
胃腸の弱い犬にオススメのドッグフードを栄養管理士が解説 消化吸収に良い食材から軟便ケアまで
愛犬の胃腸が弱く、軟便や下痢で困っている飼い主さんは少なくないと思います。胃腸をケアする食材や消化吸収の良いドッグフードについて、ペット栄養管理士が解説します。#犬の食育
愛犬の胃腸が弱い理由を知る

犬が軟便になったり下痢をしたりする場合に考えられる原因として、大きく「病気」と「食事」にわけることができます。
病気で考えられる原因
- 消化機能、神経、代謝の異常
- 悪性腫瘍
- 細菌、ウイルス、寄生虫
急に胃腸が弱くなり、食欲や元気が無い場合は注意が必要です。緊急性の高い病気の可能性もありますので、まずはかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
食事で考えられる原因

- 手作りごはんによる栄養失調
- 食事を急に変更した
- アレルギー
- 腸内環境の悪化
- 薬物、毒物の誤飲
薬物や毒物の誤飲は一刻を争う場合もありますので、疑われる場合はすぐに動物病院に行くようにしてください。そのほかの考えられる原因について、細かく解説していきます。
1. 手作りごはんが原因で胃腸が弱っている

ペトコトでは、手作りごはんを毎日の食事にすることを推奨していません。5大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル)をバランス良く摂ることは難しく、過不足があれば体を壊してしまうからです。それによって軟便・下痢につながる可能性もあります。
手作りフードを食べさせていた愛犬が体調を崩したため病院に行ったところ、原因は手作りフードだったというケースもあります。愛犬に毎日食べさせるごはんは、犬に必要な栄養がバランス良く配合された「総合栄養食」を選ぶようにしてください。
特別な日のごはんや、ちょっとしたトッピングであれば手作りでも問題ありませんが、人が食べても大丈夫な食材でも犬が食べると中毒症状を起こす食材がたくさんあります。必ず犬が食べていいものかは確認するようにしますよう。
トッピングの適正量

トッピングするごはんは1日の最適カロリー量の10%以内になるように注意してください。1日の最適カロリー量は「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。
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2. 食事の急な変更が原因で胃腸が弱っている
毎日いろいろな料理を食べる私たちと違って、犬は決まったごはんを食べ続けるのが一般的です。犬のお腹はそのごはんに合った環境になっていますので、急にいつもと違うごはんを食べるとお腹がびっくりして下痢になってしまうことが少なくありません。ごはんを変えるときは、1週間を目安に変えるとお腹への負担が少なくなります。初めの6日間は今までのフードを中心に、新しいフードの量を少しずつ増やしながら徐々に慣れさせていきましょう。

1〜2日目 | 新規フード25% | 既存フード75% |
---|---|---|
3〜4日目 | 新規フード50% | 既存フード50% |
5〜6日目 | 新規フード75% | 既存フード25% |
7日目以降 | 新規フード100% | 既存フード0% |
ドッグフードを切り替えた際に下痢になる場合について、以下の関連記事もご覧ください。
3. アレルギーが原因で胃腸が弱っている

アレルギー反応によって下痢が生じる場合があります。その際、痒がるなどの皮膚疾患を伴うことが多くあります。原因は大きく「環境アレルゲン」と「食物アレルゲン」の二つにわけることができます。
環境アレルゲンは、ハウスダスト、花粉(スギ、ヒノキ、ヨモギ、ブタクサなど)、ダニ、ゴキブリ、ラテックス(ゴム)、マラセチア(真菌)などがあります。食物アレルゲンで多いのは牛肉や乳製品、鶏肉などです。

※参照:『Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats』(BMC Veterinary Research)
アレルギー検査は参考程度に受ける

胃腸が弱い理由がアレルギーではないかと疑う場合、「アレルギー検査を受けたほうがいいのでは?」と考える飼い主さんは多いと思います。しかし、「陽性であること」と「症状が出ること」はイコールではない点に注意が必要です。
特に食物アレルギーの場合、アレルギー検査で陽性の食品が出たとしても、その結果だけで陽性の食品がアレルゲンであると断定することはできません。アレルゲンは「除去食試験」を受けて確定します。飼い主さんの判断で「うちの子は◯◯アレルギーだから」と決めつけてしまうと、愛犬の食の選択肢を不必要に狭めてしまうことになります。
4. 腸内環境の悪化が原因で胃腸が弱っている

腸内環境は健康と密接に関わっており、その悪化によって胃腸が弱ったような症状を見せている可能性があります。抗生物質を飲んでいる場合は腸内細菌も死んでしまいますし、ストレスによって腸内環境が悪くなることも知られています。
また、先ほど2の「食事の急な変更が原因で胃腸が弱っている」でも説明しましたが、食事が変わると腸内細菌が新しい食事に対応できない場合があります。愛犬に合うドッグフードが見つからないと頻繁に変えている場合、それ自体が合わない原因になっている可能性があります。食べるものをコロコロ変えるのは避けて、腸内環境を整えるようにしてください。
腸内環境に良い食べ物やサプリメントもありますので、以下の関連記事を参考にしながら与えてみてください。
消化吸収の良いドッグフード

胃腸の弱い愛犬のために消化吸収の良いドッグフードを探している飼い主さんも多いと思いますので、選び方を3つのポイントにわけて紹介します。
- 食物繊維は不溶性より水溶性
- 弱っているときは発酵食品を控える
- 油分の多いフードは避ける
1. 食物繊維は不溶性より水溶性
不溶性食物繊維は腸の動きを活発にさせるため便秘の子には良いのですが、軟便や下痢が多い子には腸の動きを整えてくれる水溶性食物繊維がオススメです。例えば海苔にはポルフィランという水溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維が多い食材は、小麦やトウモロコシ、さつまいもなどの芋類、かぼちゃ、ほうれん草、ごぼう、オクラ、豆類が挙げられます。果物だとキウイや皮付きのリンゴ、柿、びわがそうです。下痢気味のときにこれらを食べると悪化させてしまう可能性があります。胃腸が弱っている際は避けるようにしましょう。
2. 胃腸が弱っているときは発酵食品を控える

近年、納豆やヨーグルトなど胃腸に良いとされる発酵食品が逆に胃腸に負担をかけてしまう可能性があることがわかってきました。胃腸が弱っているときはさつまいもや豆類の摂取を避けるようにしましょう。果物だとリンゴよりバナナがオススメです。

PETOKOTO FOODSにもサツマイモを含むメニューがありますので、そのときの体調に合わせ、原材料を確認しながら最適なメニューを選択していただければと思います。
3. 油分の多いフードは避ける

ドッグフードには犬にとって必須の脂肪酸であるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸が含まれています。ドライフードの場合は、さらに食いつきを良くするため動物油脂などを使ったオイルコーティングをしているフードもあります。
ドライフードを保管していて、油が出てきてベタベタした経験はありませんか? パッケージを見ていただくと原材料欄に「動物性油脂」といった表記があるかもしれません。酸化した油は消化に良くありませんので、胃腸の弱い子は避けましょう。油分が多く酸化のリスクもあるドライフードは、胃腸の弱い子には向いていません。