ペットフード安全法とは? 基準や規格、飼い主の約6割が「知らない」と回答

ペットフード安全法とは? 基準や規格、飼い主の約6割が「知らない」と回答

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ペットフード安全法とは、農林水産大臣および環境大臣が定めた「成分規格」「製造方法」に合わない犬・猫用ペットフードの製造、輸入、販売を禁止する法律です。犬や猫の飼い主の58%が「ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」を知らないことが、マーケティングリサーチ会社のシタシオンジャパンが行ったアンケート調査でわかりました。今回はペットフード安全法とアンケート調査結果を紹介します。

ペットフード安全法について

ドッグフード

2007年にアメリカで有害物質(メラミン)が混入したペットフードによって犬や猫に深刻な健康被害が起きたことを受け、農林水産省と環境省が共同で法整備を進め、2009年に施行された法律です。

同様の被害が国内で起きぬよう、ペットの健康被害を防止する必要が認められたときに、対象となるペットフードの廃棄・回収等の命令を国が行うことを定めています。

このような場合に備え、国はあらかじめ事業者の把握ができるよう、ペットフードの製造業者と輸入業者に対し、届け出の義務を課しています。


成分規格

ペットフード安全法成分規格

添加物や農薬に含まれる成分の含有量を定める量以上のペットフードを禁じています。輸入商品の場合、日本で禁止されている農薬が使われている場合もあり、この規格によってペットフードの安全が守られています。

製造方法基準

ペットフード安全法製造方法基準

原材料や加工する際の手順について、規定が設けられています。

表示基準

ペトことフーズの表示


ペットフードの名称、賞味期限、原材料名、原産国名、事業者名および住所をパッケージに日本語で表示しなければならないことが定められています。



アンケートから見るペットフードの安全

飼い主の約7割が「安心・安全」を重視

飼い主がペットフードを選ぶ際に最も重視するもの

シタシオンジャパンの調査では、飼い主がペットフードを選ぶ際に最も重視するのは「安心・安全」(71.1%)で、2番目に回答が多かった「値段」(41.6%)を大きく上回りました(複数回答)。

フードの安心・安全の重要性は理解しつつも、ペットフード安全法については57.8%の飼い主がまったく知らないと回答してることから、安心・安全への意識は高くても、知識を得る機会がないことがわかります。


「安心・安全」の情報源は獣医師

ペットフードの安心・安全を判断する情報源

ペットフードの安心・安全を判断する情報源としては「獣医師」(44.9%)、「ペットフードメーカーのホームページ」(42.4%)という回答が多く、3番目以降の「ペットを飼っている友人・知人」(27.0%)、「口コミサイト・比較サイトなどWebサイト」(25.6%)を大きく上回りました(複数回答)。

シタシオンジャパンの調査を受け、東京大学大学院農学生命科学研究科の日下部守昭特任教授は次のようにコメントしています。
日下部守昭特任教授コメント「ペットにとって毎日の主食となるペットフードは、ペットの健康に大きな影響を与えます。

したがって、飼い主さんが行う日常的なペットの健康管理で最も大切なことは、適切な栄養バランスを持ち、安全なペットフードを与えることに尽きます。

ペットの安全への意識は高く、飼い主さんは、獣医師やペットフードメーカーのホームページなどから信頼できる情報を得て、フードを購入してペットに与えているようです。

結果として、ペットフードメーカーは安全で良質なフード製品を法律に基づいて提供することはもちろん、消費者に対し、ペットフード原材料の安全検査方法などの安心・安全に関する情報をきちんと開示していくことが引き続き求められるでしょう。

また、ペットフードが多様化する中で、獣医師は専門家としてペットの健康を左右するペットフードの情報を飼い主さんに中立の立場で提供することが、今後ますます求められていくと思います。

シタシオンジャパンの調査は、2016年6月10日から6月11日にインターネットで全国の20代から70代以上の犬・猫の飼い主1236を対象に行われました。




まとめ

外を見る犬と猫

ペットフード安全法は過去の事件をベースに策定された法律
ペットフード事業者は「成分規格」「製造方法基準」「表示基準」などを満たす必要がある
多くの飼い主がフードの安心・安全性を重要視している
ペットフード安全法を知らない飼い主は約6割と知識不足
獣医師などから情報を得て、ペットの食の安全を守りましょう

最新の知見に基づいて、基準・規格は見直しが行われています。ペットフード安全法のおかげで、国内で販売されるペットフードの安全性は担保されており、犬や猫の健康が守られています。

引用文献



第2稿:2020年6月4日 公開
初稿:2016年9月15日 公開