【トレーナー・獣医師監修】オーストラリアンキャトルドッグってどんな犬?性格・特徴・育て方・迎え方
日本ではあまり馴染みのない犬種ですが、ハリウッド映画『マッドマックス2』にも出演したことのあるオーストラリアンキャトルドッグ。実は、最も長生きした犬としてギネスに登録されているのもこの犬種なのです。今回はそんなオーストラリアンキャトルドッグの性格や歴史、ケアの仕方などを紹介します。
この記事を監修している専門家
佐藤貴紀獣医師
獣医循環器学会認定医・PETOKOTO取締役獣医師獣医師(目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC、隅田川動物病院、VETICAL動物病院)。獣医循環器学会認定医。株式会社PETOKOTO取締役CVO(Chief veterinary officer)兼 獣医師。麻布大学獣医学部卒業後、2007年dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長に就任。2008年FORPETS 代表取締役 兼 白金高輪動物病院院長に就任。2010年獣医循環器学会認定医取得。2011年中央アニマルクリニックを附属病院として設立し、総院長に就任。2017年JVCCに参画し、取締役に就任。子会社JVCC動物病院グループ株式会社代表取締役を兼任。2019年WOLVES Hand 取締役 兼 目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC院長に就任。「一生のかかりつけの医師」を推奨するとともに、専門分野治療、予防医療に力をいれている。
オーストラリアンキャトルドッグの基礎知識
Photo by rikabukuさん Thanks!
英語表記 | Australian Cattle Dog |
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原産国 | オーストラリア |
サイズ | 中型犬 |
体高 | 男の子:46~51cm 女の子:43~48cm |
体重 | 15〜22.5kg |
寿命 | 12~16歳 |
オーストラリアンキャトルドッグは、頭文字をとって「ACD」と表記されたり「ブルーヒーラー(Blue Heeler)」「クイーンズランドヒーラー(Queensland Heeler)」という愛称で呼ばれたりすることもあります。
オーストラリアンキャトルドッグの歴史
オーストラリアには当時、イギリスから輸入されたオーストラリア初の牧羊犬「スミスフィールドキャトルドッグ(Smithfield Cattle Dog)」と呼ばれる犬がいました。しかし、高い気温や起伏の多い地形、長い距離を歩く環境など、スミスフィールドキャトルドッグにはオーストラリアの暮らしが合っていませんでした。
そこで牧畜業者たちは、オーストラリアに生息する野犬ディンゴや、同じく牧羊犬のコリーをスミスフィールドと掛け合わせるなどして、オーストラリアの暮らしに対応できる牧羊犬を作ろうとしたことがオーストラリアンキャトルドッグ誕生のきっかけです。
その時にオーストラリアンキャトルドッグの原型となる犬種が誕生しました。
その後、その犬種にダルメシアンを掛け合わせて生まれたのが現在のオーストラリアンキャトルドッグであるといわれています。
オーストラリアンキャトルドッグの大きさと寿命
オーストラリアンキャトルドッグの体高は男の子が46~51cm、女の子が43~48cmほど。体重はおよそ15〜22.5kgになります。寿命は12〜16年ほどといわれていて、実は世界で最も長生きした犬としてギネスに登録されているのもオーストラリアンキャトルドッグなのです。
1939年に29歳で亡くなったオーストラリアンキャトルドッグのブルーイは、約20年ものあいだ牧牛犬として働き続けました。
オーストラリアンキャトルドッグの被毛・毛色
屋外で働くことを目的に生まれたオーストラリアンキャトルドッグは、ダブルコートを持つ犬種です。オーストラリアンキャトルドッグの毛色には、大きくわけて「ブルー」と「レッド」が存在します。
ブルー
Photo by Zingpix
レッド
オーストラリアンキャトルドッグの性格
オーストラリアンキャトルドッグは非常に賢い犬種です。あらゆるものに興味を持つという好奇心旺盛な面もあり、毎日まとまった運動をさせることが不可欠であるといわれています。
オーストラリアンキャトルドッグの育て方
オーストラリアンキャトルドッグは好奇心旺盛でとても賢く、エネルギーに溢れた犬種であるオーストラリアンキャトルドッグには、常に何かをさせてあげることが大切です。
オーストラリアンキャトルドッグのしつけ方
新しいことにチャレンジするのが大好きなオーストラリアンキャトルドッグには、飼い主と一緒にできるスポーツやアジリティーなど、頭とエネルギーを使うアクティビティーをさせてあげることが推奨されています。エネルギーを発散させてあげないと、他に興味を持ったオーストラリアンキャトルドッグは、いたずらをすることに頭を使う可能性があるためです。
オーストラリアンキャトルドッグのお手入れケア
オーストラリアンキャトルドッグの被毛には匂いや皮脂がつきにくいといわれており、そのためブラッシングは週に1度程度でよいとされています。シャンプーも、汚れたときのみでよいでしょう。ただし、換毛期には大量の抜け毛が出るため、2、3日に一度、コームなどで丁寧にブラッシングをしましょう。
他の犬種と同じように、耳や爪、歯は定期的にお手入れしてあげてください。
オーストラリアンキャトルドッグの体型・体重管理
健康な毎日を過ごすためには、適切な体型・体重を保つことが欠かせません。定期的に体重を量ることは重要ですが、適正体重は成長とともに変化します。同時に「ボディ・コンディション・スコア」(BCS)という評価指標を利用することで適正な体型・体重を維持することができます。参照:『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』(環境省)
PETOKOTOのYouTubeチャンネルでは獣医師の佐藤先生が体重の測り方やボディコンディションスコアの確認方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
オーストラリアンキャトルドッグのドッグフード
犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。
1. 総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。
実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。
ペトコトフーズの公式HPを見る
オーストラリアンキャトルドッグのかかりやすい病気
オーストラリアンキャトルドッグ専門の健康福祉団体ACDHEW, Inc.によると、オーストラリアンキャトルドッグは「股関節異形成」や「難聴」になりやすいとされています。また、2歳を超えたオーストランキャトルドッグにはレントゲンを使った肘関節の検査が推奨されています。
オーストラリアンキャトルドッグに似ている犬種
オーストラリアンキャトルドッグに似ている犬種を紹介します。オーストラリアンスタンピーテイルキャトルドッグ
Photo by Wendy Hodges
オーストラリアンスタンピーテイルキャトルドッグは、スタンピーテイル(Stumpy Tail、訳:太く短い尾)という名のとおり、断尾されたオーストラリアンキャトルドッグであると誤解されることが多いですが、同じ祖先を持つ違う犬種です。
生まれつき短い尾を持つことが多いことからスタンピーテイルという名がつけられました。
体高や体重、毛色などはほとんど同じですが、オーストラリアンスタンピーテイルキャトルドッグのほうがオーストラリアンキャトルドッグより足が長いのが特徴です。
オーストラリアンスタンピーテイルキャトルドッグはジャパンケネルクラブ(JKC)に登録されていません。
オーストラリアンケルピー
オーストラリアンケルピーは、ジャパンケネルクラブにも登録されている犬種です。
体高・体重ともにほぼ同じで、顔立ちもとても似ています。オーストラリアンキャトルドッグの毛色は基本的にはブルーとレッドの2パターンですが、オーストラリアンケルピーにはブラック一色やブラックタンなどのバラエティーがあるという違いがあります。
オーストラリアンキャトルドッグの鼻は黒いですが、オーストラリアンケルピーの鼻は身体の色に合った色とされています。
オーストラリアンキャトルドッグの迎え方
一度家族に迎えたら、子犬から老犬になっても大切に、命に責任を持ちましょう。白髪も生えれば、病気にもかかるかもしれません。お金がかかるのは家族に迎える時だけではないことを踏まえ、もう一度考えた上で迎えることを検討してください。
保護犬から迎える
保護され、里親を探している犬は雑種だけでなく、血統書のある犬も多くいます。
ペトコトの姉妹サイトである保護犬・保護猫マッチングサイト「OMUSUBI(お結び)」も、ぜひ覗いてみてください。
OMUSUBIで保護犬猫を探す
ブリーダーから迎える
好きな毛色や、血統など気にするのであれば、信頼できるブリーダーから迎えるという方法もあります。実際に見学に行き、どんな環境で飼育されているのかを確認することも必要ですが、飼う上でのアドバイスも直接聞くことができます。
ペットショップから迎える
オーストラリアンキャトルドッグは、日本ではまったく見ない犬種のため、お店に足を運ぶ前に、情報をチェックしてみましょう。オーストラリアンキャトルドッグとドッグスポーツを楽しもう!
すでに毎日運動している人はもちろん、運動を日課にしたいご家族にぴったりなオーストラリアンキャトルドッグ。家族でいろんなところへお出かけして、たくさんの思い出を作ってくださいね。
参考文献
- 「Australian Cattle Dog」(アメリカンケネルクラブ)
- 「オーストラリアンキャトルドッグ」(ジャパンケネルクラブ)
- 「Australian Cattle Dog 」(オーストラリアンナショナルケネルカウンシル)
- 「Australian Stumpy Tail Cattle Dog」(オーストラリアンナショナルケネルカウンシル)