犬が食後にフードを吐いたときの原因と対処法を獣医師が解説

犬が食後にフードを吐いたときの原因と対処法を獣医師が解説

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嘔吐とは違う「犬がごはんを吐く」。本稿では胃に届く前のものを吐く、つまり「消化されていない状態のものを吐く」という状態を指します。飼い主さんからの相談を元に、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が考えられる原因・病気などについてお答えします。

犬がご飯を吐く原因

家で寝そべる犬

「病的ではない場合」と「病的な場合」があり、それぞれ考えられる原因は以下などがあります。

考えられる原因
病的ではない場合 ・早食い
・消化に悪いものを食べた
・体質的にご飯が合わない
病的な場合 ・食道炎、食道憩室
・腫瘍
・消化器疾患
・異物誤飲
・アレルギー

急いで食べたり、消化が悪いものを食べたり、ご飯が体質的に合っていなかったりするとご飯を丸々と吐き出すことがあります。

それが1回・まれに起こる程度であれば、病的ではない可能性が高く、心配はいりませんが、頻発するようであれば病的な原因の可能性がありますので、その場合はかかりつけ動物病院に相談しましょう。


水っぽい透明な液体を吐き出した場合は?

空腹のため、胃液を吐き出している可能性が考えられます。もしくは吐き出す前に水を大量に飲んで、そのまま吐き出している可能性もあります。

犬がご飯を吐き戻したときの対処法

見上げる子犬

前述の通り、頻発するようであれば早急に動物病院へ連れて行きましょう。悪化すると自力でご飯を食べることが困難になります。

また、病的ではない原因の場合は新しいごはんを用意してあげましょう。吐き戻したものをそのまま食べさせる飼い主さんもいますが、落ちた場所を考えると新しいごはんを与えるほうがいいでしょう。

その子にとって消化に悪いものだったり、体質的に合っていなかったりする場合もあるので、ドライドッグフードからウェットフードなど、ごはんを変えてみるのも一つの手段です。


飼い主さんからの相談内容

相談:犬がごはんの後に吐きます。 1歳と7カ月のパグです。1歳になる頃から明け方や夜に吐くようになりました。食事してから6〜7時間たってからです。ドライフードがふにゃふにゃになった状態のものを吐き出します。

ごはんをあげる回数も増やしたり、ごはんを変えたりしても吐きます。レントゲンやバリウム検査では異常なし、アレルギー検査ではスギとカビのみ反応あり。

アレルギーの薬を飲むと吐きません。薬をやめると3日後には吐きます。スギのシーズンが終わって薬をやめても吐きます。病院の先生も不思議だと言います。どうして吐くのか、どんな可能性がありますか?
回答:炎症性腸疾患が疑われます。 可能性としては、腸そのものの問題で炎症性腸疾患や過敏性腸炎が考えられます。原因としてはアレルギーや自己免疫、細菌性などさまざまあります。

フードを変えたとしても、変えたフードすらも体に合ってない可能性もあります。それと、アレルギーの薬とはどのような薬かにもよります。

ステロイドであれば、考えられる腸疾患からだいたいの疾患に対して一時的に吐き気などを止める作用があります。アレルギー検査も実際に何度かやると毎回違ったり、その検査に含まれてないアレルゲンも存在するためなんともいえません。
大事なことは確定診断ですが、麻酔のリスクを考えるとまずは合うフードを探すか、症状に応じて対症療法を行うのがいずれにせよ体への負担が無いかと思います。


繰り返す症状は病院へ

笑顔のゴールデンレトリバー

今回の「ごはんを吐き出す」こともそうですが、その症状が繰り返し出るのか、それともまれに起こるのかで緊急度は異なります。

日頃から愛犬と触れ合うなかで、少しでも気になることが続くようであれば動物病院に連れて行くことをおすすめします。


【動画解説】犬の嘔吐の原因や症状別の危険度

YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは、犬の嘔吐について解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。