【獣医師解説】猫の標準体重は?月齢別の標準体重や猫の体重の測り方などを解説

【獣医師解説】猫の標準体重は?月齢別の標準体重や猫の体重の測り方などを解説

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痩せすぎな猫や肥満の猫は、標準体型の猫より病気を引き起こしやすくなりますので、愛猫の標準体重を知ることが大事です。今回は、気になる猫の平均体重から、子猫の体重、家での猫の体重の測り方、さらに肥満によってかかりやすくなる病気、逆に体重が増えない、または減少する場合に考えられる病気など、猫の体重にまつわることについて獣医師の真下がお話していきたいと思います。

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猫の平均体重

本の上に乗る猫
猫は、犬種によって体格の異なる犬と違って、種としての大きさにはそれほど幅がありません。実際、一般的な猫の平均体重は3.2~4.5kgと、比較的狭い範囲におさまっています。

もちろん、猫種や性別、個々の体格によって個体差はあります。同じ猫種でも、メスよりオスの方ががっしり体型で、体格も大きいことが多いですし、大型といわれる猫種(ラグドール、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなど)は5kg~7kgが平均と考えられています。

猫の平均体重例
サイズ 猫種 平均体重 備考
小型猫 シンガプーラ、マンチカン、ミヌエット、リコイ 約3kg -
小型〜中型猫 アメリカンカール、アビシニアン、ジャパニーズボブテイル、シャム猫、コラット、トンキニーズ、ラパーマ、ロシアンブルー 約3.5kg オス・メスで体重の差あり
中型猫 エジプシャンマウ、スフィンクス猫、バーミーズ、ボンベイ猫 約4kg -
中型〜大型猫 アメリカンショートヘア、エキゾチックショートヘア、オシキャット、クリリアンボブテイル、シャルトリュー、スコティッシュフォールド、セルカークレックス、ソマリ、バーマン、ヒマラヤン、ペルシャ、ベンガル猫 約4.5kg オス・メスで体重の差あり
大型猫 サイベリアン、サバンナキャット、メインクーン、ラガマフィン、ラグドール、ノルウェージャンフォレストキャット、ブリティッシュショートヘア 約5kg -

猫の適正体重の基準

猫の適正体重の基準を測るBCS(ボディコンディションスコア)
平均体重はあくまでも目安です。猫それぞれの体格に合った適正体重であれば問題ありません。適正体重かどうか判断する一つの基準として、ボディコンデイションスコア(BCS)という評価方法があります。

動物では、人のように体重と身長から肥満度を割り出すことができないため、体の腹部(側面)及び背部(上面)からの見た目と、くびれの状態や肋骨についた脂肪の厚みを手の感触で測って、栄養状態や体型を診断する指標です。

5段階評価と9段階評価の二種類がありますが、ご家庭では、5段階のほうがシンプルでわかりやすいかと思います。もし、触って判断しづらい場合は獣医師に相談しましょう。


その他、1~2歳頃の体重を適正体重と考える方法もあります。そして、適正体重よりも20%以上増えていれば、肥満と判断します。例えば、体重5kgがちょうどよい猫が6kgになると、肥満ということになります。

これだと、体格差を気にしなくて済みますが、例外があります。メインクーンなどの大型種は、12カ月で成猫になった後も、4~5歳くらいまでは体が成長し続けるので、これには当てはめられません。


おすすめの猫の体重計

小型ペットスケール ペットくん

猫の体重は人用の体重計でも測ることができますが、ペット用の体重計で測る方が楽な場合もあるでしょう。

「小型ペットスケール ペットくん」でペットをキャリーに入れたまま量る場合、「風袋」ボタンを押せば、その余分な重量を差し引いて計量できる優れもの。縦置き収納もOK。薄型設計なので10cm前後の隙間があれば楽々収納できます。

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猫の体重の測り方

野良猫
ご家庭で体重を正しく測るには、以下の2つの方法が簡単です。

  • 猫を抱いて一緒に体重計に乗る。その後、自分の体重を引く
  • 猫をキャリーバックに入れて、バックごと体重計に乗せる。その後、バックの重さを引く

愛猫の性格に合わせてやりやすい方法でトライしてみてください。ただし、子猫の場合、人間用の体重の目盛では測りにくいことも。そんなときは、犬猫用の体重計か、キッチンスケールを使いましょう。

動き回らないように、バスケットや、ステンレスボウル、小物用洗濯ネットに入れてから乗せるなど、工夫してみてください。

子猫の体重が減少・増えない場合に考えられる原因と改善方法

見つめる子猫

子猫は、出生時90~120gで生まれ、生後4週くらいまでは1日約10~13gずつ増えていきます。そして、生後1カ月で400~500g、3カ月で1~1.5kg、6カ月で2~3kgと増えていき、1歳でほぼ成猫の体重となります。

子猫のうちは、よく食べ、よく遊び、順調に体重が増えていくことが、健康に育っている証ですので、体重は重要なバロメーターです。万一、子猫の体重が思うように増えていかない場合は、原因を探らなくてはなりません。子猫の体重が増えない場合、その子の月齢によって考えられる原因が異なってきます。

1.哺乳期の子猫

十分母乳を飲めていないことが考えられます。以下のようなことがないかチェックしましょう。

  • 口蓋裂などの先天的な異常
  • 吸い付くのが下手
  • 飲む力が弱い

また、すべての乳房が同じように母乳がたくさん出るわけではありません。力の弱い子が、出の悪い乳房に押しやられていることもあります。よく観察してみましょう。場合によっては、人工哺乳でのサポートが必要です。

2.離乳期~成長期の子猫

生後2~3カ月を過ぎると、母猫からもらった免疫がなくなり、感染症にかかりやすくなります。発熱、鼻汁、下痢、目やに、食欲低下などの症状がある場合には、何らかの感染症が疑われます。

まだ体力がないため、あっという間に悪化することもあるので、何か気になることがあれば、早めに病院に連れていきましょう

また、おなかに寄生虫がいる可能性もあります。特に目立った症状が出なかったり、あっても軟便くらいのこともあります。まだ外に出ていない子猫でも、母猫が持っていることもあるので、要注意です。

成猫の体重が減少・増えない場合に考えられる原因と改善方法

成猫

成猫の場合は新鮮で栄養バランスの取れた消化吸収に良いご飯を食べられていない可能性があります。キャットフードによって消化吸収に優れないフードがあるため、水分が豊富で総合栄養食のご飯をあげるようにしましょう。

シニア猫(老猫)の体重が減少・増えない場合に考えられる原因と改善方法

成猫

シニア猫の場合は老衰で体重が減ってきます。ご飯を食べなくなってしまうこともあるため、できるだけ食べてくれるキャットフードを探すようにしましょう。

猫の体重が重くなった!太る原因は?

長毛の猫

避妊・去勢手術による影響

避妊・去勢により性ホルモンが大幅に減ると、代謝も落ちるうえ、ホルモンにより引き起こされていた、縄張り巡回や、メスを求めて徘徊するなどの行動がなくなり、運動量が低下します。

また、雌性ホルモンのエストロゲンには、一部食欲を抑える働きがあるため、これが激減することにより、食欲が増加します。


加齢による影響

年齢による変化もあります。猫は大抵、1~2歳ごろまではスリムな体型です。しかし、2歳を過ぎると、だんだん脂肪がつきはじめ、6~8歳ごろに最大になります。そして、12歳を過ぎると今度は徐々に体重が落ちる傾向にあります。

ライフステージごとに食事の量・内容を見直しつつ、室内飼いの場合は、キャットタワーを設置したり、一緒に遊んであげたりするなど、飼い主が意識して運動させることが大切です。

猫の体重増加・肥満でかかりやすくなる病気

太り気味の猫

肥満はさまざまな病気を引き起こします。よく見られるものをいくつかご紹介します。

  • 糖尿病(Ⅱ型)
  • 肝リピドーシス
  • 尿路結石症

糖尿病(Ⅱ型)

血液中の糖を細胞内に取り込む働きをする、インシュリンというホルモンの働きが悪くなるため、体が糖をエネルギーとして利用しづらくなります。

症状としては、飲水量、尿量ともに増え、たくさん食べるようになります。しかし、インシュリンの働きが改善されないと、せっかく食事で吸収した糖も利用できないので、だんだん痩せていきます

さらに病気が進行すると、肝臓にも負担がかかり、肝リピドーシスになったり、ケトアシドーシスを起こすことで生体バランスが崩れ、命を脅かされる事態となります。Ⅱ型糖尿病は、6歳以上の去勢済み雄猫に多く見られますが、肥満は糖尿病のリスクを4倍にするといわれています。


肝リピドーシス

太った猫がストレスなど、何らかの理由で数日間絶食状態になると、体を維持するために、全身に蓄えた脂肪をエネルギーとして利用するため肝臓に送ります。

しかし、利用する量より、流れ込む量の方が多いため、どんどん肝細胞に脂肪が蓄積し、肝機能障害を起こしてしまうのです。症状としては、ほぼ何も食べなくなり、下痢や嘔吐が見られ、治療が遅れると、けいれんや黄疸があらわれることもあります。


尿路結石症

主に食事内容が原因となりますが、問題ない普通の尿でも、濃くなりすぎることでミネラル成分が析出することがあります。

太った猫は、体が重い→運動しない→喉が乾かない→飲水量低下→尿濃縮→結晶析出→結石形成、といったスパイラルで、尿路結石症になりやすいといえます。

結石が尿道に詰まって閉塞を起こすと排尿できなくなり、そのまま長時間経過すると、急性腎不全を引き起こして命にかかわる状態になります。

その他、肥満は心臓や関節に負担がかかり、心臓病や関節疾患のリスクも増大します。

このようなリスクを低下させるためにも、ダイエットに取り組むことが重要です。基本は、食事内容を見直すことと、日々の運動量を増やすための工夫が必要になってきます。

しかし急激なダイエットは肝リピドーシスの危険を伴いますし、思うようにいかないこともありますので、獣医師に相談してダイエットプログラムを組んでもらったり、困ったときには相談に乗ってもらえるようにしておくとよいでしょう。


猫の体重が痩せる・太れない場合に考えられる病気

痩せ気味の猫

これも多々ありますが、一般的によく見られるものをいくつかご紹介します。

  • 甲状腺機能亢進症
  • 口内炎
  • 慢性腎不全
  • ガン・腫瘍
  • その他

甲状腺機能亢進症

甲状腺で作られている甲状腺ホルモンは、全身の代謝を高めます。甲状腺が炎症や腫瘍化などで腫れて大きくなり、このホルモンが多量に出ることで代謝が活発になり、体内の脂肪がどんどん消費されるため、食べているのに痩せていきます

高齢の猫に多く、ホルモンの影響で、血圧が上がって興奮気味になり、落ち着きなく鳴き続けたり、怒りっぽくなったりなど、猫の性格が変わったと感じる方もいます。


口内炎

猫には、原因不明の難治性口内炎を発症するものも多くいます。激しい痛みを伴うため、食事ができなくなることも多いです。


慢性腎不全

高齢猫に多い病気です。腎臓の機能が徐々に低下するにつれて、血液中の老廃物が増え、吐き気や食欲不振を引き起こし、痩せてきます

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ガン・腫瘍

あらゆるガンで最終的には体重が落ちていきます。猫白血病や、猫エイズなどのウイルス感染が原因の腫瘍を除いては、やはり高齢に伴い、発生が多くなります


その他

寄生虫感染や、コントロールされていない糖尿病でも体重減少が見られます。


愛猫のためのキャットフードの選び方は?

フレッシュペットフードのペトコトフーズ
猫の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、猫も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下を気を付けていただくといいでしょう。

1. 総合栄養食を適量与える

フレッシュペットフードのペトコトフーズ
猫が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。

総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。

猫のボディ・コンディション・スコア

2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ

フレッシュペットフードのペトコトフーズ
猫のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから猫のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。

実際に、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。

そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。

PETOKOTO FOODS for CATSと猫

なお、フレッシュフードは水分量も多いので、尿の活性化で腎臓病予防としても機能します。実際に従来のドライタイプのキャットフードよりも、水分がより多く含まれたフレッシュフード等を食べている猫の方が尿路結石になるリスクが約50%下がることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。

定期的な猫の体重測定をおすすめします!

外を見る猫

猫は、1~2歳で成猫の体重となり、そこからあまり変化しないのが理想です。一度太ってしまうとダイエットさせるのは大変ですし、心当たりのない体重の急激な減少は、体からのSOSです。

体重測定は、ご家庭で簡単にできる健康チェックの1つです。ぜひ定期的な体重測定を習慣にし、肥満予防や病気の早期発見に役立ててください。

参考文献

  • 長谷川 篤彦、辻本 元 監訳「Small Animal Internal Medicine」
  • 本好 茂一 監修「小動物の臨床栄養学」