
セッターと呼ばれる犬種とは?歴史と役割、その性格を紹介
猟犬の中でも「セッター」に分類される犬種がいることをご存じですか?イングリッシュセッターやアイリッシュセッターなど、家庭犬として一緒に暮らしている方も多い犬種です。家庭犬として人気がある理由、セッターに分類される犬種やその特性、歴史などを紹介します。
セッター犬とは

セッターはもともと鳥猟犬として使役してきた犬です。獲物である鳥を見つけたら、物音を立てずにその場でフセの姿勢をとり、ハンターに獲物がいることを知らせる仕事をしていました。このフセをする状態を「セットする」と言うことからセッターの名前が付きました。
セッター犬の歴史
イングリッシュセッターやアイリッシュセッターに代表されるセッターたちは、獲物の鳥を追うにあたって長時間走れる強靭な肉体と、獲物を見つけて「セット」した際にハンターが見つけやすい毛色や大きさになるよう改良されてきました。もともとはまだ猟銃のない時代に、木々の上に飛び出すように張られた網(かすみ網※)に向けて獲物を飛び立たせる「フラッシング」という仕事を担っていたスパニエル系の犬の血が流れています。「フラッシング」をしている中で、獲物を見つけるとフセをして知らせる個体を発見し、その犬を他犬種と交配させて「セット」の能力を引き継がせました。その後長い年月を経て今の形になったとされています。
(※)現在かすみ網は禁止されています。
セッター犬と鳥猟犬のポインターとの違い
セッターは獲物を見つけるとフセの姿勢を取るのに対し、ポインターは獲物の前で姿勢を低くして片足を上げる「ポイント」という動作をします。初期のポインターは獰猛なところがありましたが、そこにセッターを交配することで今の友好的な性格になっていったと言われています。
ポインターに分類される犬種は、イングリッシュポインターやワイマラナーです。
セッター犬の性格
セッターは獲物を見つけたらその場でじっと座り込んで待つ必要があったため、とても忠実で忍耐強いです。また、ハンターとの連携が重要な作業を行っていたことから、協調性があり友好的で、家庭犬としても人気が高いです。もともと猟犬だったことから、動くものを追う習性があるためきちんとしつけをしないと落ち着きがなく、コントロールしにくい犬になってしまうので注意しましょう。
セッターに分類される犬種
イングリッシュセッター
欧米ではセッターというとイングリッシュセッターのことを指すほどメジャーな犬種です。もともと14世紀ごろにスペインからイギリスに持ち込まれたスパニエルが起源といわれており、その中で「セット」の姿勢を見せた犬たちを繁殖させセッティングスパニエルと呼ばれるようになります。そこからさらに交配が進められ、現在のイングリッシュセッターの原型ができました。狩猟が得意なフィールドタイプと、ドッグショーや家庭犬に向いているショータイプのふたつの系統があり、ショータイプの方は世界最初のドッグショーにイングリッシュポインターとともに出陳されました。
日本にも明治時代に入ってきており、現在も猟犬として活躍しています。日本でのイングリッシュセッターは、ショータイプよりもフィールドタイプの方が多いそうです。
アイリッシュセッター

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アイリッシュセッターはイギリスのアイルランド原産のセッターで、スパニエルやイングリッシュセッター、その他テリアなども掛け合わせて作られた犬種であると考えられています。
アイリッシュセッターにもフィールドタイプとショータイプがいますが、その優雅な見た目から現在はショードッグとしての活躍の方が目立っているようです。
とても友好的で細かいことは気にしない楽天的な性格なため、一緒に過ごすととても楽しい犬種なのではないでしょうか?
ゴードンセッター

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あまり聞きなれないゴードンセッター。セッター種の中ではいちばん歴史が浅く、1820年ごろに誕生したといわれています。スコットランドのゴードン城の城主、ゴードン公爵によって作られた犬種で、牧羊犬であるラフコリーのなかで特に嗅覚の優れた個体にスコティッシュテリアなどを掛け合わせていったと言われています。
性格は聡明で愛情深く、とてもアクティブです。その反面警戒心が強く勇敢なところもあるため、番犬にも向いているのだそう。
飼いやすい性格とはいえ、セッター種の中で体高も体重も最大であり運動量が多く、ブラッシングの必要もあるため、時間や体力を十分に割いてあげる必要がありそうです。
セッター犬の迎え方

迎える前に
セッター種は大型犬なので、生活環境をしっかり整えてあげる必要があります。家が賃貸であれば大型犬の飼育が可能か確認し、必要運動量を満たせるお散歩コースやドッグランを見つけておくと良いでしょう。また、大型犬は小型犬に比べて食費や医療費も高額です。環境や金銭的、時間的余裕の有無を再確認して迎えてあげましょう。
ブリーダーから迎える
セッター種はあまりペットショップで見かける機会は多くなく、ブリーダーから直接迎えることがほとんどです。両親の性格や大きさなどを確認できるため、相性の良い子犬を見つけやすいです。また、ブリーダーはその種のスペシャリストでもあるため、迎えた後のアフターフォローも安心ですね。保護犬を迎える
セッター種の中でも特にイングリッシュセッターは実猟犬として活躍していた保護犬が多いです。保護犬の多くは成犬が多く、しつけが一からになってしまう場合もありますが、成犬になってから出会うとより一層運命的なものを感じるのではないでしょうか?保護犬の里親募集サイト「OMUSUBI(お結び)」も、ぜひ覗いてみてください。
まとめ

セッターたちは成犬になっても子犬のように無邪気でやんちゃな一面があります。そして体も大きくパワーもあるため、決して簡単に飼える犬種ではありません。
でもとても友好的で遊びも大好きな犬たちなので、楽しみながらいろいろなことを覚えていけます。遊びやレジャーなど、さまざまな経験を通して一緒に成長できそうな素敵なパートナーになってくれるのではないでしょうか。