
【獣医師執筆】犬がドライフードを食べない原因とは?わがまま・老犬・おやつだけ食べる時の対処法など
愛犬がドライフードを食べなくなったら飼い主さんとしては心配ですよね。本記事は、犬がドライフードを食べない原因を獣医師の佐藤が解説します。健康上の問題やわがまま、老犬など、理由はさまざま。カリカリだけ食べない時や手であげると食べる場合の対処法なども紹介します。
犬がドライフードを食べない原因

犬がドライフードを食べない主な原因として、以下の5点が考えられます。それぞれ詳しく解説します。
- 健康上の問題
- 嗜好性の問題
- 年齢ごとの問題
- ストレスや環境の変化
- わがまま
1. 健康上の問題
何かしら体に問題があって食欲が無い、もしくは食欲はあるけど食べられない可能性があります。
口や喉の異常 | 重度の歯周病や歯が折れたことによる痛み、のどの炎症による痛み |
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消化管の異常 | 「飲み込みたいけど、うまく動かなくて飲み込めない」という運動機能の異常、腫瘍による閉塞 |
異物の誤飲 | おもちゃやティッシュなど異物による閉塞 |
上記以外にも食欲不振はあらゆる病気の症状として見られる可能性があります。急に食べなくなったり、他にも気になる症状が見られたりする場合は動物病院へ行くようにしてください。
2. 嗜好性の問題

私たちに食べ物の好き嫌いがあるように、犬にも好き嫌いがあります。一般的に犬はタンパク質が多い食事を好むと言われていますが、炭水化物が多い食事を好む犬もいます。食いつきを良くするための香料や動物性油脂など添加物たっぷりのジャンキーな味が好きな犬も少なくないでしょう。
もちろん何も食べないよりは食べたほうがいいのですが、「食いつきが良い=体に良い」というわけではありません。余計な添加物は体の負担になりますので、できる限り健康的なごはんの中から愛犬が喜んで食べるものを見つけてあげましょう。
3. 年齢ごとの問題
子犬やシニア犬(老犬)など、年齢特有の理由でドライフードを食べない可能性があります。
子犬がドライフードを食べない理由
子犬は歯が生え揃っていないために噛むのが難しかったり、ドライフードの大きさや硬さが子犬に適していなかったりする可能性があります。子犬に適したフードを選ぶことが大切です。
ドライフードならぬるま湯でふやかすと食べやすくなりますし、水分摂取にもつながります。ドライフードに犬用のスープや野菜を加えて香りや味を強調し、食べる意欲を高めるのもいいでしょう。
ペトコトフーズのようなオールステージ対応のウェットフードもお薦めです。また、子犬がリラックスして食事に取り組める環境を整えることも大切です。
詳しくは以下の関連記事も参考にしてください。
シニア犬(老犬)がドライフードを食べない理由
シニア犬も歯や歯茎の問題で噛むのが痛かったり、老化で消化機能や嗅覚、味覚が衰えたりして食べなくなっている可能性が考えられます。
シニア犬にとって硬いドライフードは食べやすい形状とは言えませんので、柔らかく食べやすいウェットフードに変更するといいでしょう。
ただし、犬も年を取ると運動量が減り、若い頃のような食欲はなくなって食べる量も減っていきます。体重や体型に急激な変化がない限りは正常な変化と考えて大丈夫です。
詳しくは以下の関連記事を参考にしてください。
3. ストレスや環境の変化

繊細な子だと、飼い主さんの声や周囲の音や光、人や同居動物の存在など、さまざまなストレスによって食事に集中できない場合があります。
例えば、食事の場所を交通量の多い通りに面した部屋から静かな部屋に変えただけで食べるようになる犬もいます。クレートやサークルを使って落ち着いて食事ができる場所を作ってあげるのもいいでしょう。
もう一つのパターンとして、食事の際に起きた嫌なことがトラウマのようになって集中力を削いでいる可能性も考えられます。意図せず大きな音を立ててしまったり、いたずらでびっくりさせてしまったり、早く食べるように叱ったりしたことが原因になっているかもしれません。
いずれにしても明らかな原因がない場合は、飼い主さんだけでそれを見つけるのは難しいかもしれません。ドッグトレーナーや行動診療科の獣医師などの専門家に相談して、考えられる原因を一つずつ確認していくことが大切です。
4. わがまま
愛犬が好む食べ物ばかり与えたり、食べないからといってすぐに別のものを与えたりすると、犬は飼い主が自分の好みに合わせて食べ物を提供してくれると学習してしまいます。
一定時間がたっても食べない場合は「食べないなら食事はおしまいです」と片付けてしまいましょう。
もちろん「何も食べない愛犬を見ているのはつらい」と思うでしょうが、愛犬のことを想うなら「これはどっちが先に諦めるか、忍耐勝負なんだ」と覚悟を決めることが重要です。
ただし、愛犬が健康で体型も痩せ型ではないことが前提です。いつまでも食べない場合や体調不良が疑われる場合は動物病院に相談してください。
偏食について、以下の動画も参考にしてください。
\偏食について動画で解説/
犬がドライフードを食べない際の対処法
犬がドライフードを食べない場合、以下の方法を検討してみてください。
- 健康状態のチェック
- ドライフードの種類を変える
- 食事の雰囲気を変える
- トッピングやウェットフードの活用
1. 健康状態のチェック
病気で食べない可能性もありますので、急に食べなくなったり、他にも気になる症状が見られたりする場合は動物病院へ行くようにしてください。定期的な健康診断も欠かさないようにしましょう。
2. ドライフードの種類を変える

愛犬の好みに合わせて味を変えてみるといいでしょう。ただし変える際は急に変えず、1週間ほどかけて少しずつ置き換えていくことが重要です。食べないからといってコロコロ変えると偏食を悪化させてしまいます。
ケミカルな味が嫌いな子や「カリカリ」の形状が嫌いな子もいますので、ペトコトフーズのように素材本来の味が楽しめるフレッシュフードに変えてみるのもいいかもしれません。
\フレッシュフードについて動画でチェック!/
3. 食事の雰囲気を変える
食事の場所や時間を変えてみることで、愛犬がリラックスして食事を楽しめるようになるかもしれません。
食器の高さや材質を変えることで食べやすさが向上することもあります。床に直接置かず、愛犬の肩の高さにしてあげると食べやすくなります(犬によって好みの高さは違いますので適宜調整してください)。
4. トッピングやウェットフードの活用
ドライフードにペトコトフーズのようなフレッシュフードや野菜、犬用のスープなどをトッピングすることで、食いつきが良くなる場合もあります。
ただし、スープやおやつに頼りすぎると栄養バランスが崩れることがあります。与え過ぎには注意しましょう。
犬がドライフードを食べない際によくある悩み

よく「ドライフードは食べないのにおやつだけは食べる」「手であげると食べる」といったお悩みを頂きます。
1. ドライフードは食べないのにおやつは食べる
主食は食べないけどおやつは食べるというケースは珍しくありません。おやつは味や香りが強く、犬にとって魅力的な食べ物ですから、そればかり食べたいと思うのも仕方ないでしょう。
だからといっておやつばかり与えていれば栄養失調になって体を壊してしまいます。
わがままの項目で前述しましたが、「何も食べない愛犬を見ているのはつらい」と思っても「これはどっちが先に諦めるか、忍耐勝負なんだ」と覚悟を決めて、おやつは1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。
毎日の最適カロリー量は、ペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。
2. お皿では食べなくても手であげると食べる
飼い主との信頼関係が強く、手からでしか食べない子もいます。それ自体が問題ではありませんが、飼い主さんの負担が大きく生活に支障がある場合は、接し方を見直す必要があるでしょう。
お皿からしか与えないようにして食べるようになればいいのですが、難しい場合は、ドッグトレーナーや行動診療科の獣医師などの専門家に相談することをお勧めします。
犬は何日食べなくても大丈夫?
健康な成犬であれば、1〜2日程度の絶食であればそこまで心配はいりません。
ただし、子犬・老犬・持病がある犬は別です。半日〜1日でも食べない場合はすぐに獣医師に相談するようにしましょう。
「何日なら大丈夫」と判断するのは危険です。体重・年齢・体調によって耐えられる日数は大きく異なります。
犬がドライフードを食べない場合におすすめのごはん

犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。
1. 総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。
総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。
保存しやすく食いつきも良いことから一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。
新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。
そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。
もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。

実際に、従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。

まとめ

犬がドライフードを食べない理由はさまざまですが、原因を見極め適切な対策を行うことで、愛犬の食欲を取り戻すことができます。飼い主さんだけで悩まず、ドッグトレーナーや獣医師に相談することも大切です。愛犬の状態をよく見て、適切なケアを心がけましょう。
参考文献
- 「小動物の臨床栄養学 第5版」
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