【トレーナー解説】犬を多頭飼いするメリット・デメリット、注意したい点を解説
愛犬と暮らす中で「もう1匹迎えたい」と思うことがありますよね。しかし、家族が増えれば必然的に費用は倍になり、相性が悪い場合は先住犬のストレスにもなります。今回は、ドッグトレーナーの西岡先生監修のもと、犬を多頭飼いするメリットや、多頭飼いに向いている犬・向かない犬の特徴、ケージやトイレの考え方などを紹介します。
犬の多頭飼いのメリット
留守番時も楽しく過ごせる
実際は寝ていることが多いと思いますが、退屈すれば犬同士で遊ぶことができるのも多頭飼いのメリットです。多頭飼いで良かったことは留守番ができるようになったことが一番です。一人だった頃は5分とできなかったのが、一緒に遊んでいてくれるようになって半日ぐらいは留守にしても平気になりました!(hysteric225さん)
運動不足やストレス解消
近年では犬も家族の一員と考えるようになり、室内飼いが多くなってきました。その結果、思い切り走り回ったり遊んだりする機会が少ない生活をしている子も少なくありません。運動不足になると身心ともに健康的ではなく、ストレスを溜め込みます。それが吠えや噛みつきなどの問題行動の原因になることも。
お出かけやドッグランに行って定期的にストレスを発散してあげることが必要ですが、犬同士でじゃれ合って遊ぶこともとても大切です。
上の子も下の子も健康的でいられる
年齢差がある場合、上の子は下の子の運動量に合わせて生活するようになります。健康的に「ちょっと頑張って運動する」ということができると、若さを保つ秘訣になります。
下の子も、上の子がいることで学ぶことが多くあり、心身ともに健康でいられます。
なにより楽しい
なんといっても家族が増えるのですから、思い出の数も増えます。飼い主さん自身の生活も楽しく、豊かになります。
安易に増やしたいからという気持ちで無ければ「大変」より「楽しい」に変わること間違いないと思います。
世話が増えることは避けられないことですが、幸せと感じることに対する労力は全く苦痛ではないのだと痛感しています。我が家も3頭目はかなり悩みましたが、今では3頭いなくては物足りない感じです。(smile_yosshyさん)
犬の多頭飼いのデメリット
犬の多頭飼いは良いことばかりではありません。ただ、それを「デメリット」と考えるか、それも含めて「多頭飼いの良さ」と考えるかは飼い主さん次第です。
きちんと理解し、責任を持って迎えることができればデメリットではありません。
しつけが大変になる
犬同士がいろいろな行動に影響するため、問題行動が連鎖しやすいことがあります。例えば先住犬は吠えない犬だったのに、後から来た犬が吠える子の場合、つられて吠えることもあります。
分離不安になりやすい
特に下の子にいえますが、家に来た最初からお兄ちゃんやお姉ちゃんがいるので、飼い主さんだけでなく兄妹犬にも依存しやすい傾向にあります。例えば、上の子を動物病院に連れて行くなどしたとき、下の子が一人でいられず「分離不安」になる可能性があります。
相性が悪いとすごく大変
年齢や性格など、すべてにおいて相性が悪いとお互いのストレスが溜まる一方です。遊んで欲しい子は要求吠えが多くなりますし、ゆっくりしたい犬は怒って噛みつく可能性もあります。
多頭飼いが合わない子もいる
飼い主さんの思いだけで多頭飼いをしてしまいがちですが、愛犬の性格などを把握しておく必要があります。そもそもあまり犬同士で遊びたがらない性格の場合は、1匹飼いが向いている可能性があります。
飼い主さんも先住犬の性格は分かると思いますが、トレーナーに相談してみることも良いでしょう。
犬を多頭飼いする場合の心構え・準備
経済的な余裕が大切
<犬を迎えてから1匹にかかる平均費用>
当たり前ですが、2匹目を迎えるということは、今までかかっていたドッグフードやトリミング、トレーニングなどの犬にかかる費用が「倍かかる」ということです。
また、迎える犬種によっては倍以上かかることもあります。そのため、経済的な余裕が大切です。
最期の一瞬まで責任を持って飼えるか
犬の平均寿命は15歳前後のため、15年間を見据えて大切に飼い続けることができるか、きちんと考えてから迎えるようにしましょう。実際に、多頭崩壊といって、多頭飼いをして経済的に飼うことができなくなり、保健所や愛護センター、NPOに問い合わせが入る数は非常に多いです。
そういった子たちは住む家がなくなり、新しい飼い主さんを待つこととなります。しかし、飼い主さんが見つからず、最悪の場合は殺処分されることがあるのも現状です。
家に十分な広さがあるか
犬が遊び回るスペースがないとストレスを溜め込んでしまいます。そのため、もう1匹を迎えてもストレスを溜め込まないだけのスペースが必要になります。どこにトイレやケージを置くのかなど、考慮してから迎えるようにしましょう。
先住犬との相性が合うか
先に住んでいる犬の性格と合うかも大切です。シニア犬だと、若い犬が来て走り回ることでストレスを溜め込んでしまうこともあります。相性の見極め方について
相性の見極め方は非常に難しく、上の子の性格によってかなり変わります。
可愛くてどうしても迎えたいと思っても相性が合わず仲が悪ければ、迎えない方が良いでしょう。あくまで犬によって異なりますが、オススメの相性を紹介します。
同じ犬種やサイズが近い方が合いやすい(例外あり)
トイプードルならトイプードル、チワワならチワワなど、犬種やサイズは同じ方が相性が合いやすい傾向にあります。例えばチワワとゴールデンレトリーバーの場合、チワワが怪我を負う恐れもあるため、できればサイズは同じ方が良いでしょう。
性別は別の方が合いやすい(例外あり)
オス同士やメス同士の場合、喧嘩が起こりやすいことも多く、性別は別にした方が良いでしょう。新しい子をお迎えする時に先住犬が2頭いたのですが、1頭は神経質というか人見知りなところがあって、新しい子(てんてん)をずっと視界に入れないようにして避けていました。
このままでは先住犬も新しく来たてんてんもストレスが溜まりそうだったので、仕方なく家の1階と2階で分けて暮らすことになりました。
その後、先住犬達が亡くなり新しく子犬(ぽんた)をお迎えしましたが、その時はてんてんの穏やかで誰に対しても友好的な性格のお陰かすぐに仲良くなり、後からやって来たぽんたは何でもてんてんの真似をするのでしつけもとても楽でした。みんなで仲良く遊んでくれるのであまり寂しい思いをさせずに済むし、良い運動にもなっていると思います。(tentenpontaさん)
犬の多頭飼いでよくある質問
Q. 2匹目以降を迎えるタイミングはいつが良い?
基本的に、上の子が3〜8歳くらいが良いです。あまりに年齢が近いと、それぞれがシニアになったとき同時に介護が必要になるためです。逆に、年齢が離れすぎても、若い子のテンションなどに上の子がストレスになりやすいことがあります。
Q. 散歩は一緒にする方が良い?
年齢差や犬種、相性にもよりますが、お散歩の難易度はとても上がります。歩くペースや、興味の対象に違いがあるので、合わせるのが非常に大変です。また、もし飼い主さんが1人で多頭飼いする場合、きちんと散歩中にリードを持っておかないと、事故の原因にもつながります。
そのため、はじめはドッグランなどで練習をして、慣れてきたら一緒に散歩してあげると良いでしょう。
Q. トイレは同じで良い?
基本的にはトイレは同じで問題ありません。ただ、犬は綺麗好きのため、おしっこがあると、その場所ではせず、トイレの外でしてしまうこともあり得ます。そのため、トイレケージを小型犬であれば「中型犬用にする」、トイレシートも「ワイドを用意する」「排泄をしたらすぐに片付ける」ことができると良いでしょう。
Q. ケージ、ベッドは同じで良い?
基本的にはそれぞれのケージ、ベッドを用意するのが安心です。しかし、相性的によほど安心できるようなら同じケージも問題ないです。ただ、気をつけておきたいことは、分離不安症にならないように、別々でも入れるようにしつけをしておくべきです。
Q. 留守番時の注意点はある?
留守番のさせ方にもよりますが、上の子がフリーで遊んでいても、下の子が若いうちはストレスを溜め込む可能性があるため、ケージに入れておいたほうが安心です。留守番中にイタズラがあるようなら、別々のケージに入れておきましょう。
まとめ
ただ、何も考えず、2匹目を迎えてしまうと大きな問題が起こる可能性があります。まずは、とにかくトレーナーなどのプロに相談することをおすすめします。
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