猫はなぜダンボールをかじるの?理由や危険性などを紹介
ダンボールに入って遊ぶだけではなく、噛みついてボロボロにしてしまうという猫もいるでしょう。決しておいしくはなさそうなダンボールを、猫はなぜかんでしまうのでしょうか。今回は、猫がダンボールをかじる理由やその危険性などを紹介します。
目次 [開く]
猫はダンボールが好き

多くの猫は、ダンボールが大好きです。ダンボールには、猫を惹きつけてやまない魅力がいっぱいあるのです。
狭くて暗い場所が安心できる
猫の祖先はリビアヤマネコという野生の猫で、大きさや毛色などの外見が、日本でもよく見かけるキジトラ猫にそっくりです。リビアヤマネコは狩りをして暮らす肉食獣ですが、体が小さいので大型の肉食獣のような攻撃力はなく、待ち伏せ型の狩りをします。獲物を待ち伏せする際には、獲物に見つからないように狭く暗い場所に身を潜めます。暗く狭い場所を好むのは習性なのです。
さらにリビアヤマネコは、肉食獣ではありますが自らが捕食される側になってしまうことも珍しくありません。そのため、敵に見つからないように暗く狭い場所に身を隠していることで安心できるのです。
これらの習性は、人間と暮らすようになったイエネコたちも強く引き継いでおり、狩猟の本能や安心できる場所を求める気持ちから、狭くて暗い場所にいることを好みます。
ダンボールは、まさに狭くて暗い場所ですね。猫の様子を見ていると、自分の体のサイズに合った大きさのダンボール、もしくは「それはちょっと無理なんじゃないの?」というほど小さなダンボールに入ることを好む傾向があります。
好奇心
猫は臆病な性格なのですが、反対に好奇心旺盛な一面もあります。目新しいものや嗅いだことがない匂いに敏感であり、だからこそ配達されてきたばかりの新しいダンボールには興味津々です。猫が好きなダンボールも、しばらく部屋の中に置いておくと興味が薄れたりするものですが、新しいダンボールが来たとたんに興味が湧いて、匂いを嗅いだり、中に入ってみたりして大いに楽しみます。
暖かい
猫は砂漠出身なので暖かい場所が好きです。少しでも暖かい場所を探すのが得意ですね。ダンボール箱は層になっていて、空気が入る隙間があるので断熱効果があり、暖かく感じます。そのため、猫はダンボール箱の中に入ってまったりしたくなるのです。爪とぎができる
猫は毎日、何回も爪とぎをします。爪の手入れをするという理由もありますが、気分転換であったり、ちょっとしたストレス解消であったりしますし、楽しいときなども爪とぎをすることがあります。ダンボールは爪とぎをすることができるという点も、猫がダンボールを大好きなポイントの1つです。ほどよくボロボロになったダンボールは爪とぎがしやすく、猫のお気に入りになることもありますね。
猫がダンボールをかじる理由

ダンボールに入ってみたり爪とぎをしてみたりするだけではなく、ダンボールをかじってしまう猫もいます。決しておいしくはないダンボールを、猫はなぜかじってしまうのでしょうか。
狩猟本能
猫は、現在では人間と一緒に暮らし、ちゃんとご飯を与えてもらっているので自分で狩りをする必要はありません。しかし狩猟本能は強く残っています。そのため、何かをかじったりちぎったりしたくなってしまうことがあります。肉食獣である猫の牙は鋭いので、丈夫なダンボール箱であっても牙がめり込んでしまいます。つまり、噛みつく、かじるという充実感が味わえる素材となっているのです。
筆者の家にもダンボールをかじってしまう猫が数匹いるのですが、その子たちの様子を見ていると、ダンボールにかじりつき、ちぎっては投げ、ちぎっては投げという様子が伺えます。
この、「ちぎっては投げ」をする様子は鳥の羽をむしる行為と同じであるという意見もあります。ダンボールをかじることによって、猫は狩猟本能が満たされているのかもしれませんね。
歯がかゆい
乳歯が生え始めてから永久歯に生え変わるまでの生後2~5カ月くらいまでは、猫は歯がかゆくてムズムズしてしまい、何かに噛みつきたくなってしまうといわれています。筆者は保護活動をしているので毎年子猫の面倒を見ていますが、実際にその頃の子猫たちは牙や歯が生えてきて、いろいろなものに噛みつくことが多くなります。
歯がムズムズするからという理由のほかに、かみ付くことによって身の回りのものについて学習しているのだと筆者は思います。
ダンボールは程良い硬さであり、噛みごたえがある素材ですね。そのため、余計ダンボールにかじりつきたくなってしまうのかもしれません。
ストレス解消
猫は環境の変化やストレスに弱い動物であり、ストレスを感じると代替え行為をして気持ちを落ち着かせようとすることがあります。また猫は何か気に入らないことがあると、八つ当たりをすることもあります。人間もむしゃくしゃすると何かに当たりたくなったり、破壊衝動にかられてしまうことがありますね。それと同じように、猫もストレスを解消するためにダンボールをかじることがあるようです。
飼い主さんの注目を浴びたい
飼い主さんにこちらを見てもらいたいときに、ダンボールをかじって飼い主さんの気をひこうとすることがあります。過去の経験として、ダンボールをかじった際に飼い主さんが飛んできて「やめなさい」と言われたことがある猫は特に、「ダンボールをかじると飼い主が来てくれる」と理解してしまっている場合もあります。
猫はダンボールをかじっても大丈夫?

ダンボールに入ったり爪とぎをしたりするだけで、かじることはない猫もいますが、かじってしまう猫もいます。ダンボールをかじってしまう猫は、そのままかじらせておいても良いのでしょうか。
誤食の危険がある
ダンボールをかじるだけではなく、ちぎり取って更にはそれを飲み込んでしまうという猫もいます。猫は誤食をしやすい動物なので、ダンボールはかじらせないほうが良いでしょう。ダンボールを飲み込んでしまった後、吐いたりうんちと一緒に出したりしてうまく体内から排出できなかった場合、消化不良をおこしたり、腸閉塞などの病気になり回復手術をしなければならなくなったりすることもあります。またその状態を放置してしまうと、命に関わる危険すらあります。
筆者の愛猫は、ダンボールをかじり、ちぎっては投げ、ちぎっては投げをするので、飲み込んではいないようですが、それでも筆者はダンボールをかじり取って飲み込んでしまわないように後述するような工夫をしています。
猫にダンボールを誤食させないようにするには

では、猫にダンボールを食べさせないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
ダンボールを置かない
1番手っ取り早い方法は、ダンボールを置かないようにするということです。買い物や通販などでダンボール箱が家に届いたら、すぐに折りたたみ猫が入れない場所にゴミの日まで保管しておけば、猫にかじられる心配はありませんね。ガムテープで補強する
ダンボールをかじってしまう猫がいる場合には、ダンボールを置かないという方法が1番簡単ですが、それだと猫がダンボールをまったく楽しむことができなくなってしまいますね。ダンボールをかじって欲しくはないけれど、ダンボールに入ったり、爪とぎをしたりする遊びをさせてあげたいときには、ダンボールをガムテープで補強しましょう。
猫がダンボール箱をかじる場所は、へりやふたの部分です。ダンボールのへりやふたの部分を猫がかじったとしても、簡単にかじり取られないようにすれば良いのです。丈夫な布製のガムテープで補強しましょう。
硬いダンボールを猫に与える
ガムテープで補強したとしても、強度が弱く柔らかいダンボール箱は危険です。最近の通販のダンボール箱は薄くてヘナヘナしていて、猫にとってはかじりやすいですが、誤食の危険が高いです。硬くて丈夫なダンボール箱を選び、さらにガムテープで補強をしてから猫に遊んでもらうようにしましょう。噛んでも良いおもちゃを用意する
ダンボール箱を猫に与えない場合は、代わりに噛んでも良いおもちゃを用意してあげましょう。ダンボール箱を噛むということは、噛むことでストレスの発散をしたり、狩猟本能を満足させていたりするということなので、代わりに発散できるものを与えてあげるようにしてください。猫大好きダンボール、かじるなら要注意

ダンボールは猫にとって大好きなアイテムです。海外の大学の研究では、ダンボールを与えられた猫とそうでない猫を比べると、ダンボールを与えられた猫のほうがストレスが少ないという研究結果が出ているほどです。ダンボールで楽しむことは、猫の精神的にも良い効果があるということでしょう。
ただし猫がかじってしまうときは要注意です。いくら猫が楽しく遊んでいても、ダンボールを飲み込んでしまい、消化不良や腸閉塞になっては大変です。猫の様子を見ながら、ご紹介した対策を施すか、ダンボールは与えずに他のおもちゃで遊んであげるようにしましょう。