犬のドッグマッサージはコミュニケーションと健康管理に!効果ややり方を獣医師が解説

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人は疲労回復や心身のリラックスを求めてマッサージを受けますが、それを犬に応用したものがドッグマッサージです。今回はドッグマッサージの効果ややり方、マッサージの種類や資格について、ますだ動物クリニック院長で日本ペットマッサージ協会理事の増田が解説します。

ドッグマッサージで期待できること

顔を触れられている犬

幸せホルモンの分泌

ご自宅で飼い主さんが愛犬にマッサージを行う場合、マッサージを通してスキンシップをとることができます。

これにより幸せホルモンこと「セロトニン」の分泌が促進されます。

不調の早期発見

マッサージによって副交感神経が刺激されると、緊張の緩和や心拍数の安定が図れます。

獣医学的に心身のバランスを整えることができるほか、体をまんべんなく触ることによって、犬の身体的な変化に気づきやすくなります。

ドッグマッサージの種類

撫でられている犬

ドッグマッサージは手法やルーツなどによって多くの種類や団体が存在します。世界的に統一された手法があるわけではなく、例えるなら「流派」がたくさんあるようなイメージです。

スウェーデン式

最も古くから存在するのが「スウェーデン式」と呼ばれるドッグマッサージです。

スウェーデン式ドッグマッサージは、大動物に対して行っていた理学療法がルーツになっています。統括団体として「ドッグケア インターナショナル マッサージスクール」があります。

膝蓋骨脱臼や股関節炎をはじめとした整形外科的なケア(痛みの緩和や関節の動きの改善)をはじめとした健康管理に強みがあります。

さらに、筋肉の緊張緩和や血行促進を行うことで皮膚や毛並みの改善にもつなげていきます。


東洋医学が基礎

東洋医学的な理論からドッグマッサージを行っている団体として、「日本ペットマッサージ協会」もあります。

人間の東洋医学ではなじみ深いツボや経絡を用いて、この中を流れている気や血といわれる生命に必要な要素の流れを適切な状態にすること目的としています。


ドッグマッサージのやり方

ドッグマッサージの方法は主催団体によってそれぞれ異なる部分がありますが、一例として日本ペットマッサージ協会が行っている基本手技を紹介している動画がYou Tubeで公開されているため、興味のある方はご覧ください。



その他、各団体あるいは個人で動画サイトに多数手技が紹介されています。気持ち良さそうな犬の様子がとても印象的です。

マッサージを始める前に

まずは愛犬に優しく触れて、お互いの呼吸を整えましょう。「呼吸を整える」だけでなく愛犬に「マッサージを始める合図」として、以下のようなスキンシップがおすすめです。

  1. 頭から尻尾まで、肩から前肢のつま先に向かって優しく撫でる
  2. 両側を数回行う
  3. 肩から後肢のつま先まで優しく撫でる
  4. 頭から尻尾に向かって優しく撫でる

やり方

  1. 左の肩甲骨全円を上下に優しくさすり、リンパの最終出口を開く
  2. 口から耳に向かって優しく撫でる
  3. 首をもみもみして優しくもみほぐし、肩甲骨の上を円マッサージ
  4. 脇の下に親指を軽く入れて上下に優しくさする
  5. 肩からつま先に向かって円マッサージを行い、肘のそばにある肩こりに有効なツボ「曲池」を刺激する
  6. 両側を数回行う
  7. 背中の経絡「膀胱経」に沿って、もみもみする
  8. もものつけ根の内側に沿って優しく押す
  9. 腰から太もも、つま先に向かって円マッサージを行う
  10. 両側を数回行う
  11. 後肢足裏にある元気アップのツボ「湧泉」をつま先に向かって優しく指圧する
  12. 両側を数回行う
  13. みぞおちからおへそに向かって撫でおろし、「中脘(みぞおちとおへその真ん中)」の周りを円マッサージする
  14. 頭をツボにそって縦と横方法に優しくピックアップする
  15. 眉頭から眉尻に向かって優しく撫でる
  16. 耳の付け根から耳先に向かって優しく撫でる
  17. 顔のピックアップを行い、笑っているような顔にする
  18. 背中をピックアップマッサージする

マッサージ終了の合図を行う

始める際と同様の動きを「マッサージ終了の合図」として行って、終了となります。

  1. 頭から尻尾まで、肩から前肢のつま先に向かって優しく撫でる
  2. 両側を数回行う
  3. 肩から後肢のつま先まで優しく撫でる
  4. 頭から尻尾に向かって優しく撫でる

\One Point/
1日1回、およそ10分間のマッサージにしましょう。やり過ぎは禁物です。

ドッグマッサージを行う上での注意点

撫でられている犬

マッサージは健康増進に有効でリラックスが得られるものであっても、マッサージを行うにあたって重要な注意点を怠ると、逆に健康を損なうことがある恐れがあります。

健康状態によってマッサージはNG

マッサージを受ける犬に「激しい痛みを伴う場合」「著しい衰弱がある場合」「心臓病やケガといった運動が制限されている場合」「腫瘍あるいはがんがある場合」は、マッサージが適さないことがあります。

かかりつけの獣医師に相談し、マッサージが可能と判断された場合は無理をせずに行いましょう。

空腹時やご飯直後は控える

「極端な空腹時」や「食後すぐ」といった状況もマッサージには好ましくない場合があります。

どちらのタイミングでもないときにドッグマッサージを行うことをおすすめします。

施術者が体調不良のときは控える

マッサージを行う側、つまり私たち人間の方の体調が悪い場合も無理して施術するのは控えましょう。

気を抜いては強い刺激を一度にかける恐れがあります。

手は清潔に保つ

愛犬をすみずみまで触るため、不衛生な手では万が一のことが起こるかもしれません。そのため、手は清潔に保ちましょう。

ドッグマッサージを受けられる場所

シャンプーを受ける犬

ドッグマッサージが受けられる場所はそれなりにありますが、実際に探すとなるとその多くはインターネットで検索する方法になることが多いでしょう。

「ドッグマッサージ」や「ペットマッサージ」といったキーワードで検索すると候補となるところが見つかると思います。

ペットサロンや動物病院といった施設がメインとなりますが、近年は動物専用の癒やしサロンも大都市圏で見られるようになっています。

飼い主さんが愛犬に直接マッサージすることに多くのメリットがあることは先ほど説明した通りですが、技術や知識に精通した専門のセラピストによるマッサージもまた格別なものがあります。

ドッグマッサージに関する資格

ツボ押しされている犬

大前提として、ドッグマッサージは医療行為ではありません。医療行為として行うマッサージは獣医療資格者が施術を行う必要があります。

そのため、何か病気やケガに対して治療目的で行うというよりも「リラックスによる心身の安定」や「健康促進」「病気になりにくい体にする」といったメンテナンスの意味合いが強くなります

ドッグマッサージに関して、現在日本で国家資格は存在しません。そのため資格はドッグマッサージを推奨・啓発しているいくつかの団体からセラピスト認定を受けるような形となります。

これらは民間資格にあたり、座学や実習などを行いますが、内容はそれぞれ異なります。

まとめ

撫でられたそうな犬

ドッグマッサージは嬉しい効果が期待できます
ドッグマッサージを行う際には注意点があります
ドッグマッサージを行ってくれる施設もあります
ドッグマッサージは医療行為ではありません

犬へのマッサージは動物特有の骨格や筋肉の付き具合といった特徴を踏まえて、施術する側、される側のコンディションが良好であることといった基本的なポイントをしっかり守って行えば、身体的にも精神的に健やかに生活することができる素晴らしいコミュニケーションツールです。

愛犬との幸せな生活をさらに良いものとする手段として、ぜひドッグマッサージをご活用ください。

参考文献