犬の口臭がひどい……考えられる原因・病気、対策などを獣医師が解説

犬の口臭がひどい……考えられる原因・病気、対策などを獣医師が解説

犬の口臭がきついという症状には、さまざまな原因があります。愛犬の口臭がアンモニア臭だったり、ドブ臭かったり……。市販の口臭スプレーやサプリメント、デンタルガムなどの口臭ケアグッズを与えても一時的にもまったく改善が見込まれない場合、与え方が間違っているか、病気が潜んでいる可能性があります。今回は犬の口臭がひどい場合に考えられる原因や病気、予防法を目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師の佐藤が解説します。

犬の口臭がひどい場合に考えられる原因と病気

犬

犬の口が臭い場合に考えられる原因・病気は以下の6点が考えられます。

  • 歯周病
  • 腎臓病
  • 糖尿病
  • 腫瘍
  • 胃炎・便秘など
  • 唾液の減少

歯周病

口臭、口の痛み、よだれで最も多くみられる原因は、歯周病です。歯垢は歯周病菌と食べ物の残りカスの塊のようなもの。

歯垢自体が強い匂いを発すると共に、歯周病菌によって歯肉が炎症を起こし、ただれることによってもっと強い匂いが生じます。

この場合、ひどい匂いだけではなく、炎症を起こした歯茎からの出血や、ときにはご飯を食べれないほどの強い痛み、ねっとりとした多量のよだれが見られることもあります。



腎臓病

腎臓病が悪化し、尿として体の外に排泄されるはずの老廃物が血液の中に多量に残ってしまった状態(尿毒症)では、独特の口臭やよだれの増加が認められることがあります。

糖尿病

糖尿病になると、体の中に取り込んだ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなった結果、ケトン体という物質が作られます。

この時、口臭のみならず、身体からケトン臭という甘酸っぱい独特の匂いが放たれます。また、糖尿病が悪化するとよだれの増加が見られることもあります。



腫瘍

口の中のデキモノによって、強い口臭、ねっとりしたよだれの増加や口の痛みといった症状が出ることがあります。

とくに大型犬では、歯周病から歯茎が盛り上がる良性のデキモノもありますが、口の中にできるデキモノは、割合として悪性の場合が多く、注意が必要です。

胃炎、便秘など

ごくまれに、胃炎や重度の便秘、異物や腫瘍による腸の閉塞などの消化器の異常によって、口臭やよだれの増加が認められることがあります。

唾液の減少

病気ではありませんが、加齢や薬の副作用など、さまざまな原因による唾液が減少することがあります。唾液が減少することで、口腔内細菌の増殖し活動が活発になり、口臭が強くなることがあります。ただ、この場合は歯周病を引き起こしている可能性が高いです。

犬の口臭への対策

コーギー

唾液の減少による口臭の場合、唾液を増やしてあげることで緩和させることができます。唾液を出すためには「噛む」ことが必要になります。

市販のデンタルガムは唾液を出させるために固く作られているので対策のひとつにはなりますが、飼い主さんが持ってあげながら与えることをおすすめします。

ただ与えるだけだと飲み込めるサイズになったら噛まずに丸呑みしてしまうので、与えている間ずっと飼い主さんが持ってあげて、たくさん噛ませることをしましょう。

その他市販の口臭ケアグッズとしてサプリメントや口臭スプレーが販売されておりますが、サプリメントでいうと口臭の原因の何に効くサプリメントかによって有効かどうか変わります。

口臭スプレーも一時的な改善は見込めるかもしれませんが、根本的な解決にはならない可能性があります。いずれにせよ、市販のグッズだけでは万全な口臭ケアとは言いづらく、病気が原因の口臭である可能性が高いため、動物病院での診察をおすすめします。

ヨーグルトは口臭ケアに使える?

ヨーグルトを食べさせてあげることによって口臭予防になるという話もありますが、すべてのヨーグルトが効くわけではありません。

善玉菌が増えることによって口臭を抑えるという効果はあるかもしれませんが、あくまでも補助程度で、口臭ケアには定期的な歯磨きが1番です。


犬の口臭がひどいときの治療法

窓から外を見る犬

上記のように犬に口臭がある場合は「病的なもの」と「病的ではないもの」原因がありますが、「病的なもの」のほうが可能性は高いでしょう。

病的ではない場合、歯の周りに付着した歯石に菌が繁殖して歯周病まではいかないものの、異臭を放っている場合は歯石を取り除きます。

歯石もなく、口臭がある場合は病気である可能性が高いため全身の検査と口臭以外の症状がないか確認します。それによって原因を突き止め、その原因にアプローチする治療を行います。

歯磨きの仕方

犬によっては簡単に歯磨きをさせてくれる子もいますが、最初から無抵抗というのはまれでしょう。以下の手順を参考に、焦らずにまずは歯ブラシを慣らすことから始めてください。

Step1.歯ブラシを見せる

犬の歯ブラシの慣らせ方

最初は歯ブラシを見せるだけです。歯ブラシを見てもいい子にしていたら、褒めておやつをあげましょう。2〜4週間くらい続けて、歯ブラシを見せたら喜んで寄ってくるくらいになると良いです。

Step2.歯ブラシで体をタッチ

犬の歯ブラシの慣らせ方

歯ブラシでマズルや頭を優しく撫でてあげましょう。いい子にしていたら、褒めておやつをあげましょう。これも2〜4週間くらい繰り返し、歯ブラシで触られても気にしないようにしましょう。

Step3.歯ブラシで歯をタッチ

犬の歯ブラシの慣らせ方

歯ブラシで犬歯の先端や歯茎をチョンチョンとタッチしてみましょう。いい子にしていたら、褒めておやつをあげましょう。これも2〜4週間くらい繰り返し、歯ブラシで口の中を触られても気にしないようにしましょう。

大丈夫そうなら奥歯など場所を変えて、ゆっくりゆっくり慣れさせていきます。「歯ブラシ=楽しいもの」だと思って、歯ブラシを見たら寄ってくるようになれば万々歳です。

Step4.歯を磨く

磨き方は、基本的に人と同じです。歯の表面を磨くのではなく、毛先が歯と歯茎の隙間である歯周ポケットに入るように磨いてください。

ペンを持つように磨くのが良いと思います。歯磨きの後は、うがいをさせる必要はありませんし、その後にごはんやおやつを与えてもかまいません。

まずは犬歯だけ磨いて、きれいに磨かせてくれたら大げさに褒めてあげましょう。歯の裏側は非常に磨くのが難しいです。裏側はあまり歯石がつかないのでそこまで磨く必要はありませんが、ちょっとだけ口を大きめに開けて磨いてあげると良いでしょう。

その他、歯磨きの際の注意点や正しい歯磨きの動画など、詳細は以下の以下の関連記事をご覧ください。


歯磨きの習慣を身につけましょう

犬2匹

歯磨きが習慣化していることが最大の口臭予防になります。口臭だけでなく、歯周病の予防にもなるので、子犬はもちろん、成犬でも遅くはないので根気よく歯磨きをしていきましょう。

あまりにも愛犬が歯磨きを嫌がる場合は獣医師と相談の上、口腔内ケアを行っていくことをおすすめします。


第2稿:2020年3月11日 公開
初稿:2016年1月23日 公開

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