愛犬と主従関係を築くのは間違い? 犬との関係性についての考え方やしつけ方法について解説

愛犬と主従関係を築くのは間違い? 犬との関係性についての考え方やしつけ方法について解説

飼い主さんの中には、「主従関係が大切」と聞いたことがある人も多いと思います。散歩の際の歩く位置や、犬が上に乗るかどうかなどで、犬と飼い主さんの上下関係がわかるという判断基準もありますが、一概にそう判断することにはリスクが伴います。犬と築く必要があるのは「信頼関係」です。信頼関係ができていないからこそ、飼い主の指示に従わなかったり、問題行動を起こしたりするのです。今回は、犬との主従関係についてや、よりよい関係の作り方について解説します。

犬との主従関係とは

人と犬

「主従関係が大切」、そういわれていたのは、犬がオオカミととても近縁であるために、オオカミの習性を犬に当てはめて考えられていたことが大きな要因です。「犬のリーダーになりなさい」といったリーダー論も一昔前はありましたが、現在では研究が進み「犬においてリーダー論は正しいとは言えない」ということが、研究者やトレーナーをはじめ、一般の飼い主さんも知っている知識として広まってきました。

「主従関係」や「リーダー」という考えが一般的だったころは、以下のようなことがある場合は、主従関係が築けていないなどといわれていました。

  • 散歩中に飼い主より前を歩く
  • ソファーやベッドなどに乗って降りない・唸る
  • 飼い主へのマウンティング
  • 触ろうとすると唸る・噛む
  • おもちゃを離さない
  • 犬がご飯を食べているときに近づくと唸る・噛む
  • 指示を無視する

しかし、これらは本当に飼い主を下に見ているからする行動なのでしょうか?



犬が言うことを聞かないのはナメられているから?

下を見下ろす犬

犬が言うことを聞かないのは「ナメられているからかも……」と心配するのは少し早いです。犬が言うことを聞かない理由はいくつかありますが、大きく分けると「しつけの問題」「犬が育った環境」「犬の性格」が大きく関係しています。


犬が理解できていない指示の出し方をしている

教えていない指示(コマンド)を伝えても、犬は理解できません。また、人にとっては同じような言葉であっても、犬は理解できないことがほとんどです。

例えば、「おいで」。いつもは「おいで」と呼んでいるのに、来ないからと言い方を変えていませんか? 「来なさい」「帰るよ」「おいでってば」など…。飼い主さんの元へ来るという行動を「おいで」という言葉で教えていた場合、「他の言葉」や、同じ言葉であっても「音の高低」「言葉の強弱」が違えば犬は理解することができません。

心の余裕がない

激しい緊張状態や、恐怖状態、興奮状態の場合には、飼い主さんの声であっても耳に入らないことがあります。もしくは、聞こえてはいるが行動に移せないということがあります。そのため、無視しようと思っているわけではないのです。

育った環境・学習によるもの

最も多いのが学習によるものです。これまでに「唸れば・噛めば自分の思い通りになる」「引っ張って歩けば早く自分の行きたいところへ行ける」というような成功経験をしていれば、それは学習によって出る攻撃行動や問題行動です。

また元保護犬などで、これまでどんな生活をしていたかがわからない場合も、過去に原因があることがあります。「ご飯は早く食べないと他の犬に食べられてしまう」という子は食べ物に対して、また「取られるかもしれない」という状況において、守るために攻撃行動に出てしまうことがあります。

触られるのが嫌いな場合は、「触られることにトラウマを抱えている」という場合と、反対に「触られる経験が全くなく、知らないからこそ怖い」という場合があります。


犬とは主従関係であるべき?

ベッドで寝る犬

これまで犬が指示に従わない場合には、ホールドスティールやマズルコントロールというような、犬を拘束し、力を示してで従うようするという方法がありました。

しかし、これでは本当の意味での良い関係は築けません。トレーニング方法が「強制訓練(陰性強化)」から「褒めるしつけ(陽性強化)」へシフトしてきたことにも、そういった意味が含まれます。

犬を恐怖心や力でコントロールするのではなく、犬と飼い主さんの両方が楽しく継続できるトレーニングのほうが、より良い関係が築けます。人同士だって、失敗したときに叩いたり、怒鳴ったりするような、絶対的な力で支配してくる相手よりも、できたことを自分のことのように喜んで褒めてくれる相手のほうが一緒にいたいと思いますよね。

飼い主さんに意識してもらいたいことは、「コミュニケーションのとり方」や「どんな風に関係を築いていくか」という過程の部分と、「家族内のルール」をしっかり決めることです。たとえば、「一緒に寝たいからベッドOK」という飼い主さんや、反対に「毛が抜けるからベッドには乗せたくない」という飼い主さんもいます。それは、その飼い主さんがどこまでを許し、どこからをダメとするかであり、主従関係の考え方とは違いますよね。

もちろん、ベッドOKであっても飼い主さんの指示で降りるようにしつけることは必要です。大切なのは、飼い主さん自身が愛犬とどんな関係を築きたいかということと、そのためには愛犬の性格やこれまでの経験を理解し、しつけの方法を考えてあげるということです。


まとめ

飼い主に抱っこされるラブラドールレトリーバー

大切なのは「主従関係」ではなく、「信頼関係」を築くこと
正しいコマンドの出し方やトレーニング方法を学ぶことで、愛犬との関係は改善できる
愛犬の行動理由を考え、コミュニケーションをたくさんとってあげよう

ペットが家族同然に考えられるようになり、しつけ方・トレーニング方法も変わってきました。そのため、「言うことをきかない」と心配したりイライラしたり、焦ったりする必要はありません。愛犬の気持ちになって考え、向き合う時間を作り、少しずつ信頼関係を築いていってあげてください。

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