猫の置き餌が良くない3つの理由とやめる方法・注意点【栄養管理士が解説】
猫の置き餌が良くない理由として、「不衛生」「酸化した油が病気の原因になる」「肥満など病気に気づくのが遅れてしまう」といったデメリットが挙げられます。本当はやめたいと思っている飼い主さんも少なくないはず。置き餌のやめ方や正しいごはんの与え方について、ペット栄養管理士が解説します。
猫の置き餌が良くない3つの理由
置き餌(おきえ、おきえさ)とは、ごはんを出したまま猫の好きなタイミングで食べられるようにしておく食事スタイルのことで、「不断給餌」(ふだんきゅうじ)ゃ「自由採食法」とも呼びます。置き餌が良くない理由として、主に以下の理由が挙げられます。
- 不衛生
- 酸化した油が病気の原因になる
- 肥満など病気に気づくのが遅れてしまう
1. 不衛生
ごはん皿に入れたキャットフードは時間がたつごとに腐敗していきます。ウェットフードに比べればドライフードのほうが劣化しにくいものの、だからと言って「ドライフードなら置きっぱなしで大丈夫」とはなりません。どんなキャットフードでもいずれ細菌やカビ(真菌)が繁殖したり虫がたかったりしますので、置きっぱなしは不衛生で体に良くありません。2. 酸化した油が病気の原因になる
酸化した油は猫の体に害となります。被毛に艶が無くなったり、皮膚の状態が悪くなったり、涙やけや下痢、がんの原因になったりすることもあります。添加物として酸化防止剤が入っていたとしても、置き餌をして空気にさらされたキャットフードの油は、どんどん酸化していきます。3. 肥満など病気に気づくのが遅れてしまう
置き餌で「ごはん皿が空になっていたら追加する」といった与え方をしていると、多かったり少なかったり適切な食事量を与えられていない可能性が出てきます。あればあるだけ食べてしまう子なら、与え過ぎで肥満になってしまうでしょう。運良く適正体重が維持できていたとしても、「食事量を把握できていない」という問題は変わりません。食事量は健康のバロメーターになります。猫は敵に弱みを見せないよう体の不調を隠す習性がありますので、飼い主さんが「あれ、全然食べてないぞ?」と気づく頃には隠せないほど重症化しているかもしれません。早く気づいてあげるためには、食事量をしっかり把握して、ちょっとした変化に気づくことが大切です。
他頭飼いの場合も個々の食事量の変化に気づくのが難しくなりますし、誰か療法食が必要になった時、キャットフードを分けるのに苦労することになります。猫同士の力関係で「食べ過ぎの猫」「食べられない猫」が出てしまうこともあるでしょう。普段から1匹1匹に適量を食べさせることを習慣化しておけば、いざという時に困らず済みます。
猫の置き餌をやめる方法
置き餌とは別に、決められた時間に決められた量を食べさせることを「定時給餌法」と呼びます。置き餌をやめて定時給餌法に変えたいと思っている飼い主さんは少なくないでしょう。
猫の置き餌をやめる場合の方法について紹介します。猫の置き餌をやめる際には、猫の健康とストレスを考慮しながら、段階的に進めるようにしましょう。
1. 定時の食事スケジュールを設定する
まずは、1日に与える餌の回数と時間を決めましょう。一般的には朝と夕方の2回が推奨されますが、子猫や活動的な猫の場合は3〜4回に分けることも有効です。2. 餌の量を少しずつ減らす
置き餌をすぐにやめるのではなく、少しずつ餌の量を減らしていくがポイントです。急な変化は猫にストレスを与えるため、1日の総量を決めた上で、各回の食事量を徐々に調整していきましょう。3. 餌の時間を守る
決まった時間に餌を与えることで、猫はその時間に食べる習慣を身につけます。新しいスケジュールに慣れるまで数日から数週間かかることがありますが、忍耐強く続けることが大切です。もし、仕事や用事で毎日決まった時間に食事を与えることが難しい場合は、自動給餌器を使用するのもおすすめ。自動給餌器を使用すれば、決まった時間に決まった量の食事を与えることができます。旅行で猫ちゃんがお留守番をする場合にも活躍します。
4. 適切なタイミングでおやつを与える
食事の合間におやつを少量与えることで、猫が空腹を感じにくくなります。しかし、おやつの量には注意し、全体の食事量に影響しないように調整しましょう。5. 猫の様子を観察する
新しい食事スタイルに移行する際は、猫の体重や行動を注意深く観察し、必要に応じて食事量の調整を行うようにしましょう。6. 遊びや運動で食欲を刺激する
食事の前に遊びや運動を取り入れることで、猫の食欲が自然に高まり、食事時間を楽しみにするようになります。7. ペトコト専属の獣医師によるオンライン相談サービスを利用する
もし、置き餌のやめ方に迷ったり、猫が新しい食習慣に適応できない場合は、獣医師やペット専門家に相談する方法もあります。ペトコトではペトコト専属の獣医師によるオンライン相談サービスを行っています。
家にいながら気軽に獣医師に相談することができるサービスで、ビデオ通話を通じて獣医の適切なアドバイスを受けることができます。また、予防や未病の観点から、飼育環境や病院に行くべきかどうかに関する相談も、かかりつけ医だけではなく、セカンドオピニオンとして専門の獣医師に相談をすることができます。
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猫の置き餌をやめる際の注意点
猫の置き餌をやめる場合、気をつけておきたい点や、知っておきたい知識もあります。
猫はどんな食性の動物なのか
愛猫に合った適切なキャットフードの与え方にするためには、まず猫の食性を知ることが重要です。猫は「ちょこちょこ食べ」を繰り返す、少量頻回の食事をする動物です。野生ではウサギやネズミなどの小動物を捕まえて食べますが1匹が約30kcalほどですので、1日に必要なカロリーを摂るために10〜20回ほど狩りをして食べています。その食性が本能として残っているため、家猫も少量頻回の傾向があるのです。
しかし家猫も野生と同じように食事回数を10〜20回にするのが最適なのかというと、必ずしもそうとは限りません。家の外と中では食事(獲物)にありつける可能性も、食べ物も、その栄養価も大きく異なるからです。本能的には少量頻回でも、家猫は環境に合わせた食事をするようになります。
※参照:「小動物の臨床栄養学 第5版」
最適な食事回数は猫ごとに異なる
では食事回数は何回がいいのかというと、その答えは「猫ごとに異なる」です。1日に10回、本能に忠実な食事を好む猫もいるれば、1日に1回でもお腹いっぱいになれば満足という猫もいます。そこは各ご家庭の生活スタイルと猫の性格に合わせて決めるのがいいでしょう。ただし、以下の2点に注意してください。- 最適カロリー量を過不足なく与える
- 子猫は低血糖に注意する
最適カロリー量を過不足なく与える
猫の食事で大事なのは「何回食べたか」ではなく、「何をどれだけ食べたか」です。回数が多くても量が少なければ痩せてしまい、多ければ太ってしまいます。たくさん食べても質が悪ければ健康な体はつくれません。1日の最適カロリー量が新鮮なごはん、質の良いごはんから過不足なく摂れているか確認しましょう。子猫は低血糖に注意する
成猫は健康である限り、ごはんの回数が1日1回でも1日の必要量をしっかり食べるなら問題ありません(※)。しかし、子猫はエネルギーを蓄える機能が十分にできていないため、食事の間隔が空いてしまうと「低血糖」という危険な状態になってしまいます。生まれたばかりであれば猫用ミルクを3時間ごと、離乳して生後6カ月以内であればキャットフードを1日3回以上食べさせるようにしてください。※参照:「How Often Should You Feed Your Cat?」(Cornell University College of Veterinary Medicine)
まとめ
猫の置き餌は良くない理由がある
酸化した油が病気の原因になることも
最適な食事回数は猫ごとに異なる
気になることがあれば専門家に聞いてみよう!
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