【トレーナー・獣医師監修】マルチーズってどんな犬?性格・特徴・育て方・迎え方
マルチーズは純白の長い美しい毛並みを持ち、日本では1968年から1984年まで人気犬種のトップでした。本稿では、マルチーズの性格や特徴、かかりやすい病気などを解説します。
この記事を監修している専門家
佐藤貴紀獣医師
獣医循環器学会認定医・PETOKOTO取締役獣医師獣医師(目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC、隅田川動物病院、VETICAL動物病院)。獣医循環器学会認定医。株式会社PETOKOTO取締役CVO(Chief veterinary officer)兼 獣医師。麻布大学獣医学部卒業後、2007年dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長に就任。2008年FORPETS 代表取締役 兼 白金高輪動物病院院長に就任。2010年獣医循環器学会認定医取得。2011年中央アニマルクリニックを附属病院として設立し、総院長に就任。2017年JVCCに参画し、取締役に就任。子会社JVCC動物病院グループ株式会社代表取締役を兼任。2019年WOLVES Hand 取締役 兼 目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC院長に就任。「一生のかかりつけの医師」を推奨するとともに、専門分野治療、予防医療に力をいれている。
マルチーズの基礎知識
英語表記 | MALTESE |
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原産地 | 中央地中海沿岸地域 |
サイズ | 小型犬 |
体高 | 25cm前後 |
体重 | 2.5kg前後 |
寿命 | 12~14歳 |
マルチーズの歴史
マルチーズ(Maltese)は、中央地中海沿岸地域が原産で、紀元前1500年頃、現在のレバノンにいた民族によってマルタ島に持ち込まれた犬種で、一説ではアジアから来た犬といわれています。マルチーズの名前は「マルタ原産の犬」という意味ですが、マルタ観光局によると、現在のマルタ島で純血のマルチーズを見かけることはほとんどないそうです。
マルチーズはイソップ物語で「長い船旅をするものや船員のペット」と二度にわたり書かれてます。やがてシチリア島を経て、ヨーロッパ各国に紹介されました。
フランスでは15世紀頃から貴婦人の愛玩犬となっていましたが、イギリスへは19世紀になってからもたらされイギリス・ビクトリア女王がこの犬種を飼っていました。そのことが一般市民に知られて19世紀末に大流行し、人気の犬種となりました。
マルチーズは一般的な犬種のように猟犬や使役犬を小型化したものではなく、最初から愛玩犬として飼育されてきた珍しい犬種です。
かつては、マルチーズがテリア的な性格を持つためか「マルチーズ・テリア」と呼ばれることがありました。しかし、現在ではスパニエル系統の犬にプードルを交配して作出されたと考えられています。
マルチーズの毛色
マルチーズの性格や特徴
飼い主に対しては愛情深いですが、大胆な性格から知らない人や自分よりも大きい犬に対しても恐れません。
華奢な体と短い肢、絹のようなまぶしいほど白い被毛がマルチーズの特徴です。
被毛は、鼻先、垂れた耳から尾の先まで、床に届くほどまっすぐ伸びる長毛で、尾にも流れるような豊かな飾り毛があります。
マルチーズの育て方
マルチーズのしつけ
マルチーズは穏やかで愛情深い犬種で甘えん坊ですが、甘やかすと構ってもらえないときに寂しくて吠えるなどの行動が増えてしまいます。遊んであげる時間と、そっとしておく時間を作ってあげましょう。
マルチーズのケア・カット
毛の長いマルチーズは毛が絡まりやすいため、毎日のブラッシングが必要です。また、目の周りは目に毛が入ったり、口回りは汚れやすかったりするので、カットやこまめに拭くなどしてあげましょう。
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マルチーズの体型・体重管理
健康な毎日を過ごすためには、適切な体型・体重を保つことが欠かせません。定期的に体重を量ることは重要ですが、適正体重は成長とともに変化します。同時に「ボディ・コンディション・スコア」(BCS)という評価指標を利用することで適正な体型・体重を維持することができます。参照:『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』(環境省)
PETOKOTOのYouTubeチャンネルでは獣医師の佐藤先生が体重の測り方やボディコンディションスコアの確認方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マルチーズのドッグフード
犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。
1. 総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。
実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。
ペトコトフーズの公式HPを見る
マルチーズがごはんを食べない場合の対処法
マルチーズがごはんを食べない場合、原因として「1. 病気」「2. 老化」「3. 食事量が多すぎる」「4. 運動量が少ない」「5. わがまま(偏食)」「6. ごはんが美味しくない」「7. 食事に集中できない」という7つが考えられます。対処法について、以下の関連記事を参考にしてください。マルチーズがかかりやすい病気
マルチーズは目の病気になることが多く、いわゆる「涙目」と呼ばれる「流涙症」は放っておくと目の周りが茶色く変色する「涙やけ」になります。
瞼が内側にめくれ角膜に刺激を与え炎症が起きる「眼瞼内反症(逆さまつげ)」も「流涙症」のきっかけになってしまうので注意が必要です。
その他「ぜーぜー」という呼吸になる「気管虚脱」や、後ろ脚の膝蓋骨が正常な位置から内外に外れてしまう「膝蓋骨脱臼」、長い被毛や垂れた耳が汚れやすく「皮膚炎」にもかかりやすいです。
マルチーズとよく似た犬種「シーズー」
「シーズー」と「マルチーズ」は、一見とてもよく似ている2犬種ですがルーツは全く別であり、毛色や毛質にも違いがあります。シーズーは、太くて固いオーバーコートと細くて短いアンダーコードを持ち合わせた「ダブルコート」で、毛色は決められた色がなく、バラエティーに富んでいます。
一方で、マルチーズはオーバーコートのみの「シングルコート」で、毛色も白色が一般的です。また、シーズーの方がマルチーズに比べ少し鼻が短いです。
シーズー
マルチーズ
マルチーズの迎え方
一度家族に迎えたら、子犬から老犬になっても大切に、命に責任を持ちましょう。
白髪も生えれば、病気にもかかるかもしれません。お金がかかるのは家族に迎える時だけではないことを踏まえ、もう一度考えた上で迎えることを検討してください。
保護犬から迎える
保護され、里親を探している犬は雑種だけでなく、血統書のある犬も多くいます。PETOKOTO代表・大久保の愛犬コルクも、もともと足が内股という理由でペットショップの競り市で捨てられていた元保護犬でした。
ペトコトの姉妹サイトである保護犬・保護猫マッチングサイト「OMUSUBI(お結び)」も、ぜひ覗いてみてください。
OMUSUBIで保護犬猫を探す
ブリーダーから迎える
好きな毛色や、血統など気にするのであれば信頼できるブリーダーから迎えるという方法もあります。実際に見学に行き、どんな環境で飼育されているのかを確認することも必要ですが、飼う上でのアドバイスも直接聞くことができます。
ペットショップから迎える
マルチーズの一般的な価格の相場は8~20万円ほどで、毛色や血統、月齢によっても値段が変わってきます。ペットショップでは生後2~3カ月ごろの販売が多く、4カ月を過ぎてくると値段がだんだんと下がってくることがほとんどです。
まとめ
マルチーズは穏やかで明るい性格
運動量はあまり多くなく、お散歩は一日に20分程度
愛情深く甘えん坊なため、ひとりでも過ごせるようしつけましょう
体重が約2.5kg、寿命は12〜14年前後
流涙症、涙やけ、眼瞼内反症、気管虚脱、膝蓋骨脱臼、皮膚炎に注意
それでも子犬の頃の社会化やしつけも必要ですし、長毛でありカットの必要な犬種でもありますので、毎日の手入れは必要です。
トリミングの必要のがない犬種に比べ、お金がかかったり手間がかかったりもすることをもう一度しっかり考えてから、迎えることを検討しましょう。
参考文献