犬の問題行動はなぜ起こる?原因と正しい対策をトレーナーが解説
ペットの家族化が進み、子供がいる家庭よりも犬や猫と暮らしている家庭のほうが多くなりました。しかし犬は、性格に合ったしつけ方法ができていなかったり、住む環境が適していなかったりすることが原因で「問題行動」を起こすことがあります。今回は、無駄吠えや食糞などの問題行動について、ドッグトレーナーの西岡が解説します。
目次 [開く]
犬の問題行動とは
犬にとっては自然な行動であっても、飼い主さんにとって困る行動であれば、どんな行動であれ「問題行動」となります。
一般的に、以下のような行動が「犬の問題行動」になる傾向があります。
- 甘噛み
- 無駄吠え
- トイレが覚えられない
- 食糞行動
- 飛びつき
関連記事
犬の気持ちがわかれば問題行動は減る?
犬は理由もなく、問題行動を起こしているわけではありません。
理由が分かれば、適切な対策やしつけができるため、行動自体を減らすことにもつながりますが、それよりも、理由がわかることで飼い主さんが問題だと思わなくなるということのほうが大きいでしょう。
犬の問題行動の種類と原因
噛みつき
【原因1】甘噛みから強い噛み癖へ発展
子犬の頃の甘噛みを「いつかなくなるだろう」と放っておくと、エスカレートして強い噛み癖になり、ケガをすることがあります。甘噛みのうちにやめさせましょう。
【原因2】いつも手で遊んであげている
おもちゃがない時に手を動かしてじゃらし遊びをしていた場合は「手=遊んでいいもの」と学習しています。手にじゃれてきた場合は叱ったりせず、遊びを中断して無視して立ち去りましょう。
【原因3】手で叩いたり足で蹴ったりしたことがある
しつけのつもりでも、叩かれたり蹴られたりした経験のある犬は、「手や足=痛いもの・怖いもの」という学習をしています。そのため「頭をなでようとしただけ」「足が少し当たってしまった」という日常の生活の中でも恐怖経験から、攻撃的になることがあります。
まずは、決して叩いたり蹴ったりはせず、手からおやつを与えるなど、ゆっくりと手や足に慣らしていきましょう。人の手は「なでてくれたり、おやつをくれるもの」ということを覚えさせることが大切です。
【原因4】触られるのが嫌い
犬によっては、触られることに慣れていなくて「犬の足を拭こうとしたら嫌がって噛み付いてくる」ということもあります。触れるようにするためには、ホールドやリラックスポジションをとることから始めましょう。
既に噛みつきがひどい場合は、犬に合わせたトレーニングが必要なこともありますので、ドッグトレーナーに相談しましょう。
【原因5】マズルコントロールをしている
犬が何かいけないことをして、押さえつけようとしたときに噛んでくるというのは、犬にとって防衛本能です。犬にとってマズルは弱い部分のため、力ずくでコントロールすることはしないようにしましょう。
触ってはいけないというわけではありません。マズルコントロールはとても難しい方法になります。安易にしつけの方法として使用しないようにしましょう。
吠え
いわゆる「無駄吠え」を指します。犬がどうして吠えているのかが分からないからこそ、間違った対処をし、吠えを強化している場合もあります。
無駄吠えは、吠えるたびに叱ったり押さえつけたりするのではなく、どうして吠えているのかを理解してあげることが問題解決の近道です。詳しくは下記関連記事をご覧ください。
トイレが覚えられない
「犬がトイレシートで排せつできない」ということも、飼い主さんを悩ませる行動の一つです。犬はもともと巣穴の中で生活していた動物です。寝床としている穴の中で排せつすることは、衛生的に良くないことを知っているため、必ず外へ出て排せつをします。
母犬が子犬のお尻などを舐めて排せつを促し、そのまま食べてしまうことにもそういった理由があります。詳しくは関連記事をご覧ください。
食糞行動
【原因1】トイレが汚い
犬はきれい好きな動物です。トイレシートがいつまでも汚れたままだと、自分で食べて片付けることがあります。排せつしたらすぐに片付けてあげましょう。【原因2】おいしいにおいがする
フードによっては、便になってもおいしい匂いがするから食べるということがあります。獣医師に相談してフードを変えてみましょう。【原因3】飼い主さんにかまってもらえる
便を食べることで、飼い主が「ダメ!」などと反応してかまってくれると知っているため、わざと食糞をすることがあります。愛犬と接する時間を見直してみましょう。もしあまり時間がとれていなければ、たくさん遊んであげることが必要です。
それでも食糞をしてしまったときは、怒ったりせず静かに片付けてあげましょう。
【原因4】お腹が空いている
ごはんの量が足りない場合に、仕方なくうんちを食べることもあります。ごはんの量は最適かどうか、愛犬の体重から食事の量を見直してあげましょう。【原因5】癖になってしまった
食糞をするきっかけを取り除いてもする場合は、食糞をすることが癖になってしまっていることが考えられます。排せつをしたら食糞する前に名前を呼び、おやつをあげてたくさん褒めてあげましょう。
飛びつき
飼い主さんが帰ってきたときなど、嬉しくて飛びついてくる行動も問題となることがあります。小型犬の場合は問題だと感じる人は少ないと思いますが、中型犬・大型犬となると飛びつかれただけで転んでしまうこともあります。
ダックスフンドやコーギーなどの胴の長い犬種はヘルニアなどの病気を引き起こす可能性があるため、早期に対策をとることをおすすめします。
【原因1】興奮して飛びつく
飼い主さんが帰ってきて嬉しいときや、興奮したときに飛びついてきます。飛びついてきているときはどんなに可愛くても無視が一番です。飼い主さんだけでなく、お客さんなどにも飛びつく場合は、事前に無視してもらうように協力してもらいましょう。
犬が落ち着いてから、目一杯撫でてあげましょう。
【原因2】欲しいものが高い位置にある
おやつやおもちゃなど、欲しいものがあるときに飛びついてきます。飛びついている間はあげないようにして、愛犬が落ち着いておすわりや伏せなどの指示が聞けたらおやつをあげたり、おもちゃで遊んであげたりしましょう。