犬が掻く理由とは?考えられる原因・病気、応急処置などを獣医師が解説

犬が自分の身体を掻く場合、その部分に痒み・違和感があるためかもしれません。一時的に掻いている分には心配いりませんが、「止めても掻く」「気づいたら掻いている」といった頻度では早めの受診をおすすめします。悪化する前に防止しましょう。今回は、犬が掻く場合に考えられる原因や病気、その際の対処法などを目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が解説します。

犬が掻く場所で考えられる原因と病気

耳を掻くフレンチブルドッグ

掻いている場所がその子にとって違和感のある場所です。ここでは搔いてる部位を例に考えられる原因を挙げていきます。

  • お腹・顔周囲
  • その他

お腹・顔周囲を掻いている

いわゆる皮膚病も顔に発症するケースも多くあります。皮膚病の原因には細菌、真菌、寄生虫、アレルギーなどが挙げられます。

いずれにおいても患部の痒みと脱毛、そして発赤が認められることが多いです。犬が高齢の場合には、腫瘍が自壊して二次的な細菌感染を起こしていることもあるため、注意が必要です。


口を掻いている

最も多い原因は、高齢犬でよく発生する歯周病が挙げられます。歯周病になると歯の周囲の歯肉が炎症を起こし、痛みを伴います。

ひどい場合には骨を溶かすこともあります。他には異物などが歯に挟まったり、熱いものを食べてしまい口内炎を起こしている場合もあります。また、口の周りはアレルギーの関与も疑われます。


鼻を掻いている

鼻だけを気にして掻くことは比較的少ないと思われます。まれに鼻腔内に草やジャーキーなどの異物が混入し、鼻を執拗に掻く子がいます。

また、犬が高齢な場合には鼻の中に腫瘍が発生している場合もあるため注意が必要です。


目を掻いている

目を掻いている場合には、さまざまな原因が考えられます。最もよくあるのが、結膜炎です。

結膜炎の原因は、目への外的刺激やアレルギーなどの体質などさまざまですが、症状は瞳孔(黒目の部分)の周りにある結膜(白目の部分)の充血が認められます。

目を細めてしょぼしょぼさせることもあります。他にも「異物の混入」「角膜の傷」「ぶどう膜炎」「緑内障」など目に痛みを感じる場合に、目をしきりに掻く動作が認められます。

耳を掻いている

外耳炎を起こしている場合が最も多いです。外耳炎も皮膚病同様に細菌、真菌、寄生虫、アレルギーなどが原因として挙げられます。

いくら耳掃除をしても耳垢がたくさん出てきたり、見た目に赤くなったりしている場合は、通常の耳掃除では治せず、点耳薬が必要になることが多いです。


その他

その他、どこかを掻いているわけでもなく、掻くように足を動かしている場合はストレスサインの一種の可能性もあります。また、愛犬を撫でたら掻くように足を動かしたら、触っている部分が痒い可能性が高いです。

もし身体のどこかに外傷があった場合、それがかさぶたになることによって痒みを帯びたり、反対に皮膚病などで慢性的に掻くことによってかさぶたになってしまうこともあります。

気づいたら掻いているような頻度で掻いている場合は早めに動物病院に連れていきましょう。

犬が掻いている場合の応急処置

エリザベスカラーをしているチワワ

痒みを引き起こしている原因によって対処法は異なります。まずはどこの部分が痒そうで、掻いているのかよく見てあげてください。

エリザベスカラーをつける

お腹や手足の先などを痒がっていたらエリザベスカラーかそれに類するものをつけて、物理的にそれ以上掻かせないようにしましょう。二次的なケガが防げます。

口の中に異物があれば取る

口の中をよく観察してください。歯石の付着に伴い、歯肉が赤く腫れている場合には、歯石の除去や抜歯が必要なこともあります。

一度着いてしまった歯石を歯磨きなどで取ることは非常に困難です。一度診察をしてまた、異物が挟まっているのが見つかることもあります。簡単に異物が取れそうであれば、試みても良いですが噛まれないよう注意してください。


フードを変更

口の周りを掻く場合は、食事のアレルギーなどを考慮し、フードを変更してみることもひとつの手段です。


鼻が原因の場合は病院へ

鼻の中を外から見て判断することは非常に困難です。仮に大きな腫瘍がある場合には鼻の形が左右で異なる場合があります。いずれにしても病院での診察をおすすめします。

目に異物があれば洗い流す

目に異物の混入がないか観察してみてください。まぶたを少しめくると結膜の部分が確認できます。異物が認められた場合には、目に水を数滴垂らして洗い流すと除去できることがあります。

ただし、無理にこすったり、引っ張ることで目に傷をつけることもあるため、注意が必要です。異物が取れなかったり、見つからない場合は診察を受けることをおすすめします。

シャンプーなどでケアを

よく掻いている部分を観察してください。「赤い」「脱毛」「かさぶた」などが認められることがあります。部分的にでもシャンプーを行なってください。乾燥で痒みを引き起こしている可能性もあるので、その後の保湿ケアも忘れずに。


耳洗浄液で洗う

耳であれば、多量の耳垢や匂いがきついなどの症状が認められることがあります。ペット用の耳洗浄液で耳を洗ってあげましょう。ただし、痒みや赤みがひどい場合にはお薬などが必要な場合もありますので、動物病院での診察が必要です。

犬が掻く場合は日頃から健康管理を

犬

「掻く」という行為自体はちょっと気になっただけでも行われますが、その頻度で危険度が異なります。気づいたら同じ部分を掻いているようであれば、皮膚病を発症している可能性が高いです。

掻きすぎて炎症や外傷ができてしまい、そこから細菌が侵入して悪化してしまうこともありますので、早めに動物病院に連れて行ってあげましょう。