ダックスフンドの性格は?毛色・寿命・カット・しつけ・かかりやすい病気などトレーナーが解説
ダックスフンドは体の大きさ別に3種類に分けられ、毛質や毛色の種類も多様です。中でも特に人気の高いミニチュアダックスフンドは犬種ランキングで必ず上位に入るほどです。愛らしい胴長の体型に光沢のある毛やふさふさの毛、針金のような毛など特徴的です。そんなダックスフンドの性格や大きさ、体重、寿命などの特徴、毛質によるスムースなどの種類や毛色、かかりやすい病気、ブリーダー、里親からの迎え方についても紹介します。
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ダックスフンドの基礎知識

一言で「ダックスフンド」と言っても、実は大きさの違いで3種類に分けられています。大きい順位にスタンダード、ミニチュア、カニンヘンとあり、一般的に知られているのはミニチュアのダックスフンドです。
ダックスフンドは英語読み
よく「ダックスフンド」と言う方と「ダックスフント」と言う方がいて、どちらが正しい読み方なのかわからないという方も少なくないと思います。実はどちらも正しい読み方で、英語読みかドイツ語読みかの違いです。つづりは英語でもドイツ語のまま「Dachshund」ですが、ドイツ語では最後の「d」が濁らずに「ト」と発音され、英語では濁って「ド」となります。どちらが正しいという話ではないのですが、ジャパンケンネルクラブは英語読みでダックスフンドと読んでいますので、本稿でもダックスフンドで統一して表記します。
ダックスフンドの歴史
ダックスフンドの原産地はドイツで、中世の頃からダッケルやテッケルとも呼ばれ知られていました。「ダックスフンド」はドイツ語で「アナグマ犬」という意味で、特徴となっている短い脚を利用して地下の狭い穴に潜り、アナグマやウサギ、キツネなどの狩りをする猟犬だったのです。穴の中で耳に土が入らないように垂れ耳になったといわれていて、他の猟犬とは違い狭い穴の中でアナグマなどと戦うこともあります。獲物に合わせてサイズの改良が行われ、ミニチュアやカニンヘンなどが生まれました。ダックスフンドの大きさや寿命
体高や寿命に大きな差はなく、体高13~25センチメートル、寿命は平均13年といわれています。- スタンダード ダックスフンドの中では大きく、体重9キログラム~12キログラム、胸囲35センチメートル以上です。
- ミニチュア ダダックスフンドの中でも人気のあるサイズで、体重4.5キログラム~8キログラム、胸囲30~35センチメートルです。
- カニンヘン 一番小さいサイズで、体重3.2~3.5センチメートル、胸囲30センチメートル以下です。
ダックスフンドの性格と特徴
ダックスフンドは生まれつき友好的で活発、好奇心旺盛な性格で、とても賢い犬種です。猟犬として活躍してきた犬種なので、吠え癖や、噛み癖がつきやすい傾向があります。頑固な面があるので、猟犬ならではのすぐれた嗅覚でみつけた臭いに夢中になり、一時的に指示を聞かなくなることもあります。ダックスフンドの毛質と毛色
ダックスフンドには毛質の違いで「スムース」「ロング」「ワイアー」の3種類に分けられます。さらに毛質ごとに毛色が異なります。スムース

レッド、シェーデッド・イエロー、イエローといった単色(全色において黒毛がある場合もあります。)と2色のブラック・タン、チョコレート・タンと呼ばれるものが一般的です。その他、黒やグレー、茶など複数の毛色が斑になっている「ダップル」や地の色にさし色が入った「ブリンドル」といった毛色もあります。
ロング
スムースと同様で、レッド、シェーデッド・クリーム、イエローといった単色(全色において黒毛がある場合もあります)と2色のブラック・タン、チョコレート・タンと呼ばれるものが一般的です。その他、黒やグレー、茶など複数の毛色が斑になっている「ダップル」や地の色にさし色が入った「ブリンドル」といった毛色もあります。ワイアー
ワイルドボア、ドライリーフと呼ばれる色がほとんどです。ダックスフンドの育て方
1999~2007年まで犬種別登録頭数1位の非常に人気の高い犬種です。しかし、もともともと猟犬として活躍してきた犬種のため、吠え癖や噛み癖がつきやすい犬種です。
ダックスフンドのしつけ
ダックスフンドは猟犬だったので、「吠え」と「噛み」についてのしつけはしっかりとする必要があります。遊んで欲しい、ごはんが欲しいといった時に吠えるいわゆる「要求吠え」に応えてしまうと、「吠え癖」になりやすくなってしまいます。「噛み癖」についても子犬の時の甘噛みから止めさせ、噛んでもいいもので遊ぶようにしましょう。ダックスフンドのケア・カット
ダックスフンドはダブルコートと言って2層の毛(上毛と下毛)で覆われています。アンダーコートとオーバーコート(トップコート)とも言います。上毛は、太く硬い毛で一年中生えている被毛で、上毛には換毛期(被毛が生え変わる時期)というものはなく、自然に抜け落ちる毛です。また、一定の長さまで伸びたらそれ以上は伸びません。毛が伸びない代わりに毛が抜け、新しい毛に生え変わります。月に一度が目安です。本来ダックスはトリミング犬種ではなく、グルーミング犬種と呼ばれ、足先周りを整える程度でカットをしなくても良い犬種です。そのため、カットの頻度としては、月に一度程度、シャンプーに合わせて行ってあげると良いでしょう。
ダックスフンドがかかりやすい病気

ダックスフンドは、どのような病気に注意すべきなのでしょうか。最初に、目黒洗足動物病院の副院長である井上貴文獣医師に解説していただきました。
井上貴文獣医師の解説
ミニチュアダックスフンドは1999~2007年まで犬種別登録頭数1位であり、非常に人気の高い犬種です。一方で、さまざまな特異的疾患を持つ代表的な犬種としても知られています。具体的には、「椎間板疾患」「脊髄梗塞」といった整形外科疾患。「炎症性ポリープ」や「IBD(炎症性腸疾患)」といった消火器疾患。「網膜萎縮」や「網膜変性」といった眼科疾患。「組織球腫」や「術後縫合糸反応性肉芽腫」などの腫瘍性疾患があります。皮膚科診療においては「マラセチア性皮膚炎」「円形脱毛症」「淡色被毛(カラーダイリューション)脱毛症」「耳介脱毛」「脈管炎」など特異的な疾患が多い犬種です。

各病気の解説
井上先生に挙げていただいた病気について、それぞれ簡単に説明します。整形外科の病気
- 椎間板疾患:脊髄神経の圧迫による痛みで歩行を嫌がったり、麻痺によって歩行障がいや排せつ障がいが見られたりします。
- 脊髄梗塞:脊髄の中を通っている血管が詰まる急性の病気で、「発熱」のほか「立てない」「歩けない」といった足の麻痺が見られます。
消化器の病気
- 炎症性ポリープ:大腸のポリープ疾患で慢性的な血便や軟便などの症状が見られます。
- IBD:炎症性腸疾患とも言われ原因不明の慢性消化器疾患です。主な症状として嘔吐、下痢、食欲不振が見られます。
眼科の病気
- 網膜萎縮:光を感じる網膜が正常に働かなくなる病気です。最初は夜間、目が見えにくくなる程度ですが、次第に日中でも見えなくなり、最後には失明してしまいます。
- 網膜変性:網膜が委縮し、栄養が届かなくなることで失明してしまう遺伝性の病気です。
腫瘍性の病気
- 組織球腫:良性腫瘍で大きさは1~2センチメートルほどで、痛みやかゆみはなく気が付かないうちに自然治療していることが多くあります。しかし、悪性か良性かは見分けるのが難しいので病院で検査してもらいましょう。
- 術後縫合糸反応性肉芽腫:避妊手術や去勢手術などで使用される手術用の糸に過剰に反応してしまい炎症を起こして腫瘍ができしょう液や膿汁が漏れたりします。
皮膚の病気
- マラセチア性皮膚炎:もともと犬の皮膚に常在しているマラセチアが、他の病気になったときに併発して起こることが多いです。症状としては、皮膚のベタつき・脱毛・フケ・かゆみが見られます。
- 円形脱毛症:全身にできる可能性があり、原因としてはアレルギー皮膚炎・カビ・細菌感染などがありますが、精神的なストレスから起こる場合もあります。
- カラーダイリューション脱毛:淡色被毛脱毛症とも呼ばれ、毛の中にあるメラニンが不均等にあることで、生えてきた被毛が弱くすぐに切れてしまう病気です。その部分だけ生えてこないように見えてしまいます。
- 耳介脱毛:原因はわかっていませんが内分泌障がいが関係している場合もあります。かゆみはなく、耳の毛が脱毛し色素沈着が見られます。
- 脈管炎:血管に起こる炎症です。耳の縁の血行が悪くなり、耳の先の脱毛から始まりかさぶたができ、痛みを伴います。進行すると耳のふちの厚みが薄くなり、欠けたようになります。
また、遺伝性疾患として若齢で甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いことが報告されています。
飼い主さんの声
女性 飼育歴:15年
- 年齢:14歳/15歳
- 性別:オス/オス

14歳と15歳のミニチュアダックスフンドを飼っています。胴長短足で全力疾走する姿は何年見ていても飽きず、とってもかわいいです。しかし元々猟犬なので、吠え癖、噛み癖は幼い頃にしつけないとトラブルの元になります。

男性 飼育歴:18年
- 年齢:18歳6カ月
- 性別:オス
ビビりで、人に心を開こうとしません。お客さんが来ても愛想が悪いです。散歩も嫌いでした。また、いたずら好きでちょっと目を離すとテーブルに乗って、家族の晩御飯を食べつくしたり、ありとあらゆるものを噛んでダメにしました。でも、忠誠心はとても強いです。
ダックスフンドの迎え方
一度家族に迎えたら、子犬から老犬になっても大切に、命に責任を持ちましょう。白髪だって生えるし、病気もするかもしれません。お金がかかるのは家族に迎える時だけではないということをもう一度よく考えましょう。
ダックスフンドの価格や値段
一般的な価格は10~20万円ほどで、毛質の種類やカラーによって値段が変わります。保護犬から迎える
保護され新しく里親を探している犬は雑種だけでなく、血統書のある犬も多くいます。ペトことの姉妹サイトである保護犬・保護猫マッチングサイト「OMUSUBI」(お結び)も、ぜひ覗いてみてください。
OMUSUBIで保護犬猫を探す
ブリーダーから迎える
ブリーダーからでは、自分の好きな毛質や毛色の子犬を見つけやすく、子犬の親犬も見ることができるのもブリーダーならではです。ペットショップから迎える
最も一般的な迎え方です。生後2~3カ月の子犬が多く、4カ月を過ぎると値段は下がっていくことがほとんどです。ダックスフンドと楽しい暮らしを!

ダックスフンドについてわかっていただけたでしょうか? 「ダックス」と言っても大きさ・毛質・毛色とたくさんの種類があります。またどのダックスも、もとは猟犬だったということを理解しましょう。吠えや噛みつきといった行動が出やすいので、ちゃんとしつける必要があります。一緒に楽しくトレーニングしていきましょう!