胃腸の弱い犬にオススメのドッグフードを栄養管理士が解説 消化吸収に良い食材から軟便ケアまで
愛犬の胃腸が弱く、軟便や下痢で困っている飼い主さんは少なくないと思います。胃腸をケアする食材や消化吸収の良いドッグフードについて、ペット栄養管理士が解説します。#犬の食育
目次
- 犬の胃腸が弱る主な原因
- 1. 手作りごはんが原因で胃腸が弱っている
- 2. 食事の急な変更が原因で胃腸が弱っている
- 3. アレルギーが原因で胃腸が弱っている
- 4. 腸内環境の悪化が原因で胃腸が弱っている
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犬の胃腸が弱る主な原因
犬が食事をすると、食物は食道を通って胃へ運ばれます。胃で胃酸と消化酵素が食物を分解し、十二指腸から小腸までの間に栄養素の大部分が吸収されます。大腸では水分の吸収が行われ、最終的に残った不要物はうんちとして体外へ排出されます。
健康的な犬の便は深い茶色から薄い茶色の範囲で、しっかりとした硬さを保っているのが特徴です。しかし、それが軟便になったり下痢をしたりする場合、主な原因として「病気」と「食事」が考えられます。
1. 病気で犬の胃腸が弱る場合
以下の原因が考えられます。- 消化機能、神経、代謝の異常
- 悪性腫瘍
- 感染症(細菌、ウイルス、寄生虫)
急に胃腸が弱くなり、食欲や元気が無くなったり、体重減少が見られる場合は注意が必要です。緊急性の高い病気の可能性もありますので、かかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
2. 食事で犬の胃腸が弱る場合
以下の原因が考えられます。それぞれ詳しく解説します。- 手作りごはんによる栄養失調
- 急な食事の変更
- アレルギー
- 腸内環境の悪化
- NG食材や薬物、毒物の誤飲・誤食
NG食材や薬物、毒物の誤飲は一刻を争う場合もありますので、疑われる場合はすぐに動物病院に行くようにしてください。
1. 手作りごはんが原因で胃腸が弱っている
ペトコトでは、手作りごはんを毎日の食事にすることを推奨していません。それは犬に必要な栄養がバランス良く摂れるごはんをつくることが簡単ではないからです。栄養の過不足があれば犬は病気になり、その症状として軟便や下痢になる可能性があります。
実際、犬が体調を崩したため病院に行ったところ、原因は手作りごはんだったというケースは珍しくありません。特別な日のごはんや、ちょっとしたトッピングであれば問題ありませんが、毎日のごはんはペトコトフーズのような総合栄養食を選ぶようにしてください。
2. 食事の急な変更が原因で胃腸が弱っている
毎日いろいろな料理を食べる私たちと違って、犬は決まったごはんを食べ続けるのが一般的です。犬のお腹はそのごはんに合った環境になっていますので、急にいつもと違うごはんを食べるとお腹がびっくりして下痢になってしまうことが少なくありません。ごはんを変えるときは、1週間を目安に少しずつ置き換えるとお腹への負担が少なくなります。初めの6日間は今までのフードを中心に、新しいフードの量を少しずつ増やしながら徐々に慣れさせていきましょう。
1〜2日目 | 新規フード25% | 既存フード75% |
---|---|---|
3〜4日目 | 新規フード50% | 既存フード50% |
5〜6日目 | 新規フード75% | 既存フード25% |
7日目以降 | 新規フード100% | 既存フード0% |
ドッグフードを切り替えた際に下痢になる理由と対処法について、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
3. アレルギーが原因で胃腸が弱っている
アレルギー反応によって下痢が生じる場合があります。その際、痒がるなどの皮膚疾患を伴うことが多くあります。原因は大きく「環境アレルゲン」と「食物アレルゲン」の二つにわけることができます。
環境アレルゲンは、ハウスダスト、花粉(スギ、ヒノキ、ヨモギ、ブタクサなど)、ダニ、ゴキブリ、ラテックス(ゴム)、マラセチア(真菌)などがあります。食物アレルゲンで多いのは牛肉や乳製品、鶏肉、小麦です。
※参照:『Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats』(BMC Veterinary Research)
アレルギー検査の結果は参考として考える
胃腸が弱い理由がアレルギーではないかと疑う場合、「アレルギー検査を受けたほうがいいのでは?」と考える飼い主さんは多いと思います。しかし、「陽性であること」と「症状が出ること」はイコールではない点に注意が必要です。
特に食物アレルギーの場合、アレルギー検査で陽性の食品が出たとしても、その結果だけで陽性の食品がアレルゲンであると断定することはできません。アレルゲンは「除去食試験」を受けて確定します。
飼い主さんの判断で「うちの子は◯◯アレルギーだから」と決めつけてしまうと、愛犬の食の選択肢を不必要に狭めてしまうことにつながります。
4. 腸内環境の悪化が原因で胃腸が弱っている
腸内環境が悪化すると下痢や軟便が起こりやすくなります。例えば抗生物質を飲むと腸内細菌も死んでしまうため便が緩くなることがありますし、ストレスが原因で腸内環境が悪くなることもあります。近年の研究では、うつ病の人と胃腸が弱い人には関連(脳腸相関)があることも分かってきました(※)。
以下のような要因に心当たりがないか確認してみてください。
- ドッグフードの急な変更
- 抗生物質など薬の摂取
- 過度な食事制限
- 精神的ストレス
- 運動不足や睡眠不足
- 腸内環境を整える食材の不足
- 感染症や慢性疾患による免疫機能の低下
腸内環境を整える食べ物やサプリメントもありますので、関連記事を参考にしながら与えてみてください。
参照︰「うつ病・自閉症と腸内細菌叢」(腸内細菌学雑誌)
消化吸収の良いドッグフード
胃腸の弱い愛犬のために消化吸収の良いドッグフードを探している飼い主さんも多いと思いますので、選び方を3つのポイントにわけて紹介します。
- 食物繊維は不溶性より水溶性
- 弱っているときは発酵食品を控える
- 油分の多いフードは避ける
1. 食物繊維は不溶性より水溶性
不溶性食物繊維は腸の動きを活発にさせるため便秘の子には良いのですが、軟便や下痢が多い子には腸の動きを整えてくれる水溶性食物繊維がオススメです。例えば海苔にはポルフィランという水溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維が多い食材は、小麦やトウモロコシ、さつまいもなどの芋類、かぼちゃ、ほうれん草、ごぼう、オクラ、豆類が挙げられます。果物だとキウイや皮付きのリンゴ、柿、びわがそうです。下痢気味のときにこれらを食べると悪化させてしまう可能性があります。胃腸が弱っている際は避けるようにしましょう。
2. 胃腸が弱っているときは発酵食品を控える
近年、納豆やヨーグルトなど胃腸に良いとされる発酵食品が逆に胃腸に負担をかけてしまう可能性があることがわかってきました。胃腸が弱っているときはさつまいもや豆類の摂取を避けるようにしましょう。果物だとリンゴよりバナナがオススメです。
ペトコトフーズにもサツマイモを含むメニューがありますので、そのときの体調に合わせ、原材料を確認しながら最適なメニューを選択していただければと思います。
3. 油分の多いフードは避ける
ドッグフードには犬にとって必須の脂肪酸であるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸が含まれています。ドライフードの場合は、さらに食いつきを良くするため動物油脂などを使ったオイルコーティングをしているフードもあります。
ドライフードを保管していて、油が出てきてベタベタした経験はありませんか? パッケージを見ていただくと原材料欄に「動物性油脂」といった表記があるかもしれません。酸化した油は消化に良くありませんので、胃腸の弱い子は避けましょう。油分が多く酸化のリスクもあるドライフードは、胃腸の弱い子には向いていません。
まとめ
胃腸が弱い原因は病気とは限らない
手作りごはんで胃腸を悪くすることがある
アレルギー食材を知るには検査より除去食試験
フードをコロコロ変えると胃腸に負担をかける
飼い主さんの利便性(値段、保管性、与えやすさなど)や愛犬の食いつき(ジャンクフードを好むのは人も犬も同じ)に惑わされず、長生きしてもらうために何を食べさせるべきなのかという視点でフードを選ぶようにしてください。
【動画解説】ドッグフードの選び方・犬の下痢
YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは、獣医師の佐藤先生がドッグフードの選び方や犬の下痢について解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。気になることがあれば専門家に聞いてみよう!
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