【トレーナー解説】犬が台風を怖がる3つの理由と対策を解説

【トレーナー解説】犬が台風を怖がる3つの理由と対策を解説

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台風や豪雨によって落ち着かなくなったり怖がったり、体調不良を起こす犬は少なくありません。愛犬が台風や豪雨を怖がっている場合、対策をとってあげましょう。今回は犬が台風を怖がる理由や対策などを紹介します。万が一、犬を外飼いにしている場合は台風・豪雨時には命の危険があるため必ず屋内に入れてあげてくださいね。

犬が台風を怖がる理由

隠れる犬

犬が台風を怖がるのには以下の3点の理由が考えられます。

  • 聞き慣れない音によるもの
  • 気圧の変化によるもの
  • 本能的なもの

01 聞き慣れない音によるもの

豪雨による轟音や風が強く窓を叩く音など、普段と異なる音に安心できず、恐怖を感じることがあります。

人間でも大きな音に驚くことがあるかと思いますが、犬の聴力は人間よりも優れており、1km以上離れた距離の音を聞くことが可能なため、遠くの落雷の音まで聞こえてしまうのです。


02 気圧の変化によるもの

台風が接近することによって気圧に変化が起こり、交感神経を刺激します。それによって体調不良を引き起こしたり、不安を感じている可能性があります。

03 本能的なもの

犬を含む動物は、命の危険を感じるすべての対象を本能的に「怖い」と感じます。いつもと異なる音や環境も相まって恐怖に感じてしまうのかもしれません。

犬が台風に不安を感じているときの行動

子犬

犬が台風に不安を感じている場合、主に以下の行動が見られます。

  • 落ち着きがなくなる
  • 吠える
  • 小刻みに震える
  • ごはんや水に口をつけなくなる

動物病院へ行く必要のある犬の台風への不安行動

以下の行動が見られた場合は積極的な緩和ケアが必要になります。

  • 息が荒くなる
  • 失禁する
  • どこかに隠れようとする
  • 破壊行動を起こす
  • 自傷行為

とてもストレス負荷の高い状況となるため、行動診療科の獣医師に相談しながら改善に努めることをおすすめします。

犬が台風で落ち着かないときの対策・対応

犬を撫でる子供

個人で対応できるか判断する

まずは愛犬の恐怖心が個人で対処できるものなのかを判断する必要があります。

台風や豪雨が襲来している間はいくら呼びかけても耳に入っていない様子の犬もいます。恐怖心により失禁や破壊行動にまで発展するようだったら、個人で対処しようとせず、獣医師さんに相談しましょう。

安心できる場所をつくる

犬が恐怖を感じている時は、犬自身が安心できるよう自由に逃げ込める環境を作ってあげましょう。

飼い主さんのベッドの隙間や、普段から使っているケージにブランケットをかけておくなど工夫してあげると犬も安心して身を隠すことができます。

ただ、台風や豪雨により犬がケージに逃げ込んだ時はケージの扉を閉めずに、いつでも移動できるようにしておく必要があります。


飼い主さんは平然とする

犬は飼い主さんの様子に非常に敏感です。飼い主さんが台風に怖がっていると「やっぱり怖いものなんだ」と余計に恐怖心を煽る恐れがあります。

安心させようと必死に抱っこしたり、かまったりするのも「いつもと違う!」と思わせてしまうようです。飼い主さんはなるべく平然とし、優しく声をかけるようにしてあげてください。

台風を怖がって落ち着きなく走ったり吠えたりする犬もいますが、間違っても叱ってはいけません

細長い布を使う

サンダーシャツがない場合、細長い布でも同様の効果が得られる可能性があります。

フィリピンの動物愛護団体「Philippine Animal Welfare Society」が2015年に考案した方法で、細長い布を愛犬の体に以下のように結ぶだけです。

  1. 犬の首元に布の真ん中を当て、首の後ろでクロスさせる
  2. お腹の部分に布を持ってきて、再度クロスする
  3. 布を背中に持ってきて、キツくしすぎないように結ぶ

弾性包帯がベストですが、お手元にない場合は伸縮性のある布を使いましょう。サンダーシャツ同様、適度な圧力をかけることで安心感を持たせることができます。

犬の台風恐怖心の克服・緩和方法

抱きしめられる犬

系統的脱感作と逆条件付け

台風以外でも、何か苦手なものを怖がらないようにするためのトレーニングとして有効なのが「系統的脱感作(けいとうてきだつかんさ)」と「逆条件付け」という行動療法があります。

2つの療法を組み合わせて少しずつ苦手克服を目指します。

<系統的脱感作>

系統的脱感作とは、犬が苦手なものの最小限の刺激から与えて徐々に慣らしていく方法です。

台風が苦手な犬に対して系統的脱感作を行う場合、台風の音を小さく流し少しずつ音量を上げるなどして行うことができます。

<逆条件付け>

逆条件付けとは、苦手なことが起こっている時に犬にとって嬉しいことをすることで、苦手意識を払拭する方法です。

台風が襲来している間はおやつがもらえたり、おもちゃで遊んでもらえたり嬉しいことが起こることを教えると台風へのイメージが変わります。

系統的脱感作と逆条件付けは同時に行うことで効果が出ます。

例えば台風の音が苦手な犬の場合、動画などで台風の音を消音で流しておやつを与えたり優しくなでてあげたりします。少しずつ音量を上げながら繰り返すことで、台風の反応が変わってくるでしょう。

これはあくまで台風の音に対してのイメージに限るので、気圧の変化や本能が原因の場合は効果的とはいえません。

薬事療法

犬によっては、飼い主さんができる範囲の対策では恐怖心を改善できないほどの症状を抱える場合もあります。

そのような時は獣医師さんに相談してアドバイスをもらいましょう。トレーニングで改善できる範囲なのか、薬によって不安症状を軽くするのがよいのかを判断することが大切です。

台風時の犬の散歩は?

レインコートを着た犬

外でしか排泄ができない犬を除いて、無理に外へ連れ出す必要はありません

雨や雷の音がすごい場合は外に出ず、家の中で運動不足解消ができるよう一緒に遊んであげたり、鼻と頭を使う「ノーズワーク」をしたりしましょう。


ノーズワークとは

ノーズワークは犬の「嗅覚」を使ったゲームです。子犬から老犬まで楽しむことができ、ストレス発散や運動不足解消といった効果があります。

\動画を見てチャレンジ!/

YouTubeのPETOKOTOチャンネルでドッグトレーナーの西岡先生が解説するノーズワーク動画を公開しています。あわせてご覧ください。


台風時、外飼いしている犬は必ず屋内に

テントに入る犬

台風のときは飛来物によって怪我をしたり、リードが外れて脱走したりする恐れがあります。そのため、犬を外飼いにしている場合は屋内に入れるようにしましょう。

とはいえ、外飼いに慣れてしまった犬は屋内に入りたがらない可能性があります。いざというときに愛犬を守るためにも、普段から室内飼いにすることをおすすめします。

まとめ

子犬

犬が台風を怖がる理由は音や気圧、本能が関係します
犬が台風を怖がる場合、個人で対応できるのかどうか判断しましょう
犬が台風を怖がる場合は犬に応じて対策を取りましょう
個人で対応できない場合は、獣医師さんに相談を

台風や豪雨に驚く犬は少なくありません。実際、雷雨だった日は普段よりも迷子の犬が増えるそうです。

愛犬がパニックになっても迷子にならないよう、戸締りはしっかりとし、万が一に備えて迷子札やマイクロチップを着けておくことをおすすめします。



引用文献