
【獣医師執筆】猫が少食になる8つの理由!病気の可能性や対策を解説
ご飯をもりもり食べてくれる猫ちゃんの飼い主さんは安心ですが、少食な猫は少なくありません。少食は長生きするともいわれることがあるようですが、便秘を始めとする症状を引き起こすがあります。急に少食になった場合など注意したいケースもあります。今回は猫が少食になる理由から、注意したい場合、対策について解説します。
猫は少食というより少しずつ食べる

猫はキャットフードを食べるのに時間もかかります。犬のように一気にガツガツ食べる食べ方はしません。猫はもともと少しずつ何回も食べるという習性があり、何か気に入らないことがあっただけでも食事を拒否する場合があります。
猫も捨てられるなどして飢えた経験があると食に対して貪欲になるのですが、毎日きちんとご飯を与えられていると、それほど食に対しての欲求が強くなくなることもあります。
猫が少食になる理由と対策

01【猫が少食になる理由】口内炎
猫は口内炎や歯肉炎を発症しやすい動物です。口内炎などを発症すると口の中が痛くなってしまうために、ご飯を食べられなくなってしまいます。猫が少食になったので病院に連れて行ったら口内炎が原因だったということは少なくありません。猫の口内炎予防には歯磨きが1番ですが、歯磨きが難しい場合は猫用の液体歯磨きなどを使用すると効果が期待できます。02【猫が少食になる理由】猫風邪
猫は匂いをかぐことができないと目の前にあるものを食べ物と認識できないことがあります。そのため猫風邪と呼ばれる感染症に罹患すると、ご飯が食べられなくなることがあります。風邪というと大したことがない病気のように感じますが、感染症ですので症状が現れたらすぐに獣医に連れて行ってあげてください。早期に治療すれば重症化すること防げますし診察代も安く済みます。また、猫も年に1度のワクチン接種をしましょう。
03【猫が少食になる理由】寄生虫
外に出る生活をしていると何らかの寄生虫に寄生されるリスクはとても高くなります。回虫やコクシジウムなど猫の体内に寄生する可能性があるものは何種類かあり、それらに寄生されると猫は嘔吐や下痢などを発症し、ご飯を食べられなくなることがあります。寄生虫は駆虫薬で駆除することが可能ですが、簡単には駆除できないものもあります。外に出なければ感染する可能性はかなり低くなりますので、完全室内飼育にすることをおすすめします。
04【猫が少食になる理由】ご飯に飽きる
猫は好き嫌いをすることが多い動物です。特定のご飯しか食べない猫もいますが、同じご飯ばかりだと飽きてしまう子も少くありません。味に飽きる猫の場合は、ときどきキャットフードを変えてあげると良いでしょう。05【猫が少食になる理由】新しいご飯が嫌い
猫にとって良かれと思ってキャットフードを変えたら、全く食べてくれなかったということもよくあることです。キャットフードを変える際には、いきなり変えるのではなく、少しずつ元のフードに混ぜて味に慣れさせるようにすると良いでしょう。一気に変えてしまうと食べないかもしれないというだけではなく、下痢などの症状を発症してしまうリスクもあります。
06【猫が少食になる理由】ストレス
猫はストレスに弱い動物であり、生活環境が変わったなどの強いストレスを受けるとご飯を食べられなくなることがあります。ストレスが原因で少食になったことが考えられる場合は、まずはそのストレスを取り除いてあげるようにしましょう。引っ越しなどが原因の場合はストレス要因を取り除くことは難しいので、まず猫が暮らしやすい環境を作り出してあげることと、猫が好きな物をあげて消化器官を動かすことで食欲を出させるようにしてみてください。またそのような際には、水も飲めないことが多いので、水分も取ることができる冷凍フレッシュフードがおすすめです。
07【猫が少食になる理由】暑い
猫は比較的暑さに強い動物ですが、近年日本の夏の厚さはとても厳しいです。そうなると猫の食欲も減退して少食になってしまうことがあります。夏場はエアコンを使い、室内の温度を28℃程度に保ってあげるようにするといいでしょう。08【猫が少食になる理由】高齢になる
猫も高齢になると少食になる場合があります。なかなか一度に食べられないことも多くなってくるので、1日の食事の回数を増やしてあげるなどして対処してあげるといいですね。また、硬いものが食べられなくなることもありますので、老猫でも食べやすいフードを用意してあげましょう。少食な猫は長生きする?

少食な猫は長生きをするという意見があるようです。根拠として、「食べ過ぎたことにより肥満になり、病気になることが少ないから」ということのようですが、エビデンスは存在しません。
食べ過ぎで肥満になることは体に良くありませんが、食べないとしっかりした体が作られませんし、体力ももちません。人も猫も、しっかり食べることは大切です。
猫がごはんをたくさん食べていたのに少食になったら要注意

飼い主さんが猫の異変に気がついたときは、かなり症状が進んでしまっていることも少なくありません。もりもりご飯を食べていた猫が、少しずつご飯を残すようになったり、少食になるような様子が見られるときは、おうちでも頻繁に体重を測ってみるなど注意が必要です。
また、もともとたくさん食べていたのに少食になるには何らかの原因があるほか、少食になること自体が猫の健康を害することがあります。
肝リピドーシス
肝リピドーシスとは肝臓に脂肪が溜まってしまう症状のことです。人間でいう脂肪肝ですが、猫の場合は発生のメカニズムは異なります。猫が肝リピドーシスを発症する原因はさまざまなものが考えられますが、ご飯を食べられない期間が長く続くことも原因の一つです。絶食の期間が長いと脂肪を使って体を維持しようとして、肝臓にたくさんの脂肪が送られてくることになります。その結果、肝リピドーシスになってしまうのです。
もともと猫が少食ならどうする?

もともと少食な子は少しでも気になる点があるとご飯を食べなくなってしまうなど、少し神経質な面があることも多いです。そのため筆者がご飯をあげるときは、猫が気持ちよく落ち着いて食べられるように気をつけています。
少食の猫は食事を忘れることも珍しくありません。ご飯を食べないことはやはり健康には良いことではありませんので、好きな物を用意して猫の食欲を呼び覚ますようするなど、工夫が必要なこともあります。一度食べ物を口にすると、食べることを思い出してくれることもあります。
全く食べない状態は病気が理由であることも考えられますから、丸一日以上何も食べないときは必ず病院に連れて行きましょう。もし吐き気などでご飯が食べられていない場合は水分も摂れていない可能性も高いですので、病院での輸液等が必要な場合もあります。
もともと少食でご飯を残しがちな子であっても、毎日愛猫がどれくらいのご飯を食べているか、体重は減っていないかチェックしてあげるといいですね。特に子猫のときは、日々体重が増えるのが当たり前で、減少するのは危険な状態です。「子猫がご飯を食べない」「体重が減る」などの症状が確認できたら、早急に受診させましょう。
愛猫のためのキャットフードの選び方は?

1. 総合栄養食を適量与える

総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。

※参照:「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(環境省)
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ

実際に、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。
そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。

なお、フレッシュフードは水分量も多いので、尿の活性化で腎臓病予防としても機能します。実際に従来のドライタイプのキャットフードよりも、水分がより多く含まれたフレッシュフード等を食べている猫の方が尿路結石になるリスクが約50%下がることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。
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