一人暮らしで迎えた保護犬「こうたろう」 名前が結んだ運命の出会い【お結びレポート】

一人暮らしで迎えた保護犬「こうたろう」 名前が結んだ運命の出会い【お結びレポート】

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保護犬・保護猫とペットを飼いたい人を結ぶ場「OMUSUBI」を通じて結ばれたご家族を紹介する「お結びレポート」第9回は、一人暮らしで保護犬「こうたろう」君を迎えた井上さんのお話を紹介します。一人暮らしの方への譲渡は難しいと思われがちですが、後見人を立てることでクリアできる場合もあります。ぜひ参考にして、保護犬・保護猫から迎える選択肢を検討してみてください。週末はいろいろな場所で譲渡会が開催されていますよ♪

後見人を立てて保護犬を家族に

元保護犬こうたろうくん

山本:今日はこうたろう君にも来てもらいましたが、とっても良い子ですね! 井上さんは一人暮らしで保護犬だったこうたろう君を迎えられたわけですが、「一人暮らし」は「高齢の方」と並んで譲渡のハードルが高いイメージがありました。

井上:そうなんです。OMUSUBIで申し込みをしたとき、私も「断られるかな?」と思っていました。でも団体の方から、「一人暮らしだからダメということはないですよ」と言われて。話しをしてみると、「後見人がいれば大丈夫」ということだったので、近くに住む実家の母と妹、会社の同僚にお願いすることにしたんです。

山本:ご家族が後見人になるというのは聞いたことありますが、会社の同僚がなるというのは珍しいですね。

井上:同僚というか友達ですね。私が体調を崩しているときは代わりに散歩に連れて行ってくれることもあります。「何かあったら預かるよ」と言ってくれていて、団体の方も「一人暮らしでも何かあったときに見てくれる人がいれば大丈夫ですよ」ということでした。

山本:手続きはどのようになるんですか?

井上:団体さんから頂いた書類に必要なことを書いてお渡ししました。母や友人が団体の方と会ったり直接やり取りしたりすることはありませんでした。

※譲渡条件は保護団体によって異なります。後見人がいれば一人暮らしでも必ず譲渡されるということではありません。


こうたろう君との運命的な出会い

元保護犬こうたろうくん

山本:こうたろう君はコーギーですが、前もコーギーを飼っていたそうですね。

井上:前の子が初めて飼ったワンコでした。あるとき職場の子がトイプーを迎えるという話をしていて、私は「犬はやっぱりコーギーだよな」と思ってたんです。それでふと駅前のペットショップに行ったらコーギーがいたんですよ。黒いコーギーで、「コーギーって白と茶だけじゃないんだ」「コーギーだから、名前は『こうたろう』だな」とか思いながら通ってるうちに……。

山本:えっ!? 前の子も「こうたろう」なんですか?

井上:そうです。

山本:あれ、でも2代目(?)のこうたろう君は団体さんにいたときから「こうたろう」という名前でしたよね?

井上:はい。こうたろうなんです。

山本:それはもう運命的ですね。それも2代目を迎える決め手になったんですか?

井上:そうですね。OMUSUBIの募集ページには名前が書かれていなかったので知らずに応募して、団体の方に「こうたろうって名前です」と言われてびっくりでした。前も一人暮らしでコーギーを飼っていたので、団体の方にも信用してもらえたんだと思います。何よりその子が1年半くらい闘病生活を送って亡くなったので、最期までちゃんと見られるというところでも信用してもらえたのかなと思います。

元保護犬こうたろうくん

山本:先代のこうたろうくんはどんな病気だったんですか?

井上:9歳頃から脱毛があって、動物病院で「皮膚系の病気じゃないか」ということでいろいろ薬も試したりしたんですけど全然良くならなくて。10歳のときにようやく皮膚型リンパ腫ということがわかったんです。そこから1年半の闘病生活で、最後はボロボロでした。ちょっと触っても出血がすごくて、1日2回ガーゼ変えたりとか。

山本:一人暮らしで仕事と両立しながら介護されていたんですね。

井上:仕事に行っているときはほとんど家で寝ていたので大丈夫でした。抗がん剤を使っている間は腫瘍ができなかったんですが、副作用なのかすごい具合が悪くなってしまって。今までご飯を食べないなんてことなかったのに、初めて食べなくなって。本当につらそうだったので、「1日も長く」というより、なるべく今まで通りの生活が送れるほうを選びました。

元保護犬こうたろうくん
先代「こうたろう君」



保護されたときは「ガウガウコーギー」

山本:先代のこうたろう君が亡くなってから2代目を迎えるまではどれくらいの期間があったんですか?

井上:1カ月半くらいですね。お葬式に友人を呼んだらみんな来てくれて、「ペットロスになるから早く迎えたほうがいい」と言われて。コーギーを飼ってる子が「里親募集とかでもコーギーいますよ」って教えてくれたんです。それから每日のように「コーギー 里親」で検索して、この子を見つけたという感じです。

山本:そうだったんですね。2代目こうたろう君はどんな経緯で保護されたか聞いていますか?

井上:どこかのおうちに迷い込んだところを保護されたそうなんですが、すごい噛み犬だったらしくて。譲渡に出せないから殺処分になるところを保護団体の方が引き取ってくれたそうです。団体の方も最初は手が付けられない「ガウガウコーギー」だったと仰ってましたね。今のこの感じからは想像つかないですよね。

山本:吠えることも噛みつくこともなく。初めて会う僕の足元でまったり寝てるくらいですからね(笑)。

元保護犬こうたろうくん
ヘソ天で寝るこうたろう君

井上:唸ったとことか怒ったとこを一度も見たことないです。一度だけ、動物病院のケージをすごく嫌がって「歯を剥いて唸った」と先生から聞いたことがあるくらいです。家では大人しくケージに入りますし、私はそんな風に怒ったのを見たことがないので、何かトラウマなのかスイッチがあるみたいです。

でも全然良い子です。むしろ2代目のほうが良い子ですね。1代目は暴れん坊でした。私が初めて飼ったワンコだったので、いろいろなことをきちんと教えてあげられなかったんだと思います。だから、「2代目は保護団体さんのところでちゃんといろんなことを教わって、良い子になって来たんだな」って思います。

初日からリビングでゴロン

元保護犬こうたろうくん

山本:「保護犬を迎える」ということに不安はありませんでしたか?

井上:そんなに心配してなかったです。ネットの記事も参考に見ましたけど、苦労したというよりポジティブなお話の方が多かったのでそんなに不安はなかったです。保護団体の方もすごくちゃんとされていて。団体がある福島から千葉まで来てくださって、うちの飼育環境も見ていかれました。ただ、譲渡条件がいろいろ厳しくて。「本当に私が迎えられるのか」という不安はありました。

山本:子犬ではなく成犬から迎えることはどうでしたか?

私は大人のコーギーの方が好きで、子犬から飼いたいという考えもなかったので問題なかったです。子犬から飼うのは大変でしたね。もちろん、歯が生え変わったりとか小さいのがだんだん大きくなっていくのは楽しかったですよ。先代のこうたろうに教えてもらったことはいっぱいあります。犬と暮らすってこんなに楽しいんだって思いました。

山本:トライアルで初めて2代目こうたろう君と会ったときはどんな感じでしたか?

井上:先代よりも一回り大きくて、「でか!」って思いました(笑)。でも本当に大人しくて。ケージとかベッドとか先代のこうたろうが使っていたのをそのまま使っていてくれています。

山本:本当に良い子ですね。慣れてきて心が通ったなと思うタイミングはありましたか?

井上:最初からとってもフレンドリーで、よそよそしいみたいなのはなかったです。ピトッてくっついてくるし。来た日からニコニコして普通にリビングでゴロンってくつろいでいました。サッカーボールのぬいぐるみで遊んでいて、全然不安はなかったです。

元保護犬こうたろうくん
初日から遊ぶ2代目こうたろう君

寝るときは自分のベッドで寝るんですけど、私がソファーに座ったり床に座ったりしてテレビを見ていたりすると、すぐほっぺをくっつけてくるんです。それで寝てますね。

母も大喜びでした。先代が亡くなったときは母の落ち込みようがすごかったので。

元保護犬こうたろうくん


保護犬かどうかより、出会いを大切に

山本:お散歩はどうされてますか?

井上:1日2回で、朝と夜ですね。普段は30分ずつぐらいなんですけど、休みの日はここから歩いて30分くらいの浜まで行って、公園で遊んで帰ってきます。

元保護犬こうたろうくん
後ろ姿が「イーブイ」に似てると子どもたちに大人気

山本:お散歩されているときに保護犬について聞かれることありますか?

井上:けっこうありますね。マンションでエレベーターに乗ってると「大人しいわね」って言われるので、「保護犬だったんですよ」って言うと「そうなの! (そういう出会いがあって)良かったわね」って皆さん言ってくださいます。

山本:保護犬を迎えることを検討されている方にどんなことを伝えたいですか?

井上:ワンコを飼ったことがある方で保護犬を検討されている方にはオススメします。ワンコを飼ったことがない方で保護犬を検討されている方には、保護犬かどうかではなく「犬を飼うこと」の責任をしっかり考えてほしいです。

私はこうたろうしか考えられなかったので、縁だと思ってます。保護犬かどうかより、出会いがあればいいんじゃないかなと。ただ、「私は保護犬を迎えて良かった」と伝えたいですね。

山本:ありがとうございました。