞味期限が長く、与えてからも長く食べていられるので唾液の分泌やストレス発散などにも役立ちます。

また食料では、人用の食料でも水煮缶や干し芋など「犬に食べさせても問題ないもの」がおすすめです。

人用のものは物資が届きやすいですが、味の付いているものなどが多いため、事前に準備するものは犬と人どちらも食べられるものにしておくのが良いでしょう。

マイクロチップと迷子札

マイクロチップは読み取りリーダーがないと意味をなしませんが、保健所や動物病院で保護されたときにはいち早く身元がわかります

迷子札はさまざまなタイプがありますが、首輪自体に刻印、刺繍されているものがおすすめです。特に私のおすすめは、首輪とは別に迷子用の軽い首輪を着けることです。

迷子札の多くは首輪に付けるもので、家で首輪を常に着けさせている飼い主さんは少ないと思います。しかし、万が一の時には首輪を着けていない状態で逃走、脱走することがほとんどです。

普段から着けておいても負担にならないものがおすすめです。


薬が必要な子は必ず余分にもらっておくようにしましょう。

ケア用品

シャンプーができない状況では皮膚炎や動物臭が強くなるなどの影響があります。衛生を保つためにも、タオルシートやドライシャンプーなどは持っていくようにしましょう。

シャンプータオル
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マナー用品

室内トイレの子の場合には、おむつなどの用意があるといいです。うんち袋も臭いがもれないタイプにすると避難所でのトラブルも防げるでしょう。

うんち袋
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リードと首輪

避難時におすすめなのは両手が空くハンドフリーのリードです。それとは別に普通のリードと首輪は余分に持って行きましょう。

ストレスからリードを噛みちぎってしまうことや、首輪が抜けてしまうことも考えられます。首輪でなくてハーネスでも大丈夫です。

避難生活が落ち着いてからはリードを2本つなげてロングリードとして、遊ばせてあげることも可能です。

愛犬と散歩

防災手帳

ペトコト防災手帳

防災手帳は、万が一ペットとはぐれてしまったときや、避難所へ預けるときなど、愛犬・愛猫の情報を分かりやすく伝えるためのツールです。

PETOKOTOオリジナル「ペトコト防災手帳」は、関連記事より、ダウンロードができます。



その他

  • いつも使っている毛布(タオル)
  • トイレシート

まとめ

振り返る柴犬

防災期間になると、学校や会社、地域での避難訓練があると思います。私たち人間はこれから起きるであろう出来事が予想でき、言葉で多くの情報を理解できます。

しかし、犬や猫といったペットたちは先に起こる出来事を予想することも、人の言葉を理解することもできません。そして、災害を模擬的に体験することもありません。

「ここにいれば安全だから」と言ってもペットたちには伝わりません。だからこそ、私たち以上に日頃の練習、トレーニングがとても大切です。家族でしっかりと防災グッズを見直しましょう!