【トレーナー解説】愛犬と主従関係を築くのは間違い?犬との正しい関係性の作り方を解説
一昔前は、犬にしつけを行う上で「上下関係をわからせる」「飼い主をリーダーと認めさせる」と、主従関係を構築することを重要視されていましたが、犬と築く必要があるのは「信頼関係」です。信頼関係ができていないからこそ、飼い主の指示に従わなかったり、問題行動を起こしたりするのです。今回は、犬とのより良い関係の作り方について解説します。
犬と主従関係は必要ない
「主従関係が大切」といわれていたのは、犬がオオカミととても近縁であるために、オオカミの習性を犬に当てはめて考えられていたことが大きな要因です。
現在では研究が進み、犬には「リーダー論は正しいとは言えない」「上下関係という概念がない」ということが、わかってきました。
例えば、散歩中に飼い主より前に歩くことは「飼い主を下に見ているから」という理由ではなく「早く先に行きたい」という気持ちが先行しているからだと考えられます。
大切なのは主従関係ではなく信頼関係
犬を恐怖心や力でコントロールするのではなく、犬と飼い主さんの両方が楽しく継続できるトレーニングのほうが、より良い関係が築けます。
飼い主さんに意識してもらいたいことは、「コミュニケーションのとり方」や「どんな風に関係を築いていくか」という過程の部分と「家族内のルール」をしっかり決めることです。
例えば「一緒に寝たいからベッドOK」という飼い主さんや、反対に「毛が抜けるからベッドには乗せたくない」という飼い主さんもいます。それは、その飼い主さんがどこまでを許し、どこからをダメとするかであり、主従関係の考え方とは異なります。
もちろん、ベッドOKであっても飼い主さんの指示で降りるようにしつけることは必要です。
大切なのは、飼い主さんが「愛犬とどんな関係を築きたいか」ということと、そのためには「愛犬の性格やこれまでの経験を理解し、しつけの方法を考えてあげる」ということです。
犬と信頼関係の築き方
犬の気持ちを理解する
愛犬に信頼してもらうためには、愛犬の気持ちを理解しようとする姿勢が重要です。犬は言葉は話せませんが、ボディーランゲージで喜怒哀楽を伝えてくれています。犬のボディーランゲージを読み取ることで、愛犬と意思疎通できるようになりましょう。
一貫性を持って接する
犬は物事の前後を関連付けて学習しています。具体的には「おすわり」と言われて座ったらご褒美をもらえた、「おいで」と言われて飼い主さんの元へ行ったら褒めてもらえたなどが挙げられます。
それが急に「おすわり」ではなく「Shit」「座りなさい」など、いつもと異なるコマンドを出されると、犬は混乱し、さらに叱られることで自信を失います。
それによって今までできていたことができなくなることもあるため、愛犬と接するときは一貫性を持ちましょう。
愛犬との時間を楽しむ
犬は飼い主さんの感情に敏感な動物です。飼い主さんが楽しいと犬も楽しく、犬が楽しいと飼い主さんも楽しい、そんな時間を過ごしましょう。ノーズワークといった嗅覚を使ったルールのある遊びを行ったり、ドッグスポーツといった共通の目標を持つことも信頼関係を築く1つの手段です。
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信頼関係が築けているかチェック
首をかしげる
声をかけたとき、犬が首をかしげた場合、言葉を聞き取ろうとしたり、理解しようとしているサインです。飼い主さんの言葉に興味があるからこその行動といえます。
体の一部を飼い主にくっつける
弱点であるお尻や背中などをくっつけてくれる場合、また寝るときにあごを置いてくる場合なども信頼しているからこその行動です。体を隅々まで触らせてくれる
相手を信頼しているからこそ、嫌がることなく隅々まで触らせてくれます。特に敏感な足元や口周りは信頼度が試されるかもしれません。病気の早期発見にもつながるため、毎日スキンシップを取りましょう。
お腹を見せてくれる
弱点であるお腹を出して寝ている場合、とても安心してもらえている証拠です。飼い主から離れても落ち着いている
群れで生活していた犬は本来、独りに不安を覚える動物です。しかし、飼い主さんが離れても落ち着いていられる犬は、正しい信頼関係が築けているといえるでしょう。犬が言うことを聞かない理由
信頼関係が築けていない
信頼関係が築けていないと、飼い主の言葉飼い主の指示に従わなかったり、問題行動を起こしたりします。最悪の場合、噛みつかれることも起こりえます。
指示に一貫性がない
教えていない指示(コマンド)を伝えても、犬は理解できません。人にとっては同じような言葉であっても、犬は理解できないことがほとんどです。例えば「おいで」。いつもは「おいで」と呼んでいるのに、来ないからと言い方を変えていませんか?
「来なさい」「帰るよ」「おいでってば」など、飼い主さんの元へ来るという行動を「おいで」という言葉で教えていた場合「他の言葉」や、同じ言葉であっても「音の高低」「言葉の強弱」が異なれば、犬は理解することができません。
同じ言葉で、同じ音でコマンドを出すように心がけましょう。
育った環境・学習によるもの
最も多いのが学習によるものです。これまでに「唸れば・噛めば自分の思い通りになる」「引っ張って歩けば早く自分の行きたいところへ行ける」というような成功経験をしていることが原因です。今まで「唸る」「噛む」「引っ張る」で成功体験という学習をしているからこそ、言うことを聞かない状態といえます。
この場合、根気がいりますが、これ以上成功体験をさせないよう、ルールを教えてあげましょう。
心に余裕がない状態
激しい緊張状態や、恐怖状態、興奮状態の場合には、飼い主さんの声であっても耳に入らないことがあります。もしくは、聞こえてはいるが行動に移せないということがあります。無視しようと思っているわけではないため、そのような状態から解放することから始めましょう。
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まとめ
大切なのは「主従関係」ではなく「信頼関係」を築くこと
正しいコマンドの出し方やトレーニング方法を学ぶことで、愛犬との関係は改善できる
愛犬の行動理由を考え、コミュニケーションをたくさんとってあげよう
愛犬が「言うことをきかない」からと心配したりイライラしたり、焦ったりする必要はありません。
愛犬の気持ちになって考え、向き合う時間を作り、少しずつ信頼関係を築いていってください。
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