【トレーナー解説】大型犬に必要なしつけ|しつけの重要性や散歩中の飛びつき防止策を解説

【トレーナー解説】大型犬に必要なしつけ|しつけの重要性や散歩中の飛びつき防止策を解説

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大型犬というと「大きくて怖い」と思う人もいれば「優しい」「賢い」などの印象を持つ人もいます。そんな大型犬のしつけはしやすいのでしょうか?大型犬は力も体力もあり、きちんとしつけをしないと、怪我をさせる危険性が高いといえます。大型犬のしつけにはどんなしつけが必要なのかなど、大型犬のしつけについてドッグトレーナーの西岡が解説します。

大型犬(超大型犬)とは

笑顔の大型犬

大きさでの犬種カテゴリー分けについて、明確には定まっていないため、大型犬を定義することは困難です。

日本で公認されている犬種はジャパンケンネルクラブ(JKC)に登録されていますが、大きさではなく犬種の用途によって、10のグループに分類されています。

上記に挙げた犬種は、比較的日本でよく見られる大型・超大型犬種です。一部にすぎず、他にも大型犬・超大型犬と呼ばれる犬種がいます。

大型犬と呼ばれる主な犬種

  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ジャーマン・シェパード
  • ラフ・コリー
  • ドーベルマン
  • ボクサー
  • セッター
  • ポインター

超大型犬と呼ばれる代表犬種

  • セントバーナード
  • ニューファンドランド
  • バーニーズ・マウンテンドッグ
  • グレートデン
  • アイリッシュ・ウルフハウンド
  • ボルゾイ

大型犬のしつけとは

振り向く大型犬


愛犬が小型犬でも大型犬でも、一緒に暮らす上で犬にルールやマナーを理解してもらうことはとても重要なことのため、どの大きさであってもしつけは必要です。

ただ「飛びつく」「吠える」「引っ張る」「噛む」といった小型犬だと、まだ許容されやすいことが、大型犬になった途端、重度の問題として捉えられやすいことを念頭に置く必要があります。

大型犬はしつけやすい?

しつけがしやすい、しにくいというのは、大きさは関係ありません。

大型犬と暮らしている方は、大型犬と暮らす大変さをわかっているため、子犬の頃からのしつけを徹底しています。

身体の大きさや力の強さ、それらによる事故のリスクを考えると、大型犬のしつけは小型犬よりも大変だといえるでしょう。

大型犬のしつけ不足によるトラブル

  • 散歩時引っ張られ、飼い主が転倒して骨折(転倒し頭を打って、精密検査を受けたケースも)
  • 通行中の女性に飛びつき、洋服を破いてしまって弁償
  • 子供に飛びついて怖がらせてしまった
  • 公園で何度か吠えただけなのに、通報された
  • 小型犬に散々吠えられ、大型犬が数回吠え返しただけなのに、ドッグカフェを退店させられる

最後の例はまれだとは思いますが、影響範囲が大きい大型犬は、悪者にされる傾向があるため、愛犬を悪者にしないためにも、愛犬としつけを通して信頼関係を築いていきましょう。


大型犬に必要なしつけ

走る大型犬

基本的なしつけは小・中型犬と変わりませんが、特に大型犬で注意したいのは、身体の大きさと力の強さです。

外出時に、引っ張りや他の人・犬への興奮・飛びつきをきちんとコントロールできるように、どんな時でも飼い主のコマンドへ反応できるよう、子犬(パピー)の時から練習していきましょう。また褒め方や叱り方も大切で、叩くなどの叱り方は基本的にしないようにしましょう。


待て

「待て」は、ご飯やおやつをあげる前に教えると効果的です。完全に身体で覚えたら、毎回ご飯の度に無駄に待たせる必要はありません。拾い食いをしそうになったときなどに活用しましょう。

家の中だけではなく、どんな状況下でもできるように、普段からトレーニングしておくことが大切です。「待て」のひと言で行動をコントロールすることができるようになれば、危険の回避にもつながります。




おすわり

座ったらおやつをあげる」を繰り返して教えるのが一般的です。興奮しているときはもちろん、 散歩中、信号待ちの際に飛び出さないように落ち着かせることで、危険を回避できます。

また、威嚇した様子の犬が近づいて来たときには、愛犬を道の端に座らせて、先に通過してもらうことでトラブルを防ぐこともできます。




ハウス

来客時や寝るとき、そして災害時などに必要なしつけです。インターホンが鳴ったときの無駄吠えなどをなくすためにも「ハウス」を使ったトレーニングは有効的。さまざまなしつけに応用して使えるコマンドです。




トイレトレーニング

成長するとトイレを外でしかしなくなることも多いですが、できれば家に設置したトイレシートの上でもできることが理想です。

犬が高齢になったとき、排泄のためだけに長時間散歩することは、愛犬にとって大きな負担になります。また、おしっこの色が確認できないので異変に気づく機会を失うことにもなります。

海辺を走るボーダーコリー

ポイントは、とにかく叱らないことです。上手にできたら褒める、を繰り返しましょう。

おしっこをするときに「トイレ」や「ワンツー・ワンツー」と声をかけ、トイレの合図として定着させておくと、引っ越し後などもすんなりとトイレの場所を覚えさせることができます。

なかには飼い主の気を引くために、わざと間違った場所でおしっこをする犬もいます。そのような場合には、犬をクレートに入れるなどして飼い主が見えない場所に連れていき、犬がいない間に掃除をしましょう。




おいで・呼び戻し

愛犬を呼び寄せるためのコマンドも大切です。遊びや運動を兼ねて「おいで」のトレーニングをすると身につきやすいです。

まずは室内からはじめましょう。室内でできるようになったら、ドッグランなど屋外のさまざまな刺激がある場所でもできるよう、レベルを上げていきます。

自信をつけさせてあげるために、しつけの導入として行うのもおすすめです。




散歩トレーニング

大型犬の散歩時は拾い食いやリードウォークなど、相手に怪我をさせないようにしつけが大切です。


飛びつき

子犬の頃は可愛らしかった飛びつきも、成犬の大型犬に飛びつかれると、転倒や怪我につながる可能性があります。

例え子犬でも、散歩中に他人に飛びつけば、それがトラブルの元になることも考えられます。

家の中でも、飼い主に飛びついたら無視する、もしくは「ノー」と教えることを徹底し、落ち着いておすわりができたらおやつをあげるなど、コマンドとご褒美を与えながら教えていきましょう。




甘噛み・噛み癖

大型犬は、遊びにおける噛みつきでも洋服が破れるほどの力を持っています。

痛みを感じるほど強く噛んできたら、遊びを中断し、一度落ち着かせましょう。成長過程で歯がかゆい子犬には、噛んで遊べるおもちゃを与えてください。

飼い主以外には強い力で噛みつくことも少なくありません。社会化やコマンドによるコントロールが大切です。




破壊行動

留守番中に家具を壊したり、ゴミを散らかしたりすることがあります。賢く、悪知恵が働きやすいことが理由の1つです。

これらは、ストレスや退屈な時間がもたらすものなので、運動をたくさんさせることが効果的。

トレーニング要素を入れながらお散歩をすると、頭を使うことでより体力を消耗できます。

笑顔のボーダーコリー

まだ若い場合は、いたずらができない環境作りも大切です。

犬をしつけることも重要ですが、サークルやゲージに入れて動ける範囲を限定したり、壊されては困るものを近くに置かないなど、飼い主側の工夫も必要です。

マーキング

少し神経質な性格から、オスはマーキングが多い傾向にあります。オスの本能によるものが大きいので、去勢することも1つの方法です。

マーキングは、行動そのものをやめさせるよりも、縄張り意識がある「テリトリー」を狭めていくことが効果的です。本人が自分の場所だと認識する場所を限定していきましょう。




分離不安

ずっと一緒にいることは、犬の社会化を妨げる原因にもなります。

これらは分離不安につながることもあり、お留守番ができなかったり、ペットホテルから宿泊を拒否されたりなど、生活にも影響が出てきます。

犬も人間と同じように、ほかの犬と触れ合ったり、ひとり遊びをしたりすることで、社会性を身につけます。

おすわりするボーダーコリー

今まで社会化をしてこなかった犬が、突然「みんなと仲良く遊びなさい」と言われたり、飼い主さんがいなくなったりしたら不安になるのも無理はありません。そのせいで問題行動を起こすこともあります。

分離不安を治すためには、少しずつ時間をかけて社会化をしていくことが効果的です。飼い主への依存状態から脱却し、ほかの犬や人に慣れさせていきましょう。


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大型犬のしつけを考えるなら

コマンドを待つ大型犬

飼い主さんも一緒にトレーニングすることが重要

今現在のしつけ方の主流は基本的に、飼い主さんが一緒にトレーニングしていく方法です。

ただ大型犬で「子犬から」、もしくは「ある程度身体が大きくなってしまい、なかなかコントロールできない状況」なら、一定期間ドッグトレーナーに預けて基礎的なことをしっかりトレーニングしてもらうのも良いことだと思います。

もちろん預けて終わりにしてはいけません。飼い主さんが、その後もしっかり勉強していくことが大前提になります。

大型犬に限らずですが、しつけに終わりはありません。

運動する時間を設ける

犬の問題行動は、運動不足が起因で引き起こされることが多いです。

そのため、日頃の散歩だけではなく、定期的にドッグランなど、自由に走り回れる環境に連れて行ってあげましょう。

まとめ

伏せをする大型犬

しつけの重要性や必要性は、犬の身体のサイズには関係ない
身体が大きく、力も強いため、重大なトラブルにつながる可能性がある
運動不足にならないように、運動する時間を設けましょう

大型犬を迎えると、手間もかかるし食費や医療費も高くなります。しつけも大変で、気を付けなければいけないことも多いです。

それでも、それ以上に大型犬にはたくさんの魅力があります。自分だけで抱え込まず、困ったときはプロに相談し、愛犬とのしつけの時間を楽しんでください!


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ペトコトのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」やトリマーやトレーナーへの相談会を定期開催しています。愛犬について気になることがある方は、ぜひご参加ください。

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この記事を監修している専門家

佐藤貴紀獣医師

獣医循環器学会認定医・PETOKOTO取締役獣医師

佐藤貴紀獣医師

獣医師(目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC、隅田川動物病院、VETICAL動物病院)。獣医循環器学会認定医。株式会社PETOKOTO取締役CVO(Chief veterinary officer)兼 獣医師。麻布大学獣医学部卒業後、2007年dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長に就任。2008年FORPETS 代表取締役 兼 白金高輪動物病院院長に就任。2010年獣医循環器学会認定医取得。2011年中央アニマルクリニックを附属病院として設立し、総院長に就任。2017年JVCCに参画し、取締役に就任。子会社JVCC動物病院グループ株式会社代表取締役を兼任。2019年WOLVES Hand 取締役 兼 目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC院長に就任。「一生のかかりつけの医師」を推奨するとともに、専門分野治療、予防医療に力をいれている。