中型犬はしつけしやすい? 小型犬・大型犬との違いや、意識すべきポイントを解説

中型犬はしつけしやすい? 小型犬・大型犬との違いや、意識すべきポイントを解説

中型犬を飼っている飼い主さんは意外と多く、しつけや問題行動の相談もよくあります。一見、中型犬は牧羊犬や使役犬などが多いことから「賢い」というイメージがあり、「しつけやすい」と思われる方もいると思います。しかし、「賢いからしつけがしやすい」や「大きいから・小さいからしつけが難しい」ということは一概に言えません。今回は、中型犬のしつけのポイントやよくあるトラブルなどについて、ドッグトレーナーの酒匂が解説します。

中型犬の代表犬種

笑顔のコーギー

まず、「中型犬って?」と聞かれるとなかなか難しい問題です。なぜなら、大きさでの犬種のカテゴリー分けについて、明確には定まっていないからです。日本で公認されている犬種はジャパンケンネルクラブに登録されていますが、大きさではなく犬種の用途によって、10のグループ(国際畜犬連盟による10グループ制と同じ)に分類されています。

今回は、理想体重が10kgから20kgの犬を「中型犬」として解説したいと思います。

中型犬種は他にもいますが、これらの犬種は日本でも特に人気があります。甲斐犬はCMでも馴染みがありますし、ボーダー・コリーはスポーツ万能な犬としても知られていますね。


中型犬はしつけが必要?

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「中型犬はしつけが必要か」という問に対しては、「犬の大きさに関わらず全ての犬に適正なしつけが必要」です。なぜならしつけは、人間でいうところの義務教育に近しいからです。人間社会で共生していく上で、ルールを知ることや我慢すること、コミュニケーションの円滑な図り方を学ぶことは不可欠です。

特に中型犬の場合は、体重がチワワトイプードルなどの一般に小型犬といわれる子たちよりも重い上に、「スピード」「体力」でも勝ります。実際にどのくらい違うのかを例を挙げて考えてみましょう。

体重2kg、時速20kmで走るチワワと、体重10kg、時速30kmで走るボーダー・コリーがいます。それぞれの飼い主の体重は50kgとします。

パワー(運動量)=体重×速度という物理の公式に当てはめて考えると、チワワのパワーは40、ボーダー・コリーのパワーは300となります。体重50kgの飼い主にチワワが走って行っても、人は動かないかもしれません。

しかし、ボーダー・コリーが走って行ってぶつかったとき、体重50kgの飼い主さんはよろめくでしょう。場合によっては転倒、けがをする恐れもあります。

例題イラスト

以上のように、どの犬種にもしつけは必要ですが、超小型犬や小型犬に比べて、パワーの勝る中型犬にしつけをすることは不可欠です。

中型犬のしつけ不足によるトラブル

吠える犬
トレーナーとして多く聞くのが、以下のような事例です。

中には、転倒から肋骨骨折された飼い主さんもいるほどです。中型犬は小型犬に比べ、吠える声も大きく噛む力も強いため、相手がお子さんやお年寄りですと大きなトラブルに発展しやすいです。うれしくて飛びつく行為も、中型犬の場合は、人間の子供の顔の高さに前足がかかることがありますので、注意が必要です。


基本のしつけ

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中型犬だからといって特別なトレーニングをおこなうわけではなく、基礎的なトレーニングが大切です。「オスワリ」や「マテ」、人のペースに合わせて歩く「ツケ」、災害時や来客時にこちらの指示でクレートで休むことができる「ハウス」といった、基本的なしつけの精度を上げることが重要だと思います。

精度を上げるというのは、指示を出したら犬が必ず行動する確率を上げることです。また、幼い頃から意識して社会化をおこなうことも大切です。


中型犬の散歩のしつけ方

中型犬は力が強いので、引っ張られているお散歩をよく見ます。犬が前に進もうと引く場合に後ろに引いてしまうと、犬は余計に引っ張ろうとしてしまいがちです。その場合は、リードを上へ少し上げてみましょう。またアイコンタクトを室内でできるようにし、外で歩くときにもアイコンタクトのコマンドを出して歩くことも、一つの方法です。

子犬時期は、歩かない場合もよく聞きます。小型犬よりも犬の本能が出やすい中型犬は、音などに敏感になりがちです。歩かないときは、まずはリードやカラーに慣れさせ、室内でお散歩練習をしてみることから始めてみましょう。人間からするとまどろっこしいかもしれませんが、まずは静かな場所で、ちょっとでも歩いたら褒めるなど、焦らずに少しずつ安心させることが後々に人も犬も楽になります。


問題行動のしつけ方

草原にいる人とボーダーコリー

個人的に一番多いと感じるのは、運動不足から起因される問題行動です。大型犬を迎えようと思った場合、「運動させられるかな?」「トレーナーさんにお願いしようかな?」などと、事前に考えてから迎える方が多いように感じます。しかし中型犬の場合は、「なんとかなるでしょう」と少し安易な考えのまま迎えてしまい、パワーや犬らしさに驚き、困ってしまうという事例が多く感じられます。

チワワやトイプードルなどの小型犬よりも、中型犬は牧羊犬などの使役犬として生まれた子たちが多いので、圧倒的に運動量が必要であり、犬自身が自分で考えて行動する子も多くいることを自覚しなくてはいけません。

実際、私も委託訓練としてボーダー・コリーの子をトレーニングしていますが、パワー負けしないためにも日々運動するようになりました。



中型犬は小型犬や大型犬としつけの違いはある?

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中型犬のしつけの場合、「大きな小型犬」という考えでのしつけ方をすると問題行動が起きやすいので、「小さな大型犬」という意識を持つと良いでしょう。小型犬とは全く違う犬たちであるという認識を持つことが大切です。

また、気軽に相談できて実際にオーナーさんも実行できる方法を提案してくれるドッグトレーナーさんを見つけておくこともおすすめです。幼い頃から意識して社会化させてあげることも必要です。実際に今訓練しているボーダー・コリーの子も、犬種として警戒心が強いタイプなので、子犬期から色々な場所に連れて行き犬や人間に触れてもらい、今では人も犬猫全般も大好きです。

運動量が必要なので、水遊びができるようにとトレーニング内容も考えました。先に述べたお散歩と同じで、少しずつを意識します。小さなビニールプールを用意し、まずは水を入れずにベランダに置いておくことから始め、プール自体に慣れたら水を入れて置き、また慣れるまでそっとしておきます。そのことにも慣れたら初めて、おもちゃやおやつを使って自らプールに入ることを教え、やっとプールで泳げるようになりました。

何事もトラウマを作らないようにしてあげることが、中型犬の場合には小型犬たちより重要になると思います。

中型犬はしつけがしやすい?

ベンチの上にいるアメリカンコッカースパニエル

しつけがしやすい、もしくはしにくいというのは、特に中型犬だからどうということはないです。ただ警戒心が強い子になると、噛むことで逃れようとする子も多く、力もあるので問題行動になりやすいです。その場合には、無理せずにトレーナーさんに相談すると良いでしょう。

もしもこれから子犬を迎える場合には、最低でも3カ月は母犬や兄弟犬と一緒にいさせることを強くすすめます。また、犬種でいうとボーダー・コリーはとても知能が高いことで有名だと思いますが、訓練をしてみて本当に賢い犬種だと実感してます。新しいコマンドを10分程度で覚えるのです。知能が高いということは、さまざまなことを経験させ、良い刺激を与え続けてあげる必要があるということです。

一緒にドッグスポーツを楽しんで

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中型犬は、使役犬として生まれた子が多いです。そのため、一緒にスポーツをすると、犬の運動不足からのストレスも起きにくく、飼い主さんにとっても健康的です。そういった意味でも、人と作業することに幸せを感じる子が多いので、飼い主さんの良きパートナーになるでしょう。

さまざまなコマンドを覚えさせ、共にスポーツを楽しむには日本での住宅事情も合わせて考えると、最適な子たちであるでしょう。しかし反対に、いつもお留守番で運動不足が続くとストレスが溜まり、問題行動につながることもあります。

まとめ

楽しそうなコーギー

身体のサイズに関係なく、犬にはしつけをおこなうことが必要
中型犬はスピードが早く力も強いため、しっかりしつけをしないとトラブルに繋がる
運動不足によるストレスが問題行動に繋がることも多い

「小さな大型犬」という認識で犬との生活を考えること、そして困った時には、すぐにプロのトレーナーに相談することが大切です。そうすれば、お互いに良いパートナーとして、充実した日々を送ることができるでしょう。

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