犬に炭水化物は必要?不要?あげていい食材やアレルギーの考え方を解説【獣医師監修】

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炭水化物は犬にとっても三大栄養素の一つとして重要な存在です。「オオカミは肉食だったから、犬の食事に炭水化物は不要。肉だけ食べていればいい」と考える人もいますが、それは大きな間違いです。今回は炭水化物の必要性やあげていい食材について、栄養学の権威であるニック獣医師監修のもとペット栄養管理士が解説します。

犬に炭水化物は必要?不要?

さつまいも

犬の食事に炭水化物は必要です。犬はもともと肉食で、炭水化物をほとんど摂らずに暮らしていました。しかし人と共に暮らすようになると、環境・食生活の変化が遺伝子レベルで犬を進化させ、今では炭水化物を無理なく消化・吸収できるようになりました。

炭水化物を摂ることのメリット

人との生活を始めた犬は、炭水化物を仕方なく摂り始めたのかもしれません。しかし、新たな食生活は、犬にとってメリットが大きいものでした。具体的には、「効率的なエネルギーの生成」「腎臓の負担軽減」「食物繊維の有効活用」が挙げられます。

メリット1:効率的なエネルギーの生成

もともと犬は肉、つまりタンパク質からエネルギーを生成していました。食べた肉は胃酸や膵液によってアミノ酸に分解され、小腸から肝臓を通って全身で利用されます。脳の栄養源はブドウ糖ですが、肉食動物はそれをアミノ酸から作りだすこともできます。

それなら、「やっぱり犬も肉だけで問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、「肉だけ食べる」ではなく、「炭水化物も摂る」というのがポイントです。犬は人間との生活の中で狩りの機会が減り、その代わりに人間の残飯が簡単に手に入るようになりました。

同じ栄養でも、脂肪やタンパク質より炭水化物のほうが効率的にエネルギーを作ることができます。炭水化物を摂ることは、人間と生活する犬にとって効率的にエネルギーを生み出す大きなメリットになったのです。

メリット2:腎臓の負担軽減

タンパク質がアミノ酸に分解される際、有害なアンモニアが出ます。このアンモニアは肝臓で尿素に変換され、腎臓でろ過されておしっことして排泄されます。

健康な子であればタンパク質の量を気にする必要はありませんが、腎臓病の場合は注意が必要です。腎臓の負担を減らすため、タンパク質を制限する食事療法を行います。しかし、タンパク質を減らすとエネルギーの生成量が減ってしまいます。

そこで、変わりのエネルギーを炭水化物や脂肪からカロリーを補う必要があります。犬は炭水化物を摂ることで、腎臓の負担を減らしながらエネルギーを得ることができるようになったのです。

タンパク質の分解・代謝過程
胃液のペプシンがタンパク質を大きいペプチドに分解
十二指腸 膵液のトリプシンが大きいペプチドを小さいペプチドに分解
小腸 小腸のペプチダーゼがペプチドをアミノ酸に分解
肝臓 アミノ酸をタンパク質に変換。アンモニアを尿素に変換
腎臓 尿素をろ過して排泄

メリット3:食物繊維の有効活用

炭水化物はエネルギーになる「糖質」と、エネルギーにならない「食物繊維」の二つに分けることができます。エネルギーにならない食物繊維は長らく役に立たないものと考えられていましたが、近年の研究で健康に欠かせないものであることがわかってきました。

炭水化物 糖質 単糖類 ブドウ糖、果糖など
二糖類 ショ糖(砂糖)、麦芽糖、乳糖など
多糖類 デンプン、オリゴ糖など
食物繊維 水溶性 難消化性デキストリンなど
不溶性 セルロースなど

食物繊維の役割の一つは、腸内細菌の餌になることです。腸内細菌も近年の研究により肥満や糖尿病、癌、腸疾患などさまざまな病気に関連があることがわかってきました。腸内環境を良くすることでアレルギーの予防・治療につながることもわかっています。

もう一つの役割として、便秘の解消があります。水溶性の食物繊維はゲル状になってうんちを柔らかくしたり、不溶性の食物繊維はうんちのかさを増やして腸の動きを良くしたりしてくれます。人でも同じですから、意識して摂っている方も多いと思います。


タンパク質ばかり摂ることのデメリット

肉

実はタンパク質ばかり摂るのはデメリットがあることも分かってきました。高タンパクフードは犬の攻撃性を高める可能性があるのです。体内のアミノ酸濃度が高くなると、セロトニンが少なくなり、イライラ感につながることがわかっています(※)

また、炭水化物を摂らないと先祖たちがしていたように、アミノ酸からエネルギーを作らなければいけません。それは炭水化物が得意な仕事を奪って、皮膚や被毛、内蔵、筋肉、骨、血液などを作る重要な仕事を後回しにするということを意味します。

現代の犬は雑食です。体に良いからと言って何かを摂り過ぎれば逆効果になる場合もあります。何事もバランスが重要。バランスの良い食事をすることで、それぞれの栄養が体の中で効率的に働き、健康を維持することができます。

※参照:水越美奈『食と問題行動』(ペット栄養学会誌)


犬は炭水化物の消化が苦手という誤解

パン

グレインフリーのドッグフードが良いとする根拠として、犬は炭水化物を消化するのが苦手と言われることがあります。残念ながらそれは間違っていますし、グレインフリーのドッグフードにはメリットがありません(アレルギーの子には有効です)。

ただし人間と犬だけで比べれば、犬のほうが炭水化物を消化するのが苦手というのは正解です。なぜなら人間が唾液にデンプンの分解酵素であるアミラーゼを含むのに対して、犬は含まないからです。デンプンの分解・代謝過程を比べてみましょう。

デンプンの分解・代謝過程
人間
唾液のアミラーゼがデンプンを麦芽糖(マルトース)に分解 デンプンのまま通過
十二指腸 膵液のアミラーゼが残りのデンプンを麦芽糖に分解 膵液のアミラーゼがデンプンを麦芽糖に分解
小腸 小腸のマルターゼが麦芽糖をブドウ糖(グルコース)に分解。血液中(血糖)から全身を巡りエネルギーとして利用
肝臓・筋肉 血糖をグリコーゲンとして貯蔵。血糖が下がるとブドウ糖に戻し、エネルギーとして利用
脂肪組織 過剰になったブドウ糖を皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵。空腹(低血糖)が続くとエネルギーとして利用

人間と犬で違うのは唾液のアミラーゼの有無だけで、そこから先は同じです。もちろん消化する力は人間のほうが強いのですが、犬も肉食から雑食に進化する中でこの代謝過程を獲得していったのです。この遺伝子変化は科学的に証明されています(※)。

ちなみにグレインフリーのドッグフードにグレイン(穀物)は入っていませんが、ほとんどはサツマイモやカボチャ、豆類などの炭水化物を含みます。つまり、グレインフリーのドッグフードメーカーも、犬に炭水化物が必要ということは分かっているわけです。

※参照:Axelsson E, Ratnakumar A, Arendt ML, et al. 『The genomic signature of dog domestication reveals adaptation to a starch-rich diet.』 Nature 2013;495:360-364.


加熱することで消化性が高くなる

ご飯・お米

私たちは炭水化物源としてご飯を主食にしていますが、食べる時は必ず炊いてから食べますよね。なぜ生米を食べないのでしょうか? もちろん美味しくないからというのも理由かもしれませんが、消化に悪いというのが一番の理由です。

これは犬にとっても同じで、生米を漁った犬が下痢をしたというのはよくある話です。お米の主成分であるデンプンは水と熱を加えることで構造が崩れ、消化性が高まります。これをα化(あるふぁか)、もしくは糊化(こか)と言います。

ある研究では、デンプンがα化されているドライフードを食べた犬を調べたところ、小腸で100%消化されていたそうです。ちなみにPETOKOTO FOODSでも、ビーフとポークで炊いたお米を使っています。

※参照:『小動物の臨床栄養学 第5版』

炭水化物はアレルギーの原因になる?

もう一つグレインフリーのドッグフードが生んだ誤解の一つとして、「炭水化物(穀物)はアレルギーになりやすい」という誤解があります。だから「グレインフリーが良い」とつながるのですが、ドイツ・ミュンヘン大学の調査結果を見てみましょう(※)

食材のアレルギー報告数の違い

犬のアレルゲン食品として最も報告が多いのは牛肉で、乳製品、鶏肉と続きました。小麦は4番目、悪者にされがちなトウモロコシは7番目、米は11番目でした。つまり、多くの犬はグレインフリーのドッグフードを食べる必要性が無いのです。



犬が摂るべき炭水化物量

うどん

ある調査によると、エネルギーを特に必要とする妊娠したメス犬に炭水化物を含まない高タンパク・高脂肪の食事を与えたところ、エネルギーが不足して低血糖や子どもの減少などが見られたそうです。妊娠・授乳期は少なくとも23%の炭水化物が必要としています。

なお、一般的なドライフードは粒状に加工する際にデンプンを必要とするため、30〜60%の炭水化物が含まれています。ごはんを手作りする際も、同程度の炭水化物量を目安にするといいでしょう。

炭水化物量とともに、カロリー量も大切です。犬ごとに必要な量は異なりますが、PETOKOTO FOODSの「フード診断」(無料)で簡単に1日の最適カロリー量を計算できますので、ご活用ください。

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※参照:『小動物の臨床栄養学 第5版』

犬は炭水化物を食べると太る?

最近は人間の「糖質制限ダイエット」が広く知られるようになり、「炭水化物=太る」というイメージを持っている方も少なくないと思います。炭水化物は糖質と食物繊維に分けられますので、「炭水化物=太る」というのは半分間違いです。

食物繊維は血糖値の上昇を抑え、便通を良くする効果があります。ですから、食物繊維はダイエットに有効な成分です。一方、糖質は血糖値を上昇させ、下げるために分泌されたインスリンによって脂肪へと変わっていきます。

糖質はエネルギー源として重要な栄養ですが、摂りすぎれば太ります。ダイエットが必要な子は糖質の多いおやつに気をつけましょう。トッピングやおやつを与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内のカロリーになるようにしてください。

犬にあげて良い・悪い炭水化物源

手作りごはんやトッピング、おやつを与える際にオススメ・オススメしない炭水化物源を紹介します。

犬にあげて良い食材

食材名
炭水化物量
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栗
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パンパン
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ボーロボーロ
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うどんうどん
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そばそば
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※各100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)

犬にあげてはいけない食材

食材名
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まとめ


犬は炭水化物で効率的にエネルギーを得る
「タンパク質だけ食べていればいい」は間違い
「炭水化物はアレルギーになりやすい」も間違い
1日の最適カロリー量を把握して適量を与える
三大栄養素の一つ、炭水化物は犬にとっても欠かせない栄養素です。犬は人と暮らす中で、炭水化物から効率的にエネルギーを生み出す術を身につけました。今ではタンパク質より炭水化物を好む犬もいるようです。

ただし、糖質の摂り過ぎは肥満や糖尿病のもとになりますし、食物繊維の摂り過ぎはお腹の調子を悪くすることもあります。「何かだけを食べる/食べ続ける」ということは避け、栄養バランスや1日の最適カロリー量に注意するようにしてください。



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この記事を監修している専門家

ニック・ケイブ(Nick Cave)獣医師

ニュージーランド・マッセー大学獣医学部准教授、米国獣医栄養学専門医

ニック ケイブ先生
マッセー大学獣医学部小動物内科にて一般診療に従事した後、2000年に獣医学修士を取得(卒業論文は『食物アレルギーの犬と猫の栄養管理』)。2004年よりカリフォルニア大学デービス校で栄養学と免疫学の博士号を取得し、小動物学臨床栄養の研修を修了。同年、米国獣医師栄養学会より米国獣医栄養学専門医に認定。2005年より小動物医学および栄養学の准教授、獣医栄養学の専門医としてマッセー大学に戻る。家族、2匹の犬、猫、そしてヤモリと暮らしている。