【新型コロナウイルス】愛犬・愛猫のために飼い主が知っておくべきこと

【新型コロナウイルス】愛犬・愛猫のために飼い主が知っておくべきこと

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連日メディアで取り上げられる新型コロナウイルス(COVID-19)。飼い主さんにとって愛犬・愛猫に影響がないか気になるところ。さまざまな情報が飛び交っている今、私たちにできることは何でしょうか? 愛犬・愛猫を守るための情報をまとめます。

犬や猫に新型コロナウイルスは感染する?

感染しない理由

ウイルスは表面に「鍵」(スパイクタンパク質)を持ち、細胞にある「鍵穴」(ウイルスレセプター)にその鍵をはめることで吸着・侵入して感染します。

人に感染できるウイルスは鍵穴が違う別の動物には感染することができないため、例えばネココロナウイルス(猫伝染性腹膜炎)が人に感染することはありません。

そのため当初、人の新型コロナウイルスは「犬や猫に感染しない」と考えられていました。しかし、現在まで世界で数例の感染報告が出ています。

日本獣医師会も「感染した人と濃厚接触のあった愛玩動物が感染する可能性は否定できない」「人から猫、猫から猫への感染の可能性が考えられる」とコメントしています。


犬や猫に新型コロナウイルスの感染報告事例

椅子に座る猫

【人から動物】への感染報告

香港やベルギーなどの海外では新型コロナウイルス感染者のペットに陽性反応出たという報告がありますが、香港当局・ベルギー当局は「人から人にうつる病気であり、人から犬および猫への感染は一般的ではない」ことを強調しています。

<人から犬への感染事例>

2020年6月2日、米国農務省(USDA)国立獣医サービス研究所(NVSL)が、ニューヨークで新たに新型コロナウイルスに犬が感染したという発表がありました。

2020年8月3日には、日本国内で初めて、犬2匹がPCR検査の結果、新型コロナウイルス陽性だったことをペット保険会社が公表しました。

米国と日本、どちらのケースも飼い主から感染した疑いがあります。


<人から猫への感染事例>

7月22日には、イギリスでは初めての猫の新型コロナウイルスの感染が確認されました。

前述した犬の事例同様、飼い主から感染したと考えられています。

<感染者はペットとの接触を避けるべき>

新型コロナウイルスが人から動物への感染は世界中で少数の報告があり、いずれも主に感染した人と密接に接触した動物で報告されています。

これまでのところ、今回の犬や猫に加えて、トラ、ライオンが新型コロナウイルスの陽性反応を示しています。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、新型コロナウイルス感染者は、密接に接触した動物に、ウイルスをまき散らす可能性があることを示唆し、ペットや他の動物との接触を避けて、感染から保護することを推奨しています。


【猫から猫】は感染報告も

米科学誌『サイエンス(Science)』は4月8日、新型コロナウイルスは猫とフェレットに感染しやすく、犬は感染しにくいという研究結果を発表しました。5月13日には米国医学誌『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』が新型コロナウイルスは猫から猫への感染は起こり得ると報告しています。

その報告によると、3匹の猫に直接ウイルスを投与し、それぞれ別の健康な猫と同居させたところ、3匹とも感染が確認され、さらに健康な猫たちにも感染したことが判明しました。感染が確認された猫はいずれも体重減少や味覚・嗅覚障害といった症状は無く、5日程度のウイルス排出期間を経て、ウイルスの消失が確認されています。

米獣医師学会は、今回の研究は実験室で行われており、現実の環境で猫がこれほど容易に感染するのかは分からないと説明しています。

【動物から人】への感染報告

人からペットに感染した(ペットからウイルスが検出された)としても、さらにペットが人に病気をうつす可能性は限りなく低いと考えられています。

しかし5月25日、オランダでミンクから新型コロナウイルスに感染したとみられる事例がありました。これに対して26日、世界保健機関(WHO)は、動物から人への新型ウイルス感染として知られる初事例である可能性を指摘しています。



犬や猫の新型コロナウイルスで飼い主さんにできること

犬と猫

愛犬・愛猫を守るために飼い主さんにできることは大きく以下の2つです。

  1. 感染しないよう対策をする
  2. 感染に備えての準備をする

1.感染しないよう対策をする

飼い主さんが新型コロナウイルスに感染しないことがペットのためになります。新型コロナウイルスの感染予防として、厚生労働省では以下の予防方法を掲げています。

  • こまめな手洗い
  • 普段の健康管理
  • 適度な湿度を保つ
  • 部屋の換気を行う

こまめな手洗い

正しい手洗いの仕方
※参照:厚生労働省「一般的な感染症対策について」

ドアノブや電車のつり革などさまざまなものに触れることにより、自分の手にウイルスが付着する可能性があります。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。

普段の健康管理

普段から、十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。

適度な湿度を保つ

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つといいでしょう。

部屋の換気を行う

換気の悪い密閉空間は感染拡大のリスクを高める可能性があるので、こまめに部屋の換気を行うことが望ましいです。

2.感染に備えての準備をする

中国では住民が避難したエリアのペットたちが、命の危険に曝されるという痛ましい出来事がありました。ご自身が感染したときに冷静に対応するためにも、以下の2点をイメージ・相談しておくと愛犬・愛猫を守る一手になります。

「感染したかも?」と思ったときの相談先を知っていますか?
飼い主さん以外にペットの世話をできる方はいますか?

感染の恐れがある際の相談先

次の症状がある方は厚生労働省の「帰国者・接触者相談センター」に速やかに電話しましょう。

  1. 「風邪」の症状、4日以上の発熱(37.5℃以上、解熱剤を飲み続けざるを得ない状態)
  2. 強いだるさと息苦しさ

以下の方に該当する場合は上記1、2の状態が2日続いたら電話することをおすすめします。
  • 65歳以上である
  • 糖尿病、心不全または呼吸器疾患といった基礎疾患がある
  • 免疫抑制剤、抗がん剤を用いている
  • 妊婦である

上記以外にも、新型コロナウイルス感染者(もしくは感染疑いの人)と濃厚接触(目安:2m以内で30分以上の会話など)した方は速やかに電話しましょう。

電話での相談を踏まえて、「感染の疑いがある」と判断された場合には、新型コロナウイルス感染症患者の診察ができる指定病院での受診の調整になります。

ペットの世話をできる方を見つける

新型コロナウイルスは現時点で「犬や猫に感染しない」と考えられていますが、もし飼い主さん自身が感染してしまった場合は、ペットとの接触を控えることが望ましいとされています。

また感染有無に関わらず、ペットとのキスといった濃厚接触にはリスクがあるため、日頃より注意しましょう。

そのため、ご自身が感染してしまったときに備えて、ご家族など、他にペットの世話をしてくれる方がいないか相談しておきましょう。

ご家族が自宅でお世話する場合も、どなたかに預ける場合も、ペットの体表などを介して感染伝播させないため、ペットはシャンプーすることが望ましいと考えられています。

シャンプーをする場合は、お湯が出る勢いを弱くして、毛に当たったお湯がご自身を含む周りに飛び散らないよう工夫し、丁寧にお湯で流したあと、シャンプーをしてください。

シャンプー後、ペットを拭いたタオルは一般的な家庭用洗剤で洗濯しましょう。

お世話する方にペットを預かってもらう際には、キャリーバッグや首輪、リードなどは、0.05%に薄めた家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、塩素を拭き取るためにもう一度水拭きしてください。

洗濯や消毒などの注意点や詳細は厚生労働省が出している「家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~」を参照ください。


犬にマスクはNG

マスク

愛犬を新型コロナウイルスから守るためとはいえ、犬にマスクをすることは呼吸を妨げることはもちろん、犬の体温調節機能まで妨げるため、かえって危険にさらすことになります。

暑いとき犬は口を大きく開け、舌をだす「パンティング」という呼吸で体温調節をしています。そこにマスクをすると、体内から熱を出すことができなくなるため、熱中症のリスクが高まります。

現時点で、犬の新型コロナウイルス感染による死亡報告はありませんが、熱中症による死亡報告は毎年されています。

愛犬を守るためには、飼い主さん自身が感染しないことが第一です。

愛犬・愛猫のための新型コロナウイルス対策

#stayhome

不安な状況が続きますが、今できることは「感染しない」「感染に備える」の2点です。

飼い主さん自身が感染しないよう、不要不急の外出を控えることは大事です。しかし犬の散歩も大事ですので、「密集」「密閉」「密接」の3密に気をつけて愛犬との散歩を忘れずに。

特に「小型犬だから散歩はいらない」ということはありません。緊急事態宣言中でも散歩は問題ないとされています。

お散歩時間以外は愛犬・愛猫とのおこもり時間を楽しみましょう。ペトことではおこもり時間におすすめの記事をまとめています。

こんなときだからこそ、普段より愛犬・愛猫との時間を充実させてみてはいかがですか?


引用文献